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いつもの仲間と異世界道中!  作者: ミドリムシ
旅立ち編
7/70

第六話 武術の訓練

そして各自が魔法の練習をしながら夜は更けていった。


~673年、風の月、第8日~


直樹達はちょっとだるそうな顔をしながら食堂に来ていた。


「おはよう…魔力操作って難しいな」


「おはよー」「おっすー」「ん」「おはよう」


直樹が挨拶をし、何かを悟ったかのように呟いた。4人はそれぞれが挨拶を返しながら頷いていた。そして直樹は朝食を食べながら4人に話しかけた。


「あー、今日から訓練あるし俺の"統率"使っとく?」


「そうしようか」


「よっし!……ん?ああー、頭で選択するのか。これでみんなになんか申請みたいの行ってない?」


「あ、来たわ」「こっちも」「俺も」「右に同じく」


「じゃあ、俺に貸す?共有するが正しいかな…スキルを選んで承諾してくれ」


そう言い終わってから数分後、何かが入ってきたような違和感を直樹は感じていた。この感じと似たような違和感を直樹は昨晩も感じていたためそこまで慌てていなかった。


「んーなんか入ってきてる感じがして気持ち悪いな」


「あれ、直樹も感じてたの?俺も感じてんだ」


「え?良平も?マジで?」


「良平だけじゃなくて多分全員だと思う」


宮本が何か考えながら言った。そしてステータスプレートを取りだし、見て納得したように頷いた。


「それぞれ自分のステータスを見てみな」


宮本にそう言われそれぞれが自分のステータスプレートを見た。


すると…



―――――――――――――――――――――――

河内 直樹 年齢 16 性別 男 

レベル:1

種族:人間 天職:魔法剣士

体力:187

魔力:33 +1up!

筋力:38

敏捷:26

耐久:31

魔攻:34

魔防:27

属性 炎 風 無

スキル 鑑定Lv1 成長Lv1 統率Lv1(錬金術Lv1 調教Lv1 隠蔽Lv1 盾創造Lv1) 魔力操作Lv1 new!

エクストラスキル全言語翻訳

称号『異世界人』

―――――――――――――――――――――――


魔力とスキルが増えていた。"統率"に括られているスキルはいいとしても、魔力操作は明らかに新しく増えたスキルであった。


「スキルが増えてたわ」


「俺達のってこと?」


「それが違うのだよ智哉君。なんと魔力操作のスキルが増えていたのだよ」


「え?お前もう新しいスキル手に入れたの?早すぎない?」


直樹が智哉に指摘していると佐東が驚きを顔に出しながらに詰め寄ってきた。


「なんか、昨日の夜にさっきの妙な感覚があってさ、その時は魔力酔いってやつかなって思ってたんだけどね」


「昨日の夜とか早すぎだろ…」


「成長スキルのおかげかな?」


「いまいちわからないけどな」


佐東が驚きを通り越して呆れたように言いった。良平は直樹がスキルをこんなに早く手に入れたのはスキルが原因だと気付いたようだった。その本人は多分そうだろうとしか考えていなかったが、実際にそれが一番の理由だった。


「ちょっとチート過ぎるわー」

「俺達も頑張ったのになー」


宮本、佐東から不満の声が上がった。


「これからはお前達にも"成長"の恩恵あるから」


宥めるように直樹が言った。


「それもそっか」


「これからに期待だな」


「よし!2人も納得してくれたみたいだし飯も食べ終わったし部屋に戻って訓練の時間まで昨日自分が読んだ本の内容の知識を共有しようか!」


「「「「賛成!」」」」


そうして5人は直樹の部屋に移動した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


午後、訓練が行われる時間に近付いて来たので直樹達は移動していた。そして良平が先程の内容を思い出しながら言った。


「いやー、それにしても意外だったわー。無属性が最強か!って思えるし」


「ホントホント。無属性って身体強化系だけだと思ってたからな~」


「直樹が読んでた『魔法大全』だっけ?あれに全てが載っていると言われても今なら信じられるよ」


良平の意見に賛成という感じで宮本が言い、智哉が『魔法大全』を絶賛していた。


そう、昨日書庫で読んでいた本『魔法大全』は直樹が部屋で読んでいたのだ。その本で直樹は無属性魔法のことを知り4人に教えたのだが、その内容は4人が持っていった本の無属性魔法との説明とはかけ離れていた。いやかけ離れていたというよりも、より細かく正確な部分まで詰められていたと言った方が正しいのだろう。


「無属性魔法は時空魔法や、重力魔法、身体強化系魔法など様々な魔法が含まれるとかどれだけだよ!って思えるよね」


「そういった魔法を使えない人がいる場合もあるかもしれないけどその場合は魔力操作のレベルが低かっただけとか、無属性万能過ぎでしょ」


良平が興奮しながら言い、佐東が無属性魔法の有用性を染々と感じているようだった。しかし、直樹は逆に意外だったと言うように口を開いた。


「俺としては、何故良平達が読んだ本には無属性魔法は身体強化系魔法だけとしか書かれていなかったのか謎なんだけど…」


「多分だけど、その『魔法大全』の著者が凄い人だったんじゃない?だって俺達が読んだ本には時空魔法なんて失われた魔法(ロストマジック)って書かれてるからね」


「なるほどねぇ~」


「ん、訓練場はここかな」


直樹の疑問に良平が応えた。そして話していると訓練場に着いた。


しかし中を覗くと生徒の姿は1つもなく代わりに騎士が5名いた。


「やぁ君達が旅に出たい召喚者かい?」


その騎士の中から1人が前に出て笑顔を見せながら言った。


「はい、確かに私達がそうですが…他の召喚者はどこにいるのですか?」


直樹が代表して答え、他の生徒達のことを訊ねた。


「ああ。君達は非戦闘職らしいからね。剣術の覚えに差が出るだろうから分けることにしたんだよ」


「なるほど…あ、私の名は直樹です。よろしくお願いします」


「良平です。よろしくお願いします」


「宮本です。よろしくお願いします」


「佐東です。よろしく」


「智哉です。よろしくお願いします」


騎士に理由を教えてもらい、それぞれが挨拶をした。騎士達にも伝えられていないがこれを仕組んだのは王女で、直樹達が勇者達の邪魔になると考えていたためである。そしてこれは魔法の訓練でも同様であった。


「ええ、どうも。私は近衛騎士のテリーです。よろしく」


「俺はチックだ。よろしく頼むぜ」


「僕はレヴィー。よろしくね」


「私はゲイルよん。よろしくねぇ~」


「俺っちはフェイルってんだ!よろしく頼むぜ!」


お互いの挨拶が済みこれからどう訓練をしようかという話になった。


「実は私達、自分にあった武術を身に付けたいんですけどよろしいですか?あと、これから暫くお世話になると思うのでいつものように接してもよろしいですか?」


「う~ん、まあ教えるのは一対一になるからね。取り敢えず希望を聞こうかな。それといつも通りの君達で多分問題ないよ。あまりにもダメだったら注意しちゃうだろうけどね」


「わかりました。いや、わかった。希望は俺が剣術、良平が杖術、宮本が槌術、佐東が短剣術と二刀流、智哉が剣術と盾術だけど大丈夫?あと、みんなに体術を教えて欲しいかな」


「あ、ああ。大丈夫だよ。思ったよりも適応能力が高いんだね。ナオキ君は私が担当で、リョウヘイ君はレヴィー、ミヤモト君はゲイル、サトウ君はフェイル、トモヤ君がチックでいこう。体術はこれから少しずつかな」


直樹が了承を得てからすぐに対応が変わったのでテリーは驚いてしまったようだった。確かに初めは丁寧な話し方だったのに今はため口である。驚くのも無理はないだろう。


ただ直樹がこんなに早く自分達の習いたい武術を言えたのは前々から話し合っていたからだ。自分達がこれから魔法だけに頼るつもりはないため武術をどうするかと相談していた。そして各々が先程の武術を選んだ理由は、直樹達の世界にはVRMMOがありそこで自分が一番使っていた武術を選んだからだ。良平は全くVRMMOをしたことがなかったため4人に聞き杖術に決めたのだ。


「それじゃ訓練を始めようか」


そうテリーがいい、各々の武術の訓練が始まった。ただ一人、


「俺は嫌だ~!ヒィ!こっちに来るな…!なぜ俺の尻を見る!?やめろ!やめてくれ!あぁぁぁ!」


と言っていた気がするが…



「ナオキ君は剣術と言っていたいけどどんな形にしたいんだい?」


「俺は片手剣かな~。余裕があれば二刀流に挑戦してみたいけどね」


「片手剣だね。それじゃまずは素振りからだね。1回見ていて」


テリーがそう言って練習用の剣を持ってきて素振りを見せた。まず基本となる上から下に斬り降ろす動き、横に斬る動き、下から上に斬り上げる動き、そして今行ったのと逆の型を一つ一つ丁寧にそして素早く行っていた。


そして一通り終わったのか呼吸を整えながら言った。


「ふぅー。どう?こんな感じなんだよね。取り敢えず一つの型を1日200本で6つの型があるから1200本だね。大切なのは意味を考えながらしっかり剣を振ることと、身体全体を使って振ることだよ」


「まあ、頑張ってやってみるわ」


そして直樹は一つ一つ丁寧に行っているのだが…


「腕を上げて下げすぎてる!」


「重心を低くしないと動けないよ!」


「ほら身体全体を使って!」


などとたくさん指摘されて今日の武術の訓練は終わりを迎えていた。


「(う~ん、VRMMOの時と同じように振れないかな~?いっちょやってみるか!)」


直樹は今日の訓練の最中は言われたことしか行っておらず、今になってようやく自由にしてみようかなという心が生まれたのである。そして少しそうやって振っている時に何か言いようもない違和感が身体に入ってきていた。それも午前の比では無かった。


「気持ちわるっ…」

「?ナオキ君の動きが変わった?なんだ!?先程まで全然なかったキレが出ているだと!?」


直樹が入ってきた違和感に気持ち悪がっている時にテリーは物凄く驚いていた。なにせ先程まではド素人と言っても過言では無かったのだ。しかし今は玄人でも、いまのところテリーですら顔負けだろうと思われるほど、直樹の剣のキレが上がっているのだ。


それは直樹のところだけで終わらなかった。そう他にもいたのだ直樹のように最後ならちょっとはめはずしてもいいかな、と考える奴等が。ただ一人、良平を除けばVRMMOで自分の武器を振り回していたのだ。そしてそれは自分の経験(・・)になっていた。


「はい、ラストっと!」


最後に力を込めたのか風斬り音が聞こえてきた。終わったのを見届けて冷や汗を流しながらテリーが直樹に聞いてきた。


「えーっと、ナオキ君は今日、初めて剣を握ったんだよね?」


「そうだよ。現実(・・)で握ったのは初めてだったかな」


「?今の君なら僕よりも技術は上だと思うよ。そして今日の訓練はこれまでだね」


テリーが疑問で一杯そうだったが直樹にそれを教えてくれて周りを見ていた。周りももう既に終わっていて、直樹達を待っていた。


そうしてみんなのところに移動した。そこでテリーを含めた4人の騎士がもうなにもする必要がないといった表情で直樹達を見ていた。それが本人たちにも伝わったのか5人は姿勢を正し横に並んだ。


「本日はありがとうございました!」


「「「「ありがとうございました!」」」」


「体術などまだ教えて貰いたいことはたくさんあるので明日からもよろしくお願いします!」


「「「「よろしくお願いします!」」」」


と言ったら騎士達は苦笑しながら


「こちらこそよろしく」


と応えた。そして直樹達は次の魔法の訓練場に向かったのだった。



~騎士side~


直樹達が訓練場を出ていくと騎士達は先程のことを話し合っていた。


「王女様に聞いていたほど生意気出もなかったかな。むしろ礼儀正しかったしね」


「そしてあの4人は多分俺達よりも強いぞ。技術的な面だけだが」


「報告した方がいいかな?でもそしたら彼らの障害になりそうだし…」


テリーが意外そうに言い、チックは彼らの技術を意識し、レヴィーは王女に報告しようかどうか迷っていた。


「私は何も言わずにいた方がいいと思うわん」


「俺っちもそう思うぜ。むしろ彼らの評価通りショボいとか言っといた方が良いと思うぜ」


「みんなもそれでいいかい?」


「うむ」「いいよ~」「いいわよぉ」「賛成だぜ」


意見がまとまり騎士達も訓練場を後にしたのだった。


~騎士side end ~


次の更新は金曜日の19時になります。

3日も空けてすみません…

そして10話までには王城をでたいと思っています。


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