第六十三話「民を救ったオクマーマ」
倒れたオクマーマを抱えつつ、すぐさまバッグから裁縫道具を取り出そうとするマユミ。
「オクマちゃん、どうしたのっ⁉ 酷いっ……。すぐ手当しなきゃっ!」
「マ、マユミおねーちゃん……。もう、手当しても無駄っちゅ……」
「どっ、どうしてっ⁉」
「オクマーマにエネルギーを与えていた念波鉱石は、さっき壊れまちた……。もう、縫っても回復しないっちゅ……。それどころか……もうすぐ、体内に残った念波エネルギーも切れて……。オクマーマは……死にまちゅ……」
「ええっ⁉」
あまりにも突然の言葉に、マユミは呆然としてしまうのであった。
「そっ、そんなっ……。オクマちゃんったら……、また冗談言うんだからっ……。オ、オクマちゃんが、死んじゃうわけないでしょっ。アハハッ……。ねっ……、ねえっ! 嘘でしょっ、オクマちゃんっ!」
必死に『嘘だ』と思おうとしたマユミ。だが目の前のオクマーマは、いつもと違って自然回復している形跡が見られないのだ。あまりにもボロボロな状態のままであり、声にも力がない。そんな姿を目の当たりにして、だんだんと目に涙があふれてきてしまうのであった。
そしてその時、マユミの持っていた端末が反応して緊急ニュースが自動再生される――。
「皆様! 本日、とある大変な事件が起こる寸前でした! しかしご安心ください、事件は未然に防がれました。実は全国各地に『生物だけを一瞬にして殺害するエネルギーを放射する兵器』がテロ組織によって仕組まれ、本来なら本日昼頃に国民が全滅するほどの恐ろしい大規模テロが実行される寸前だったのです!」
「ええっ⁉」
驚いて、ボロボロのオクマーマを見るマユミ。
「しかし『とある勇者』によって、そのエネルギー源がテロ実行前に破壊されたというのです! その『とある勇者』の具体名は政府から発表されてはいませんが、とにかくそれが事実であることだけは間違いないそうです」
それを聞き、マユミはすぐに察するのであった。
「そ、その勇者というのは……。オクマちゃんっ!」
「そして、さらに先程の情報です。兵器の場所も三時間ほど前に科学者によって割り出され、すぐさま政府の特殊部隊が向かって除去も完了させたとのことです! もはやエネルギー源自体も、放射する装置も存在しません! 皆様、ご安心ください!」
(シンパチおじいちゃんが、テロの実行時間を過ぎてでも子機の場所を探して除去してくれたんでちゅね……。死ぬ前にそれを聞けて安心しまちた……。ありがとうっちゅ……)
その頃、同じく速報を聞いていたノリオ。
(こんなことが出来る勇者というのは、オクマちゃんしかいないっ! そうか……。どうしても今すぐに斉田博士と面会したいと言っていた理由は、この大規模テロを止めるために……。僕を心配して黙ったまま、たった一人で孤独に戦い、罪もない人々の命を救ってくれたんだ! オ、オクマちゃん……。君って奴はっ……!)




