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いつもの仲間と異世界道中!  作者: ミドリムシ
旅立ち編
6/70

第五話 謁見と魔法

部屋に帰る途中に何人かに睨まれていたが直樹達は気にせずに自分達の部屋に戻ったのだった。あとで話すことも忘れて…


~翌朝~


「知らない天井だ………ああ、そっかぁー昨日のは現実だったんだな」


そう言って直樹は起きた。昨日起きたことは日常とは程遠かったからか現実と見ていない自分がいたのだ。ここは自分がよく想像する世界に似ている、そこから夢だと考えてもいた。


今日の朝食は何かな~などと考えながら身支度をしていた。そして、ふと何か忘れていないかと思ってしまった。何を忘れたのか記憶を遡って行くと思い出すことができた。


「あ゛!夕飯のあとに話があるとか言っておきながら忘れてたじゃん!」


ヤバいー、忘れてたー、など言いながら部屋に置いてあった服に着替えて朝食を食べに食堂に向かった。


直樹が食堂に着いたらもうすでに生徒達のほとんどがいて、昨日の場所には佐東を除いた3人がいた。


「よっす~。昨日、話があるとか言いながら忘れてたわ」


「おはよう。そう言えばそんなこと言ってたね」


「ああ。これからのどうやって行動しようかなぁ~とね」


「それじゃ朝食を摂ってから直樹の部屋に集合ってことでいい?」


「オッケー」


直樹が挨拶をしたら良平が反応した。宮本は朝で辛いのか渋い顔をしながら頷き、智哉はだるそうに頷いた。その2人を見た直樹は疑問に思い訊ねた。


「お前ら辛そうだけど大丈夫かよ」


「理由はあとで言うから」


「俺もあとでね」


2人があとでと言うのでそこまで深刻ではないのだろうと直樹は考えた。


そうしていると佐東や他の生徒も来て全員が揃った。そして佐東もだるそうにしていたので理由を聞くと先程と同じくあとでと言った。佐東に部屋に集合することを伝えて朝食は終わった。


5人で直樹の部屋に入ると、各々が適当な場所に座り先程のことをもう1回直樹が訊ねた。


「マジでどうしたん?」


「昨晩に魔眼っていうスキルを使ってると途中でだるくなって意識が無くなったんだよ。俺はそれが理由だと思っている。あとは1人でボケたことかな…」


「スキルを使ってとボケた?」


「ボケたというか…あれだよ、知らない天井だって言っちまった…」


「俺もだわ…」「俺もだ……」


宮本が理由を答えてボケたと言った時に直樹が怪訝に思って聞き返したが、ボケの内容を聞いて自分もやったなと思い返していた。そしてそれは直樹だけではなく佐東もだった。


3人がやっちまったなぁなどと嘆いていると智哉がそんなことはどうでもいいから早く話の続きをすれというような視線を送ってきたので3人は嘆きから戻ってきて直樹が仕切り直すように言った。


「んんっ!それでスキルを使うとっていうのは?」


「うーん、いまいちわからん」


「俺は何となくわかるかな。多分魔力が消

費されたのが原因だと思う。俺は昨日盾創造を使ってたからね」


宮本はわからないと言ったのに対して、智哉が予想を口にした。直樹はその予想に納得をしていた。


「なるほどねぇ~。俺は普通に寝たしそもそも魔力が減りそうなスキルがないしな」


「じゃあ佐東はどうしてそんなだるそうなの?」


「俺はテンションが上がって寝れなかった…」


「「「「子供か!!」」」」


良平が佐東に訪ねると、予想もしない回答だったので、その場にいた全員が突っ込んでしまった。佐東は部屋の隅に行きブツブツ呟き始めた。それを4人は無視して次の話題に移った。


「だるそうな理由はわかったわ。話変わるっていうか昨日の続きだけどこれからどうするよ?いつまでいる?」


「1ヶ月くらいでいいんじゃない?」


「俺もそれでー」


「うん。いいと思うよ」


「楽しんでたっていいじゃん………」


直樹がこれからどうするか聞くと良平が昨日言ってたことでいいと言った。1人以外からは賛同を得られたので1ヶ月くらい力を付けるためにいることを決めた。


話がまとまり5人で一条達の所に向かい謁見の間では旅のことをよろしく頼むと頭を下げに行き、呼ばれるまでゆったりと話をしていた。


ちなみに直樹がメイドにこの世界の時間を聞いた所、1日24時間で1年は6ヶ月で360日。月は炎、水、風、土、氷、雷の6つで~の月と呼ばれていると教えて貰った。現在は673年、風の月、第7日らしい。


そして昼ぐらいにメイドに連れられ生徒達は謁見の間に通された。


直樹達が見て半分くらいの生徒は緊張しているようだが、もう半分くらいの生徒は楽しみだという感情がありありと伝わって来た。その楽しみだという生徒の中には昨日直樹達を馬鹿にした3人組もいた。


謁見の間には昨日いた王、王子、王女の他にいかにも騎士ですと言わんばかりの鎧を着けた人が2人いて片方は女性だ。その他にはローブを羽織っている人が2人、大臣のような人が1人といった面々がいた。


「それでは諸君らの返答をお聞かせ貰いたい」


生徒達の様子を見ながらカイゼルが口を開いた。言葉を聞いて一条が生徒達の前に出て答えた。


「カイゼル王。私達召喚者はある5人を除いて魔王を討伐したいと思います。その5人とは天職が非戦闘職の人です。彼らは旅に出たく、そのためにしばらく王城で力をつけさせて頂きたいと言っておりますがどうかその要望を叶えて頂けないでしょうか」


「うむ。それくらいのことならば良かろう。むしろこちら側が協力したいと思っておる。そして大多数の者が魔王討伐を行ってくれるとは思ってもいなかった。ありがとう」


最後にカイゼルが頭を下げ、その場にいた他の人も同時に頭を下げた。


「それではこちらからはこれから君達がこれから関わる人を紹介したい。まずは今私の隣にいるモルガンからだ」


「どうも私は宰相のモルガン=ルクスリアと申します。何かお困りのことがあれば何でも言ってください。但し聞くだけですので実際にするかしないかは別ですのでご注意を」


モルガンが軽く笑いながら頭を下げた。その礼は見事としか言えないほど美しい礼であった。


モルガンはイケメン茶髪で30代前半くらいにみえ、眼鏡をつけ仕事に生きる人という感じである。身長は170cm後半くらいだ。


そして鎧を来た男の人がその場から一歩前に出てきた。


「俺はラスウェル王国騎士団団長のマックス=ミレニアムスだ。君らの剣術をみる。これからよろしく頼む」


マックスは筋骨隆々の厳つい男だ。団長じゃなく一国の長と言われても違和感がないほどの風格を持っている。身長も195cmくらいあり大きく、巌のようである。


言い終わり礼をすると、次は女の騎士が出てきた。


「私はラスウェル王国騎士団副団長のエリーナ=ルーズです。私も皆様の剣術を見ます。よろしくお願いします」


エリーナはクールビューティーといった感じでミディアムヘアーの美しいというよりも綺麗な感じの人だ。身長は170cmくらいでなかなか高い。


次はローブを羽織った2人が一緒に前に出た。


「私はラスウェル王国魔法師団団長のスング=テーヌと申します。私が君達の魔法を担当します。魔法は使えたら楽しいですよー!期待していて下さいね!そして隣にいる人が魔法師団副団長のトマス君です。彼は無口ですがいい人ですよ。それではトマス君挨拶を」


「副団長トマスです。よろしく…」


スングはいかにも魔法師といった感じで眼鏡を着けている。ただモルガンと違い髪などもボサボサでしっかりしているタイプでは無さそうに見えるが優しそうではある。身長は170cmとこの世界ではやや小柄な方だ。


トマスはそんなスングよりもさらに小さく165cmくらいで、挨拶の時もローブのフードを被っており暗いイメージだ。


スングは最初から最後までずっと笑顔で話していた。生徒達はいい人そうだと思って明日からの練習に期待していた。そのためにまだ誰も気付いていなかった。剣術よりも魔法の練習の方が厳しいということを…


「これで挨拶も済んだな。諸君らには明日から訓練を行って貰いたいと思っておる。今日は心の整理をしてもらいたい。それでは何か質問はあるかね?」


挨拶が済み、これからについてカイゼルが話した。


質問が何か無いかと生徒達は考えていた。そして直樹はこれを待っていましたと言わんばかりに質問をした。


「カイゼル王。私は書庫のような場所があるならそこの書物を読ませて頂きたい」


そう。直樹はこの世界の知識を欲していたのだ。できれば昨晩から書物を漁りたかったが、下手に行動はしないようにしようと5人で話していたのだ。今はまだ目立つことはしないと。


「そうか。そなたは旅に出たいのだったな。良かろう。書庫は諸君らが自由に出入りしてもよろしいことにする。場所はメイドに聞いてくれ」


「ありがとうございます」


カイゼルは快く許可をくれた。直樹は内心とても喜んでいた。もちろん4人もだ。これで自分達に必要な知識が手に入ると。


「他に何かないかね?………何も無さそうだな。最後に1点、旅に出たい5人はいつ頃出たいか決めておるか」


「はい。一月(・・)程経ったらと考えております」


直樹が代表して答えた。本当はもっと早くに出たいと考えているが余裕を持って置きたくもあったのだ。この世界では簡単に死ねる。そのことを考えたら死なないように訓練をしておきたかった。


「うむ一月(・・)程だな。了解した。それではこれにて謁見を終了とする」


その一言で本日のメインイベントは終わった。しかし、召喚者達が退出するとき王女が直樹達5人を見る視線は侮蔑で染まっていた。


そして各々が部屋に戻り、直樹達は書庫に集まっていた。


書庫は王城の中にあるくらいなので当然大きく沢山の書物があった。そう、この5人は何をしに来たかというと、この世界の知識を身に付けにきたのだ。特に魔法という知識を。


「はい!やって参りました!書物が沢山や!」


「テンション高っ」


「これから魔法を学べるんだぜ!テンション上がるわ~!」


直樹が一番テンションが高いため、4人も普段以上にテンションが上がっていた。


「どこにあんのかなぁ。まず手分けして探すか」


「「「「了解!」」」」


そうして探すこと20分ぐらいが経過して、佐東の声が書庫に響いた。


「おい!みんなカモン!」


4人はその場の本を戻して佐東の元に向かった。


「佐東!見つかったか!」


「ああ!俺が見たかった勇者と魔王の物語を見つけたんだ!」


「「「「子供か!」」」」


「いたっ、ぐっ、やめ、おねがっ」


1人1発ずつ佐東を殴り各自先程の場所に戻ろうとした時、佐東が4人を呼び止めた。


「ま、待ってくれ。こっちだ。こっちが魔法の本だ」


「最初から魔法の本を出せよ」


「全くだ」


「いや、ほんのいたずら心が疼いたと言いますかなんと言いますか…」


「あったんだしいいでしょ」


「そうだね」


直樹が咎めるように言い、そこに宮本が乗ってきて、佐東は言い訳を始めそうになった。しかし、智哉と良平のおかげで佐東は事なきを得た。ただ4人は殴ったことに関しては全く悪いと思っていなかったため誰一人として佐東に謝らなかった。


「中身を見てみようぜ。はい、オープン!」


そこから5人は魔法が書いてある本を一緒に読んでいった。半分くらいを読み終わったとき窓を見たらもう暗くなりかけていた。


「読んだ内容をまとめて見ると、1つ目が魔法はイメージと魔力操作が重要。2つ目がイメージを作るために詠唱がある。3つ目が魔法は使っていると魔力が増える時がある。一番増えるのは魔力を使いきった時だが、死ぬ危険性もある。魔力が無くなりそうになりだるくなったりすることを魔力酔いという。4つ目が魔法には初級、中級、上級、超級、帝級、神級の6つのランクがあるということだな」


「そんな感じだね」


直樹が大体をまとめ、良平も頷いた。


「そろそろ暗くなるし他の魔法の本を借りて部屋に戻ってから夕飯食べに行こうぜー」


「オーケー」「了解」「おう」「わかった」


そして近くにある幾つかの本を借りて部屋に戻り夕食に向かった。


5人が読んでいた本はこの世界に一冊しかない魔法書で、著者は魔法が大得意な勇者だった。勇者は自分の知識、無詠唱で魔法を行う方法などを他の人に伝えれないかと考えていた。当時は魔法を詠唱で行っていたためそれを勇者は変えたかった。そして思い付いたのだ。本で伝えようと。しかし、魔法を覚えるのは人から人へ教えるのがほとんどであり、本を読んで学ぶことはほぼないのだ。勇者はそのことを知らなかったため、今まで誰にも勇者の知識が伝わっていなかったのだが…今日、5人に見つかった。いや、5人が見つけてしまったのだ。本人たちはそんなに凄い本だと思っている訳でもなく、この本の内容が常識だと思ってしまったのだ。5人は知らなかった。この本との出会いのおかげで5人は魔を究めし者「魔導師」と呼ばれるようになることを…


夕食後部屋に戻ってから少ししてまた5人は集まっていた。そして5人は少し会話をしたあとに風呂に向かった。そうこの世界にも風呂があったのだ。ただ貴族などしかまともに入れないようであった。


「かぁー。風呂は気持ちいいなー。うーん思ったんだけど魔法の本が少なくなかった?」


「ふぅー。いいねー身に沁みるね。確かに少なかったと思うね」


「あぁー。気持ちいい。この時代の文字見てて思ったけど、手書きだから絶対数が少ないんでしょ」


「ブクブクブクブク…………」


「あれ!?ちょっと!息止まってるし浮いてるんだけど!?」


「なるほどなぁ~」


直樹、良平、宮本までは普通に浸かったが、佐東は風呂に潜りどうやら気絶したらしい。智哉が慌てて引き揚げて脱衣場のような場所にある椅子に佐東を寝かせに行った。直樹は宮本の意見に納得し、これからのことに意気込んだ。


「うし!明日からも頑張るか!」


意気込んだはいいが…


「直樹…前、見えてるよ…」


「プックスクス」


「………」


良平が言いづらそうに指摘し、宮本は隠す気もないのか声を出しながら笑っていた。智哉は無言を貫き通し我関せずの態度を崩さなかった。そして直樹は静かに風呂に浸かり直した。


風呂から上がりそれぞれが部屋に戻っていった。


そして各自が魔法の練習をしながら夜は更けていった。



次の更新は火曜日の19時頃です。

読者の方には感謝で一杯です!

ありがとうございます!

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