第十六話「キミナのロボットバトル」
カタイナーと、ぬいぐるみオクマーマを対峙させるキミナ。
いつものように、ロボットバトル遊びが開始される――。
「まずは、オクマーマちゃんの先制攻撃っちゅ。キックっちゅ!」
いかにも幼児らしく、オクマーマでカタイナーをダイナミックにキックさせるキミナ。ぬいぐるみオクマーマの柔らかい足が、硬い超合金カタイナーに当たってめり込んでしまう。
「カタイナーは、硬いっちゅ。柔らかいオクマーマちゃんの足の方が、へこんじゃいまちた」
自分でキックさせておきながら、思わずオクマーマの足をさすってあげる優しいキミナ。
「次は、カタイナーの攻撃っちゅ。パンチ発射っちゅ」
カタイナーの腕にあるプラスチック製スイッチを押すと、バネで勢いよくパンチが発射された。
オクマーマの白い胸に命中すると、コロッとその場に落ちるパンチ。
もう片方の腕にも、パンチの発射ギミックは付いているが――そっちは壊れており、片手しか使えなくなっている。
「カタイナーのパンチが当たっても、耐えたっちゅ。オクマーマちゃんも、頑丈っちゅ」
キミナはパンチを拾って、再びカタイナーの腕に差し込んだ。
そして今度は、腹部のパネルをオープン。
ここにも、小さなミサイルが発射出来るギミックが付いている。
そこのボタンを押すとミサイルが発射され、パンチと同じようにオクマーマに命中した。
「オクマーマちゃんは、ミサイルにも耐えまちゅ。でも、ちょっと痛そうっちゅ」
ミサイルが当たったオクマーマを、思わずさすってあげるキミナ。
「ここでカタイナーは、ビームも出してきたっちゅ」
頭のボタンを押すと、カタイナーの目が光った。
無電源で、鏡が反射するだけのギミックである。
「ビームが、オクマーマちゃんに効いてまちゅ!」
片手で掴んでいるオクマーマを小刻みに揺らし、しびれたような動きをさせるキミナ。
「でもオクマーマちゃんは、これでビームを防ぐっちゅ」
キミナはそう言いながら、箱からカタイナー用の盾を取り出した。
その盾をオクマーマに持たせ、ビームを防ぐのようなポーズをとらせる。
「盾でビームを防いだっちゅ。今度は、オクマーマちゃんの反撃っちゅ。でもオクマーマちゃんには、飛び道具がありまちぇん」
キミナは続けざまに、箱からカタイナー用のコン棒のような武器を取り出す。
「オクマーマちゃんは、これを使いなちゃい」
オクマーマの手にコン棒を握らせたキミナは、カタイナーの手の方にも付属の剣を差し込む。
「これで、今度はチャンバラっちゅ。キーン! キーン!」
興奮しながら、両者を切り結びさせるキミナ。
まずオクマーマに持たせたコン棒をカタイナーの体に当てるが、もちろんカタイナーはビクともしない。
続けてカタイナーの剣もオクマーマに当てるが、こちらも柔らかい体が少しヘコむだけで当然ビクともしない。
「両方とも、頑丈っちゅ。引き分けっちゅ」
そんなキミナの姿を見るにつけ、いたたまれなくなってしまう母・大和アイコ。
(キミちゃん……。本当なら、もっと女の子が好みそうな玩具で遊びたいはずなのに……。私が女の子向けの玩具とか買ってあげられないせいで、お金のかかる遊びはまったく体験させてあげられなくて……。ゴメンね……)
しかしキミナの方は、ロボ遊びがまんざらでもなく大好きであった。
なぜかわからないが、妙な安心感を抱いていたのである。
ぬいぐるみオクマーマも超合金カタイナーも、共に父のニオイが染みついているからであろうか――。




