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【完結】buddy ~絆の物語~  作者: AYANO
高校生編
17/111

16. 高校1年生①

高校生編から登場人物が増えます。

 そしてさらに季節は過ぎ、4月。6人は高校生になった。

 僚と竣亮は予定通り、それぞれ付属の高校へ進学。

 隼斗と誠は電車で15分、家とGEMSTONEのほぼ中間にある同じ県立高校へ入学した。

 明日香は英語をもっと学ぶため、英語の特進コースがある私立の女子高を選んだ。隼斗と誠の学校からもほど近いところにある。

 深尋はGEMSTONEに一番近い県立高校へ入学。その理由は言わずもがなである。


 こうして6人はつらい受験シーズンを乗り越え、無事高校1年生となった。

 気が付けばGEMSTONEに入所して、5年になろうとしていた。


「隼斗ー帰ろーぜー」


 入学して2週間が過ぎたある日の放課後。誠が隣のクラスの隼斗を呼びに来た。

 2人とも中学の時はバスケット部に所属していたが、高校では部活をどうするかまだ決めかねている。毎週日曜日はGEMSTONEでのレッスンもあるため、高校での部活動と掛け持ちが出来るか悩んでいたからだ。


 誠が隼斗の教室に入ってくると、周りの女子がざわつく。誠は中学でぐんぐんと背が伸び、高校入学時には181cmになっていた。

 小学校の頃はスポーツ刈りだった髪型も、今はサイドを刈り上げたツーブロックにしており、顔もキリっとした眉に二重瞼の目で、周りの同級生よりも大人っぽく見える。


「おう。なぁ、なんか食っていかねー?」


 まだまだ食べ盛りの男子高校生。放課後にはお腹が空いてしまう。

 隼斗も隼斗で身長が伸び、誠と変わらないくらいになっていた。明日香曰く、タケノコみたいだそうだ。

 髪はストレートマッシュにしており、小さいころから明日香と同様に整った顔立ちは今も健在だ。この2人が並んでいるだけで迫力があるため、入学当初から目立っていた。


 隼斗はリュックを肩に掛けながら、誠と教室を出ようとしていた。

 すると、眼鏡をかけた女子に声を掛けられる。


「藤堂くん。今日日直だから、日誌を書いてほしいんだけど」

「あ、やべ。忘れてた」

「ちゃっちゃと書けよー」


 誠は隼斗の隣の席に座り、日誌を書くのを待つことにした。隼斗が日誌を書いている間、隼斗に声を掛けた女子は提出物の確認をしている。その様子を誠は何となくぼーっと見ていた。


「立花さん、下の名前なに?」


 日誌に日直の2人の名前を書くため、隼斗が聞く。


「美しいにふる里の里で美里みさと

「サンキュー」


 聞くだけ聞いて、隼斗はまたカリカリと日誌を書く。

 美里は先生に言われて集めたクラス全員分のノートを、持とうとしていた。それが思いのほか重く、グラグラする。


「半分持つよ」


 日直の隼斗ではなく、なぜか隣のクラスの誠が美里に声を掛ける。


「え・・・でも」

「隼斗は日誌書いてるし、これ出したら帰れるんだろ」


 誠らしいぶっきらぼうな言い方で、集めたノートの半分以上を美里の手から取ると、さっさと教室を出ていこうとする。


「隼斗ーちょっと行ってくるし、早く書けよー」

「おう、わりいなー」


 2人の間ではそれで良いらしい。断るにも断れず、美里は誠と一緒に職員室へと行くことになった。

 しかし、今日が初対面の2人。職員室に行くまでの間に会話はない。

 しかも181cmの誠に対して美里は160cmもないくらいだ。ノートを持ってスタスタ歩く誠に美里は必死についていく。


「あ、ごめん」


 自分の歩きが早いことに気づいた誠が、美里に歩調を合わせる。


「いえ、すいません。遅くて・・・」

「なんで敬語? 同級生なんだから、タメ口でいいよ」

「はぁ・・・」


 美里は今日初めて話す誠に対して、正直どうしていいかわからなかった。ノートを持ってくれたことはありがたいけど、それだけだ。


 近いようで長い道のりだった職員室に到着し、ノートを提出し終わると、2人は隼斗の待つ教室へと戻る。


「あの、ありがとうございます。クラスが違うのに手伝ってもらって・・・」

「敬語」

「・・・え?」

「タメ口でいいって。あと、俺は崎元誠。隼斗の幼馴染」

「あ、私は立花美里です」


 そうしてお互いに自己紹介が終わると同時に教室へ着いた。


「隼斗書けたかー?」

「おう、ばっちり。立花さんもお疲れー」

「あ、うん。お疲れ・・・」


 すると隼斗と誠はさっさとリュックを背負って、教室を出て行こうとする。その時、誠はくるっと後ろを振り返り、


「じゃーな美里」


 と言って出て行った。

 美里は、今日知り合ったばかりの同級生の男子に突然呼び捨てにされ、戸惑うことしかできなかった。


 美里に気軽に声をかける誠を見た隼斗は、珍しいものを見たと言わんばかりの顔をする。


「誠って立花さんと知り合いだったっけ?」

「いや。さっき知り合ったばっかり」


 飄々と誠が言う。


「いやぁ、誠が明日香と深尋以外の女子にあんなこと言うなんて、成長したなー」

「どの立場で言ってんだよ」

「幼馴染として心配してんだよ。女っ気のない誠が、優しさを覚えてくれてうれしいなーって」

「どうでもいいけどさ、どこに何食べに行くんだよ」


 誠はこの手の話が苦手なので、うまく話をすり替える。


「モールのフードコートでいいんじゃね」


 2人は学校から徒歩10分ほどの場所にある、ショッピングモールへ行くことにした。

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