第三十三話「オクマーマ、決死の潜入捜査」
魂の乗り移り実験に、見事成功したオクマーマ。
シッポに乗り移っていた魂は本体へ戻り、マユミの目の前に歩み寄るのであった。
「でも、オクマちゃん。どうして急に、こんな実験をやろうと思ったの?」
「実は今、こういう闇取引の事件を追ってまちゅ」
オクマーマの潜入作戦は、こうであった――。
まずぬいぐるみのフリをして潜入し、ダミーではない本当の取引現場を探り出す。そして場所が判明したら体の本体を現場に残したまま、魂だけ一度シッポに退避させ場所を知らせるというのだ。それ以外の方法だと必ずバレるので、それしか方法がないのだという。
そして、場所を知らせたら再び魂を現場の本体へ戻らせておく。そのまま隠れて警察の到着を待つか、あるいは隙を見て逃げ出す――というような計画である。
「問題は~。全ての部位の痛覚も、魂と常にリンクしていることっちゅ。魂がどこにいても、痛みが全部伝わっちゃいまちゅ。それが、ちょっと怖いっちゅ」
「そっ、そんなっ! それは、危なすぎるわオクマちゃん! 魂がシッポに来ている時は本体が無防備になっちゃうし、例え本体の方に戻っても安全に帰還出来る保障もないわ!」
「警察では、これを防ぐのは無理っちゅ。だから、念波ロボのオクマーマがやるしかないっちゅ。心配しなくても大丈夫っちゅ」
「私、かわいいオクマちゃんが……。例え正義のためでも、酷い目にあって帰ってくるのを見るのは……つらいわ!」
「オクマーマも、マユミおねーちゃんを悲しませるのは心苦しいでちゅ。でも、オクマーマだけにしか出来ない使命がありまちゅ。わかってくだちゃい」
「オクマちゃん……」
「オクマーマは、マユミおねーちゃんが心の支えっちゅ。このシッポは、マユミおねーちゃんが持っていてくだちゃい」
「出来るだけ無理しないで、無事に帰ってきてね!」
「大丈夫っちゅ! オクマーマは、非力でも不死身の念波ロボっちゅ!」
そしてオクマーマは単身、潜入捜査を開始する――。
(これが、暴力組織の所有する車っちゅか……)
オクマーマは車のトランクの中へ潜入し、四六時中聞き耳をたてていた。念波ある限り、無補給でずっと行動可能な、念波ロボとしての面目躍如である。しかも、車には高性能な異物盗聴発見センサーが装備されていたが、体内にメカのないオクマーマには一切反応しないのだ。
それから数日。
場所のカモフラージュのためか、車が散々たらいまわしにされた末――オクマーマは、ついに真の取引現場を探り出すことに成功したのである!
早速オクマーマは、シッポのない本体から魂を離脱させ――マユミの持つシッポの元へ向かうのであった。
週末が取引の予定日だとオクマーマに聞いていたマユミは、一日つきっきりでシッポをお守りのように握りしめていた。
オクマーマのことを心配しながら待っていると、ついにシッポからオクマーマの声が!
「マユミおねーちゃん! 場所がわかったっちゅ、連絡してくだちゃい!」
突然シッポが動き出し、声をあげたのを見て驚くマユミ。
「あっ、オクマちゃんっ! やっ、やったのねっ⁉ 体の方は、大丈夫っ⁉」
「オクマーマは、大丈夫っちゅ! はっ、早く連絡するっちゅ!」
「あっ! そっ、そうだった!」
マユミはオクマーマから場所を聞くと、すぐに警察へ通報するのであった。




