76. 沖縄の夜 とあるカップル その②
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僚は部屋に入ると後ろから明日香を抱きしめ、肩口で長いため息を吐く。
「はぁぁぁ・・・やっと2人っきりだ・・・」
沖縄に着いたその日からいままで、我慢していた気持ちが一気に溢れ出てきた。これまでずっと常に人が周りにいて、イチャイチャしたくても出来なかったのだから無理もない。
「あ、あのっ、僚。私汗かいてるし、シャワー浴びてくるっ」
明日香はそう言ってるのに、なかなか解放されない。それどころか、明日香の耳元で「一緒に入る?」と言う始末で、明日香はパンク寸前だ。
「冗談だよ。行っといで」
さすがに無理強いは出来ないので、名残惜しいがここでやっと解放する。明日香はこの後のことを考えると頭がクラクラするけれど、とりあえず今はスッキリして落ち着きたいと思い、いそいそと風呂場へ向かった。
明日香がシャワーに入ると、僚はスマホを取り出して操作する。画面を見ると、隼斗から何枚か写真付きのメッセージが送られてきていた。
隼斗たちは鍾乳洞に行っていたらしく、その鍾乳洞の中の様子や、沖縄名物のてんぷらを食べている写真、そして最後の1枚は市木家の別荘で、市木が泣いてカラオケを歌っているシーンだった。その写真には『慰めるの疲れた』と、隼斗たちの苦労がわかるメッセージが添えられている。
今朝のレンタカー店での市木の様子を思うと、隼斗たちには面倒くさいことをさせてしまったと思い、僚は心の中で(すまんな、みんな)と謝った。
明日香がシャワーから出て、入れ替わりに僚が入るのを見届けた明日香は、何かをして気を紛らわせようと思い、明日帰るための準備をする。
写真集とプロモーションビデオの撮影から始まった沖縄滞在も今日で終わりかぁと感慨深くなる一方で、また絶対来ようと思った。
荷物の整理が終わった明日香は、バルコニーの窓を開けて外に出る。
目の前には、さっきまでいたアメリカンビレッジのネオンが煌々と闇夜を明るく照らしており、明日香はその夜景を1人でぼうっと眺めていた。
沖縄独特の湿気を含んだ生温かい風が、この雰囲気のせいか妙に心地いい。
しばらく1人で佇んでいると、自分の背中に温かい体温を感じる。
僚がシャワーから出てきて、明日香を包むようにバルコニーの柵を掴んでいた。
「明日香、何してたの?」
「ん? 明日帰るんだなぁって、考えてたの」
明日香はそう言いながら、自然と僚にもたれかかる。
「そっか。どうだった? 初めての沖縄は」
「うん、楽しかった。また来たい」
「・・・そうだな。今度は2人だけで来ようか」
僚のその言葉に明日香は敏感に反応し、パッと振り向く。
そして、上目遣いで僚を見上げ、甘えるように約束を口にした。
「絶対だよ?」
「うん、約束する」
「ふふっ・・・嬉しい」
柔らかく笑う明日香が可愛くて、僚は触れるだけのキスをする。
キスは何度もしているのに、今日のキスだけは平常心でいられない。
だけど余裕のない男に見られたくないし、明日香の前ではカッコつけたいと思うが、そんな複雑な男心を知らない明日香は、お土産の買い忘れがないかとか、隼斗たちは今日どこに行ったんだろうとか、まるでいつものように話し始めた。
せっかく2人きりでいい雰囲気になりかけていたのに、いつも通りの明日香に戻ってしまうと、僚としてはなんとか立て直したい所。
だからなのか、つい余裕を忘れた発言が口をついて出てきた。
「明日香はいつも通りで、ずいぶん余裕だな」
突然僚にそんなことを言われた明日香は、きょとんとするばかり。すると僚は、柵に置いてた両手を明日香のお腹の前で組み、自分の顔を明日香の首元に埋めた。
「俺はこれからのことで頭がいっぱいなのに、明日香は別のことを考える余裕があるんだなって言ったの」
僚はなんだか悔しくて、そのまま明日香の首筋にキスをする。
「あ、あのっ、そういうわけじゃ・・・・・・」
「わかってるよ。ただ意地悪したかっただけ」
そう言って今度は明日香の顔を自分に向け、チュッ、チュッと音を立てながら、何度も何度もキスを繰り返す。
「はぁっ・・・僚っ・・・」
明日香は待ってと言いたかったが、それを言わせたくない僚は、明日香をひょいっとお姫様抱っこすると、器用にバルコニーの窓を閉め、ベッドの方へと歩いていく。
「僚っ、私、重いからっ」
「何言ってんの。全然重くないよ」
そう言いながら明日香をそっとベッドにおろす。
そして、明日香を見下ろすように僚は上から覆いかぶさった。
「途中でやめてあげられないけど、大丈夫?」
「・・・うん、大丈夫」
怖くないと言えば嘘になる。
だけど明日香は、怖さをよりも僚への愛おしさで自然と首に両手を回す。
2人にとって初めての、甘くて長い夜が始まった。
♡♡♡
明日香が着ている下着を全て取り除いた僚は、初めて見る明日香の身体にゴクンと唾を飲み込んだ。
明日香の身体は想像以上にきれいで、白い素肌も、細い手足も、引き締まった腰も、服の上からは分からなかった意外と大きく形のいい胸も、控えめにある臍ですら色気があり、僚は明日香の全身を味わい尽くすように舌を這わせる。
お互い初めて同士だからこそ、男の俺がリードしないとダメだと、根が真面目な僚は、この日に備えてたくさん勉強した。
特に、初めての女性は痛みが伴うとあったので、その前段階を念入りにすることは必須だ。
明日香の全身、特に自分を受け入れる所はなるべく痛みを軽減するために、優しくゆっくり自分の舌でほぐしていく。
その刺激に明日香から出される喘ぎ声は、艶めかしく官能的で、それだけで僚自身も達してしまいそうだ。
「あっ・・・んっ・・・僚・・・私・・・もうっ・・・」
「明日香。ガマンしないでイッて」
「んっ・・・はぁっ、やっ・・・もう・・・私、おかしくなっちゃ・・・」
「大丈夫、おかしくないよ」
チュウっと僚が明日香の敏感な部分を吸い上げると、明日香は背中を仰け反り、ビクビクっと絶頂に上り詰めた。
息も絶え絶えな明日香は、身体をビクンビクンと波打ち、なかなか絶頂から下りてこれない。その間に僚は、ベッドのそばに準備しておいた避妊具に手を伸ばした。
「明日香、イッちゃった?」
「うん・・・僚、これがイくっていうこと・・・?」
「そうだよ。ココでイく以外にも中でイく方法もあるよ。それが出来るように俺、頑張るから、2人でもっと気持ちよくなろう?」
「それは・・・僚も気持ちいいの?」
「うん。俺も初めてだけど、聞いた話によるとすっげー気持ちいいんだって」
「そっか・・・なら、私も頑張る・・・」
明日香と会話しながら避妊具を自分自身に着けた僚は、明日香の秘所に自分の剛直をあてがう。
最初はヌルヌルと滑って上手く入らなかったものの、なんとか見つけた入口に少し入り込むと、あとはゆっくりと侵入していく。
「んんっ・・・」
「明日香・・・痛い?」
「ん・・・大丈夫」
「ごめんな。もう少しだから」
僚はゆるゆると腰を進め、なんとか最後まで明日香の中に剛直を埋めた。
そして明日香と体が繋がった瞬間、僚はなぜか涙が溢れそうになる。
大好きな女の子との初体験は、何にも代えがたいものだからだ。
(愛している女性と結ばれることが、こんなにも幸せなことだなんて、いままで想像も出来なかった・・・・・・)
これまで、どんなに女性に言い寄られても見向きもしなかった僚は、明日香への恋心に気付くのが遅かったせいで、何年も遠回りしてしまった。
そのため明日香のことをたくさん傷つけてしまったことは、付き合ってからも僚の中では昇華しきれずに心の中で燻ったままだ。
だけど、こうして身も心も明日香と一体となった今、これまでの2人の気持ちが本当の意味で繋がったことを実感した。
(やっと明日香は、正真正銘俺のものになったんだ。それに、俺自身も明日香のものだ)
だがしかし、いまは感動に浸っている場合ではない。
自分の下に組み敷いている明日香は、そのきれいな顔を顰めて苦しげな表情を浮かべていた。
しかし、ただ苦しそうというのではなく、何かに耐えるような顔を見せている。
「はぁっ、僚・・・」
「ごめん明日香、痛いよな」
「そこまで・・・痛く・・・はない・・・けど・・・」
「けど・・・?」
「僚を受け入れることが出来て嬉しいのと、あと・・・お腹の中がうずうずしてて・・・私は大丈夫だから・・・動いて?」
「んなっ! そんなこと言われると、めちゃくちゃにしたくなるだろっ」
明日香が無意識に僚を煽ると、僚は堪らず剛直をズルズルっと引き抜き、再度一気に奥に突き立てる。
普段はリーダーとして完璧に振る舞っている僚も、目の前の情欲には勝てなかった。
「ああんっ」
「はぁっはぁっ・・・明日・・・香!」
「・・・僚っ」
「痛かったら無理しないで・・・言ってっ・・・やめる・・・からっ」
僚は言いながら、何度も何度も腰を打ち付ける。気を抜けばすぐに果てそうになるのを必死に堪えながら、夢中でピストンを繰り返した。
明日香の身体を気遣って言ったものの、途中でやめる自信などなかったが、幸いにもその言葉は、明日香の耳にはほとんど入っていない。
明日香は僚が動くたびに全身がビクッビクッと快感が襲い、自分がどうにかなってしまいそうだった。
その快感に襲われるたびに、明日香の口から甘い声が出てくる。
「明日香、気持ちいい?」
「うんっ・・・気持ち・・・いいっ・・・僚は?」
「俺も・・・・・・すごくっ、気持ちいい・・・・・・ずっとこうしていたい」
2人で話している間も、僚は腰の動きを止めることなく高みを目指す。
イきたいけどイキたくない。そんな気分だ。
「もう少し・・・早くしてもいい?」
僚の言葉に明日香もうんと頷く。そして動きが早くなると、2人の呼吸も更に乱れ、僚の動きに合わせて明日香の身体の揺れも激しさを増す。
2人の肌と肌がパチンパチンとぶつかり合う音と、互いの愛液が混じり合う水音が部屋中に響き、甘美な熱が漂う。
そして2人が一番深く繋がった瞬間、僚は全身を震わせて吐精し、明日香は両足の指先をピーンとのばして上り詰めていった。
身体を繋げたまま、僚は明日香をつぶさないように覆いかぶさる。ドクンドクンと全身が脈を打ち、繋がった部分がぎゅうっときつく締めつけているせいか、その熱は治まる気配を見せない。
そして僚は、まだ呼吸が乱れている明日香の耳元で熱く懇願した。
「まだ、足りない・・・明日香が欲しい・・・」
「・・・え」
「今度はもっと持つと思うから・・・明日香、愛してるんだ。離れたくない」
そう囁きながら、僚は明日香の顔や身体にキスをする。時には強く吸い付いて、明日香の全身に花を咲かせるように自分の印を刻んでいった。
止まらない僚の要求に応えるように明日香からキスをすると、再び2人の身体が揺れ始める。
僚と明日香は時間を忘れ、お互いの体がドロドロに溶けるまで愛し合い、気づけば外は白み始めていた。




