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【完結】buddy ~絆の物語~  作者: AYANO
大学生編
77/111

76. 沖縄の夜

このお話は、少々過激な表現が多々出てきます。

閲覧の際にはご注意ください。

パタン。

ホテルのドアが閉まった瞬間、深尋は全身緊張に包まれる。

(どうしようっ.......どうしたらいいのっ⁉)

木南の後に続いて部屋の奥に進むが、いまにも逃げ出したくてしょうがなかった。決して、木南がイヤだとか嫌いとかではなく、ただ、ただ、どうしたらいいのかわからず、バグっている状態だった。

「深尋ちゃん」

「は、は、はいっ!」

緊張で声がひっくり返る。すると、木南が深尋に近づいて、

「先にお風呂、行っといで。僕は後でいいから」

そう言われて深尋はコクコクと頷き、急いでお風呂に入る準備をする。

そんな深尋が可愛くて仕方ない木南は、とりあえず、テレビをつけて雰囲気を変えようと思った。

別に見たいものがあるわけではなかったが、何か音があると、気がまぎれるだろうと考えたのだ。


しばらくすると、シャワーの音が聞こえてきた。

木南は深尋が初めての相手ではないが、それでもやっぱり緊張はする。

出会ったのが冬だったので、その時はわからなかったが、夏になって薄着になると、身長の割にしっかりとある胸や、きゅっとくびれたウエスト、細い手足など、昨日からドキドキさせられっぱなしだった。

先ほどのレストランで言った、誰にも見せたくないというのも、本気で言ったのだ。

(葉山たちが、他の女の子たちと付き合ってくれて良かった)

いまはそれが唯一の救いだった。


正直、女の子と付き合ってきて、こんなに我慢したことはなかった。

付き合ってもうすぐ半年になろうというのに、いまだにキスすらしていないのは、自分史上最長だった。でも裏を返せば、それだけ大事にしていた。

だから、木南は余計に心配になった。

(タガが外れて、めちゃくちゃにしたらどうしよう......)

でも、ここまで来てやめる気などサラサラないので、とりあえずほんのわずかな理性は残しておこうと、自分の中で固く誓った。


僚は部屋に入ると、明日香を抱き締める。

「はぁぁぁ....やっと2人っきりだ....」

いままで我慢していたのを一気に出していく。

「あ、あのっ、僚。汗かいてるし、シャワー浴びてくるっ」

明日香がそう言っても、なかなか解放してくれない。それどころか、明日香の耳元で、

「一緒に入る?」

と言ってきて、明日香はパンク寸前だ。

「冗談だよ。行っといで」

そう言ってやっと解放してくれた。明日香はこの後のことを考えると、頭がクラクラするが、とりあえず今は、スッキリして落ち着きたいと思った。


明日香がシャワーに入ると、僚はスマホを取り出す。すると、隼斗から何枚か写真付きのメッセージが送られてきていた。

隼斗たちは鍾乳洞に行っていたらしく、その鍾乳洞の中で撮ったものや、沖縄名物のてんぷらを食べている写真、そして最後の1枚は市木家の別荘で、市木が泣いてカラオケを歌っているシーンだった。その写真には、

『慰めるの疲れた』

と、隼斗たちの苦労がわかるメッセージが添えられていた。

僚は心の中で(すまんな、みんな)と謝った。


明日香がシャワーから出ると、入れ替わりに僚が入っていく。

その間に、明日帰るための準備をする。

写真集とプロモーションビデオの撮影から始まった沖縄滞在も、今日で終わりかぁと、感慨深くなる。それと同時に、また絶対来ようと思った。


荷物の整理が終わった明日香は、バルコニーの窓を開けて外に出ると、先ほどまでいた、アメリカンビレッジのネオンがキラキラと輝いているのを眺めていた。沖縄独特の湿気を含んだ生温かい風が、この雰囲気のせいか心地よく感じてしまう。


しばらく1人でぼーっとしていると、自分の背中に温かいものを感じた。

僚がシャワーから出てきて、明日香を包むようにバルコニーの柵を掴んできた。

「明日香、何してたの?」

「ん?明日帰るんだなぁって、考えてたの」

明日香はそう言いながら、自然と僚にもたれかかる。

「もう明日のこと考えてたの?余裕だな」

僚にそう言われても、いまいちピンとこない。すると僚は、柵に置いてた両手を明日香のお腹の前で組み、自分の顔を明日香の首元にうずめて、

「俺はこれからのことで頭がいっぱいなのに、明日香はもう明日のこと考えてるんだって言ったの」

それと同時に、そのまま明日香の首筋にキスをする。

「あ、あのっ、そういうわけじゃ......」

「わかってるよ。ただ意地悪したかっただけ」

そう言って今度は、明日香の顔を自分に向けてキスをする。チュッ、チュッと音を立てながら、何度も何度もキスを繰り返す。

「はぁっ......僚.......」

明日香は待ってと言いたかったが、僚がそれをさせてくれなかった。

僚は明日香をひょいっとお姫様抱っこすると、器用にバルコニーの窓を閉め、ベッドの方へ歩いていく。

「僚っ、わたし重いからっ.....」

明日香は恥ずかしさと緊張でそう言うが、僚は、

「何言ってんの。全然重くないよ」

と言って、明日香をそっとベッドにおろす。そして、明日香を見下ろすように僚は上から覆いかぶさると、

「途中でやめてあげられないけど、大丈夫?」

と聞く。そして明日香も、

「.....うん、大丈夫」

そう言って、僚の首に両手を回す。

2人にとって初めての、甘くて長い夜が始まった。


木南が風呂から出ると、深尋はソファーにもたれることなく、背中をまっすぐにしてテレビを向いて座っていた。

その姿を後ろから見ると、背中に大きく「緊張」と書かれているようにみえて、木南は声を出さずに笑ってしまう。

(こんなところも可愛く見えるなんて、僕も結構重症だな)

そんなことを思っていた。

「深尋ちゃん、そのテレビそんなに面白い?」

ソファー越しに話しかけると、深尋は木南を見ることなく、フルフルと首を横に振る。

「どうして僕を見てくれないの?」

そう話しかけると、今度はなんの合図も送ってくれない。

仕方ないので、木南はソファーの上から深尋の顔を覗き込み、

「深尋ちゃん、顔、みせて?」

というと、深尋の顔は真っ赤で、目が潤んでいた。かといって、泣いたのかと言えば、そうではないらしい。

その顔を見て、木南がさらに優しく深尋に語り掛ける。

「深尋ちゃん、僕が怖い?」

「.........怖くない、よ」

「本当に?無理してない?」

「.........うん」

深尋のその返事を聞いて、木南はリモコンでテレビの電源を切る。

「深尋ちゃん、おいで」

深尋に手を差し出し、木南は深尋を立たせる。そしてベッドルームへ連れて行く。


大きなダブルベッドのそばに、木南は深尋と向かい合って立った。

「深尋ちゃん、まずは、抱き締めてもいい?」

木南は1つ1つの動作を、深尋に確認しながら行動している。恋愛経験の少ない深尋に合わせるように、じっくりと丁寧にする。

深尋が首だけで頷くと、木南は深尋を優しく抱き締める。

深尋は木南の心臓の音がダイレクトに聞こえ、それは自分と同じくらいの速さだなと思った。

「光太郎くん、ドキドキしてる」

「.....そりゃあ、当たり前だよ。好きな子抱き締めて、ドキドキしないわけないじゃないか」

「ふふっ、わたしだけじゃなかったんだ....」

木南の腕の中で笑う深尋があまりにも可愛くて、さらに強く抱き締める。


しばらくそうして、木南は次に進むことにした。

「深尋ちゃん、次は、キス、してもいい?」

深尋は頭の上から木南にそう囁かれ、一瞬体が硬くなったが、すぐにまた首だけ頷く。

「顔、あげて。僕を見て」

深尋は言われたとおりに木南を見る。風呂から上がって初めてまともに顔を合わせた瞬間、ゆっくりとした動作で、木南の右手が深尋の左頬に添えられ、木南の顔が近づいてくる。

その時深尋は、目と唇をぎゅっと閉じた。すると、近づいてきたはずの木南がピタッと止まる。

深尋はなかなか唇に触れないので、少しずつ目を開けると、唇が触れる寸前で木南が止まっていた。深尋がびっくりして動けないでいると、

「深尋ちゃん、力抜いて、楽にして。そして唇は噛んじゃダメ。少し開けて」

至近距離で木南が囁いてくるので、深尋は言うとおりにする。

「ん......上手」

そう言ったかと思うと、木南の唇と深尋の唇が重なり合った。

最初は触れるだけ。でも次第にそれは深くなっていき、2人の唾液が混ざる音が室内に響く。木南は自分の舌を深尋の口中で絡ませながら、ゆっくりと味わっていく。

「ふぅっ.....光...太郎くんっ.....」

上手く息を吸うことが出来なくて、深尋が唇を離そうとしても、すぐ木南の唇に捕まってしまう。そうしてやっと解放された深尋は、木南に自分の体をすべて預けるくらいぐったりとしていた。


「初めてのキス、どうだった?」

深尋は抱き締められながらそう言われて、木南の顔を見ることが出来ない。

「光太郎くん.....キスってこんなに激しいの....?」

ふいに深尋に言われて、木南は困惑する。

「ん---ホントは、もうちょっとソフトにしたかったんだけど、ずっと我慢してたから、少し暴走したかも.....ごめんね」

木南が素直に謝ると、今度は深尋が困惑する。

「少し.....?あれで、少ししか暴走してないの....?」

「うん、だいぶ抑えたつもりだよ。あとでもっと激しいのしてあげるね」

そう言うと木南は、深尋を抱え上げて、ベッドに横にする。


「深尋ちゃん、次、進むよ」

「あ、あのっ、光太郎くん.....そのっ.....わたし、初めてでっ....」

「うん、知ってる。だからゆっくり優しくするから、心配しないで。深尋ちゃんは、さっきのように力を抜いて、楽にするだけでいいから......」

まるで催眠術でもかけているのかと思うくらい、木南の囁く声が心地よく、深尋は一気に体の力が抜けていく。


そして着ていたバスローブを脱がされ、下着を取られた後のことは、もうされるがままだった。木南に全身を隅々まで愛されて、

「声、我慢しないでいいよ」

と言われれば、自分のものとは思えない声が出たり、呪文のように、

「力を抜いて」

と言われれば、スッと力が抜けていく。


そして、何も着ていないお互いの肌と肌が隙間なく重なった瞬間、深尋は下腹部に違和感を感じる。その違和感の正体に気づくと、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

「深尋ちゃん、あんまり締め付けると、僕、持たないよ....さっきみたいに力抜いて....」

木南の苦しいような、切ないような声が聞こえてきて、深尋もそれに応えようと必死になる。

「光太郎くん.....わたし.....変じゃない?」

あられもない姿を見せていることに羞恥心を感じた深尋は、木南に聞いてみる。

「変じゃないよ。きれいで、可愛くて.......すごくエロい」

そう言い終わらないうちに、深尋にキスをする。

それからしばらく、お互いを繋げたままじっとしていた木南が、

「動くね.......」

と言って、ゆっくり腰を動かす。お互いをなじませたためか、深尋はほとんど痛みを感じることはなかった。逆に、木南の動きに合わせて、別の感覚が押し寄せてくる。


木南が一定のリズムで動くと同時に、深尋の体も一緒に動く。それがだんだん早くなるにつれ、ベッドもギシッ、ギシッと音を立てている。

深尋は今まで経験したことのない快感に包まれて、先ほどまでの羞恥心もどこかへいってしまった。

そんな深尋の顔を見て、木南自身もさらに熱を持ち、腰の動きが止められなくなるほど早くなった後、木南の体がビクンとなるのと同時に、深尋の頭の中も、パーンっと弾けるような感覚が襲ってきた。その瞬間、2人とも体を重ねたまま、しばらく動けないでいた。


木南がハァ、ハァと、乱れる呼吸を整えながら、

「深尋ちゃん、上手にできたね」

と言って、顔にキスの雨を降らせる。

「光太郎くん.......好き.......」

深尋はベッドに横になりながら、木南に抱きつく。

「あのさ、こんなことされると、1回じゃ終わらないよ?」

木南が意地悪っぽく言うと、深尋は木南の耳元で、

「いいよ」

と答える。2人の夜はまだまだ終わらない。


僚は、明日香と体が繋がった瞬間、なぜか泣きそうになった。

(愛している女性と結ばれることが、こんなにも幸せなことだなんて、いままで想像も出来なかった......)

でも、いまは感動に浸っている場合ではない。

「明日香、痛い?」

「.....ううん、痛く...はない...けど...」

その明日香の言葉を信じて、僚はぎこちない動きで腰を動かす。

お互い初めて同士だからこそ、男の俺がリードしないとダメだ。と、根が真面目な僚は、この日に備えてたくさん勉強した。

特に、初めての女性は痛みが伴うとあったので、その前段階を念入りにした。


初めて見る明日香の身体は想像以上にきれいで、白い素肌も、細い手足も、引き締まった腰も、形のいい胸も、控えめにある臍ですら色気があり、僚は明日香の全てを自分の目で見て感じたい、と思いながら全身を味わった。

そして明日香の表情や声、体の反応を見ながら、やっとここまで辿り着いた。


「わかった.....痛かったら無理しないで.....言ってっ.....やめる.....からっ」

明日香の身体を気遣って言ったものの、途中でやめられる自信などなかったが、幸いにもその言葉は、明日香の耳にはほとんど入っていない。

僚が動くたびに全身を快感が襲い、自分がどうにかなってしまいそうだった。その快感に襲われるたびに、明日香の口から甘い声が出てくる。

「明日香、気持ちいいの.....?」

明日香の甘い声を聞いて、僚が腰を動かしながら聞くと、

「うんっ.....気持ち....いいっ....」

と、恥ずかしがりながらも答えてくれる。反対に、

「僚は......?」

と聞かれると、明日香の耳元で、

「俺も......すごくっ、気持ちいい......ずっとこうしていたい」

2人で話している間も、僚は動きを止めることなく、高みを目指している。

「もう少し......早くしてもいい?」

僚が聞くと、明日香がうんと頷く。そして、動きがさらに早くなると、2人の呼吸も乱れ、僚の動きに合わせて明日香の身体の揺れも早くなる。

2人の肌と肌が触れあう度に、その音が部屋中に響き渡り、それが更に2人の感覚を昂らせていく。

そして、2人が一番深く繋がった瞬間、僚は全身を震わせ、明日香は両足の指先をピーンとのばして上り詰めていった。


体はまだ繋がったまま、僚は明日香をつぶさないように覆いかぶさる。ドクンドクンと全身が響くような感覚に陥る。繋がった部分がぎゅうっときつく締めつけ、その熱は治まる気配を見せない。

そしてまだ呼吸が乱れている明日香に、

「まだ、足りない......明日香が欲しい......」

と聞いてくる。その顔が、先ほどまで見せていた雄の顔とは違い、捨てられた子犬のような顔だったので、思わず明日香はクスっと笑って、

「......うん」

と返事をする。

その後も2人は時間を忘れ、お互いの体がドロドロに溶けるまで愛し合った。

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