第十四話「究極体⁉ 夢の魔法少女オクマーマ」
不死身の念波ロボ・オクマーマでも『念波が尽きた場合は完全に死ぬ』と聞き、ショックを受けるマユミ。しかしオクマーマは、元気を出して答える。
「大丈夫っちゅ、そう簡単には死にまちぇん。念波が届かなくなっても、体内に残ってる念波エネルギーで数時間は維持出来まちゅ。その間にまた念波を受けられれば助かりまちゅから、即死はしまちぇん。それに鉱石の方もかなり頑丈で、よっぽど特殊な方法でない限り壊れる心配がないっちゅ」
「じゃあオクマちゃんは、少なくとも念波ある限り半永久的に生きられるのね⁉」
「それも、違うっちゅ」
「ええっ、どうして⁉」
「その鉱石が念波を出し続けるのは、推定あと八十年~百年前後らしいっちゅ。鉱石は一つしかないっちゅから、オクマーマの寿命も最大でそれくらいっちゅ」
「そうなの……」
「でも、これだけ寿命があれば~。マユミおねーちゃんと、大体同じくらいは生きられまちゅ。ちょうどいいっちゅ」
「今から百年後じゃ、私は多分死んじゃってるわよ~」
「ダメっちゅ~。マユミおねーちゃんは、長生きしてくだちゃい」
「ありがとう、オクマちゃん」
「研究所では、人工の念波鉱石も研究中だったみたいっちゅ。でも研究所の解散で、頓挫したっちゅ」
しかしオクマーマは、人工鉱石が作られなかったことで逆に安心していた。この先マユミがどんどん老いていき、その死後までも自分だけが不死身で延々と生き続ける――そんな悲しい状態を、オクマーマにはとても想像したくなかったからである。
「オクマーマの魂は、元々いい子ちゃんの魂っちゅ。だからオクマーマは、いずれ死んでも悔いはないっちゅ。本当なら、いい子ちゃんがこれくらいの期間生きるはずだったっちゅ。オクマーマは生きている限り、いい子ちゃんの代わりに善行を頑張りまちゅ!」
「私も協力するわ、オクマちゃん!」
「でもオクマーマは、力がないっちゅ。ただ、念波ロボは大きな可能性も持っているのが今回わかりまちた。魂と体の融合度が高まると、念波を高度に操作出来るらしいっちゅ。これから、頑張って訓練しまちゅ」
「高度な操作って、例えば離れた物をサイコキネシスで操ったりするとか?」
「そうっちゅ。あと、融合度が上がると……オネンネしてるいい子ちゃんの自我に残っている記憶を、より深く引き出せるようになる効果もあるらしいっちゅ」
「それなら、一石二鳥ね! 大変だと思うけど、積極的に訓練すべきだわ!」
「いつか、いい子ちゃんの名前が自力でわかる可能性だってありえまちゅ。さらに、融合度が究極的に高くなると……いい子ちゃんの記憶に残ってるすべての物に、自分の姿を自由に変身させることまで出来るらしいっちゅ!」
「じゃ、じゃあっ、オクマちゃんが、オクマちゃんの自我のままで、姿だけいい子ちゃんの姿にも変身出来る可能性があるのねっ⁉ それどころか、いい子ちゃんのパパやママの姿、あるいは知ってる他人の姿、もっと言えば、人間じゃない動植物、お皿や本とか車とか、物品にさえ変身出来るということよねっ⁉ まるでオクマちゃんが、魔法少女そのものになっちゃうわ!」
「でも~。融合度を高めるのは、相当難しい精神統一が必要らしいっちゅ。例え何年練習しても出来る保障はなくて、あくまで可能性にすぎまちぇん。でも、これから毎日練習しまちゅ!」
「その意気よ、オクマちゃん!」




