第六十三話 救助
智哉の悲鳴は既にいなくなっていた直樹達には聞こえなかった。
直樹達が街道を走り出してから2時間程経ち太陽と思わしき恒星がちょうど真上に来ていた。所謂昼になった。
その時間帯になるとお腹が空いてしまう訳で直樹達は食料を探していた。いや、買っているからそれを食べればいいだろとは思うなかれ。それをしてしまうと費用が沢山掛かってしまうし、何よりも冒険の楽しみが減ってしまう。それは直樹達にはいただけないものだ。が、たまには楽をしたいのでそう言う時や急いでいる時は買ったものを食べるようにしていた。
だから現地調達という形でいつもは魔物を狩っていたり野生の動物を仕留めたりしていた。方法は誰かしらの"察知"で何かを感じていたり、訓練によりその物が持っている気を感じて探していた。
今回もいつも通りの方法で探そうとした。だが何故か魔物や野生の動物の気配が全く感じられなかった。
「これはどう言うことだ?」
「わからないね。今更俺達の気配が魔物達に伝わったとは思えないけど…」
「そうだよな。それならもっと早くからいなくなっていてもおかしくないもんな」
「俺達の"隠密"はそう簡単に分かるものじゃないから違うと思うぞ」
「それじゃあ一体なんで?」
智哉の言葉でまた考えようとしたその時、
───ガオォォォォォォ!!!!───
直樹達の元に怪獣映画で聞きそうな咆哮が響いてきた。
それと共に
「キャーーーーー!!!」
という、女性の声が聞こえてきた。
これには直樹達も反応せざる負えず声が聞こえた方へ全速力で駆け付けた。
その途中に旅をするような装いだったので『完装』と唱えこれから来たる戦闘に向けて準備をする。本当なら『完装』するまでも無い敵だと思うのでする必要性は無いが、女性の声が聞こえたために少しでも格好良く行こうと思った直樹達の男の発想だった。
方向は街道を先に行きそこから森の中へと入っていく道だった。直樹達はこの旅で森の中の移動が慣れていたのでとてもスムーズに向かう事が出来た。
そして直樹達が襲われているであろう女性の元に辿り着いた。
その時にはモン◯ンで出てくるティ◯レッ◯スのような魔物が女性へとその30cmはある狂暴な爪で切りつけようとしている所だった。
「ヒッ!……………」
女性が息を飲む音が聞こえてきた。
直樹達も危ない!と心の中では思っていたので女性を守ろうと動きだそうとした。
そんな直樹達の中で最も早く動きだした者がいた。いつもは後ろの方でただ着いていき楽しければいいがつまらないと文句を言う奴だった。
「ふんっ!!」
「ギャオォォォォ!!!」
いつも使っている槌を思い切り振り魔物の爪を弾いた。いや、弾くなんてものではなく、3本もある爪を全て折っていた。
そこからは素早く5m程ある巨体の相手の懐に潜り込みテ◯ガ◯ックスを彷彿させる顎を槌で叩き上げた。その一撃で相手の体が若干浮わついたのでさらに追加とばかりに土魔法の『アースランス』を腹に向かって地面から突き上げて腹に穴を開けた。
「ギィァオォォォォォォ!!!」
それにより相手の動きは止まり、止まった頭に向かって槌を振り下ろす。もうそれで相手は既に瀕死に近い状態だった。ただまだ相手は倒れていない。
手負いの獣が一番危ないということを経験から分かっているので最後まで油断せずに近付かずに魔法で止めを刺した。
魔物が死んでいることを確認してから後ろで怯えていた女性───猫耳が見える女性に近寄って、女性が腰を抜かしたのか座っていて立たないので手を差し伸べながら言った。
「大丈夫ですか、お嬢さん?」
「へ?あ、はい!あ、危ないところを助けて頂きありがとうございます!!」
助けられた女性はお礼を言いながら手を取った。その頬は赤らんでいるようにも見えた。
それを遠くから眺めていた直樹達4人はこう語った。
「あいつはいつかやると思っていたんです。もう確信していましたね」
「そんな人じゃなかったのに。なんであんなことを…」
「彼は何度かやってましたよ?ええ、今回が初めてではありません」
「俺は前回の根に持ってるから!絶対にツッコまないから!」
「いや!お前達のは全て聞こえてるからな!?何で俺が犯罪者みたいな感じになってるんだ!!」
どうやら直樹達の声も宮本はしっかり聞こえていたようで遠くにいるのにツッコんできた。
何故か智哉が敗北感に包まれている顔になっていたがそれは宮本達に興味を持っている直樹達3人は気付かなかった。だが違う方から見ていた宮本だけはしっかりそれが見てとれたが何も言わずそのことには触れなかった。
直樹達4人も宮本の方へ合流し猫の獣人であろう女性の話を聞くことにした。
質問です。魔物の名前とかってどう決めればいいのでしょう?
いつも迷っています。
次回の更新は3日以内の予定です。
時間は20:00~21:00頃を予定しています
訂正
惑星 → 恒星




