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風変わりなVRMMO(仮)  作者: 渡歩畝
第一章 接続開始
1/8

#001

創作意欲が沸いたので、見切り発車で書き出して初投稿。

そのため設定はかなりふにゃふにゃで、矛盾やトンデモ理論等々が内包される可能性があります。

生暖かい目でご覧ください。


誤字脱字等ありましたら、ご指摘いただけると幸いです。


 ――自然と目覚めて時間を確認すれば、午前六時半前。時計のアラームが鳴る前に起きたようである。ベッドから抜け出しアラームを解除。点けっぱなしになっていたパソコンからテレビを起動して窓辺に移動する。そのまま大きく窓を開けて、体も大きく伸びをする。

 あ、鍵かけ忘れていた。……二階の部屋だから大丈夫、ダイジョウブ。


 ひんやりした空気が体と心を過ぎていく。


 五月ともなれば外は日がすっかり昇り、雲の無い青空を見るに朝の清々しい空気と相まって、今日一日が陽気に恵まれた日になりそうに思えてくる。まあ「午後から急な雷雨にはご注意を~」と、美人の気象予報士が外出時の雨具携帯を勧める声が聞こえるけれど。

 そんな予報を聞きながら体を解し終えると、換気と日光浴のため開けた窓を閉じて、施錠を確認。冷蔵庫から適当に摘まめる食料をあさって簡単な朝食とすると、久方ぶりの連休を満喫するためにパソコンを少し操作してから、もう一度ベッドに横になった。


 別に外出が億劫になって、二度寝しようというのではない。せっかくの休日であるし、それもまた良いかもしれないが、今は別の楽しみがある。


 「The inconvenient world」(不自由な世界)という、先月末に発売された没入型VRMMOを昨夜ダウンロードしていて、それをこれから始めるためである。

 なんとも窮屈そうなタイトルではあるが、内容はよくある剣あり魔法ありな中世風の仮想世界を体験できるというもの。

 特長としては、五感を現実と変わらない水準で再現でき、動作面での違和感が少なくプレーできること。そして、住民と呼ばれるNPCノンプレイヤーキャラクターの中には、高精度なAI(人工知能)によって動いている者も居り、自由な会話が成立するという。状況次第では特殊な依頼が発生することもあるそうな。


 ――名も知しらぬ町中を行き交う、様々な装いの様々なヒト型の者たち。

 ――ふと覗いた露店で、親しげだけどこか腹の内を探るような交渉をする客と店主。

 ――夜になり酒場へ向かえば、仕事上がりか陽気に騒ぐ声も肴に酒や料理を楽しむ人々。

 ――郊外へと出れば魔物たちの領域があり、これを討たんと剣が閃き、魔法が爆ぜる。

 ――遺跡のような中を進めば、仕掛けられた罠を掻い潜り秘された財を探す。


 そんなPVプロモーションビデオを見かけ、気になった事があり、やってみようとヘッドセットやらメモリやら奮発したのである。


 先行者の多くの感想としては、面倒な事もあるが良くできた自由度の高いゲームという評価。

 では何故タイトルに態々“不自由な”と入れて、実際の感想にも面倒などという意見があるかといえば、開発陣のこだわりのせいだろうか、主に物流に関するシステムに因るらしい。……主にであって、他にも色々あったりするみたいだけど。


 ここの物流は、季節や豊凶、特需など様々な要因で需要供給が変化して、市場に並ぶ品の量や価格まで変わってくるというもの。普段なら簡単に買える品が、どこを探しても見つからないということがあるそうな。

 これに伴ってだろう、町村などの拠点間の移動は一般的に徒歩であり、他のゲームで見かける拠点間を一瞬で行き来できるたりする転移関係のものが無い。また、内包物の経過時間が停止する便利道具のような物も見当たらないというのである。依頼などで生ものを扱うこともあるらしく、この辺りも他のゲームで慣れた者からすると不便に感じる様子。


 詰まるところ、Mっ気もとい、根気がある人や困難を遣り甲斐と感じるような人なら割と問題無いという理解に至った。私自身は、この手のゲームに慣れていないので、そうゆうものだと分かっていれば、そこまでする気にする事もなかろう。


 視界の端に映るパソコンに「インストールが完了しました」のポップアップが出たので、VR用ヘッドセットを装着。気を取り直してゲームを始めることにした。


 ヘッドセットにはパソコンの画面の映像が映し出され、視線入力で操作して「The inconvenient word」を起動する。

 使用許諾契約の同意を求める文章が出てきたのをさっと流し読みするが、一応健康に関する事項のところだけは良く読み込んでおく。

 ふむふむ、「当ソフト使用中又は使用後、身体に異常を感じたら医師にご相談ください。」との文章を発見。やはり安全性の保証を完全には出来ていない訳ね。感覚云々もあるし、現実一時間をゲーム内では三時間相当に拡張しているらしい。そこは納得しなくては先に進めないので、同意しますけど。


 先へ進めていくと視界が暗転、軽い浮遊感を覚えると共に辺りにも光が戻ってきた。


 小高い丘のようなところにいるようで、地面はなだらかな起伏の続く緑の草原。視線を上げれば快晴の空があり、前方に戻して遠くを見れば川に隣接する石壁らしき物に囲われた都市。更に奥には城らしき物も見える。後方の風景も気になるところではあるが、一つ問題が発生している。

 

 体が、全く、動かない。

 いや、視線は動かせれども、それ以外が動かないのである。視界の端でゆっくりと点滅を続ける「Now Loading」の文字が、そこはかとなく焦燥感を煽ってくれている。


 ――止めどない不安に駆られること、数分。


 また視界が暗転、次に見えたのはパソコン画面。そして、タイムアウトとその理由を報せる表示。硬直の原因はメモリが足りなかったらしい。そういえば足りなかった分買っておいたけど、その後構ってないかったか。

 問題が解決してよかった。どっかから神様が現れて異世界へ飛ばされる的な何かが起こるのかとか、色々想像をしてしまっていた。冷静に考えれば、そんなことが起きる確率など零に等しいだろうに。恥ずかしい。


 一つ深呼吸をして起き上がり、宅配された荷箱の中をあさる。未開封のそれを見つけて、パソコンを弄る。ついでに他の要求スペックを満たしていることもきっちりと確認した。これで問題あるまい。

 窓の施錠の件といい、今回の件といい、少し迂闊になっている気がしないでもない。思ったよりも楽しみにしていたのかもしれない。


 気分を落ち着けるため、また深呼吸をしてから見落としが無いか確認。――今度こそ、大丈夫だろう。


 またベッドに戻り、今度こそはと思いながらゲームを起動する。


お読みいただきありがとうございました。

本日13時に2話目を予約投稿済み。以後は不定期更新となります。


2018/9/25 一部表現や誤字等修正のため改稿。


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