第五十一話 従順?
そしてまず1人を起こして更なる情報を得ようとした。
直樹は良平達が誰から聞く?という表情で見てきたので全員がわかってる相手から聞こうと考えた。
「とりあえず1番面白そうなゴルゴッサからいこうか」
「名前だけで判断したな」
佐東は直樹が適当に決めたと思っているらしい。だがそれは違う!と直樹は言い張る為に言い返した。
「いや、全員がしっかりと見て分かりそうな奴を選んだつもりだ。その方が何かされてもすぐに動けると思ってさ」
だがその無駄な頑張りは一言で返された。
「それこそ"鑑定"を起こそうとする奴に使えばいい話だけどな」
直樹はガーン!という表現が似合う感じで崩れた。ただ崩れた理由は正論だったからという訳ではなかった。
「まさか!佐東に!佐東に!指摘されるなんて!!」
「ん?喧嘩売ってるのか?ん?今なら安く買っちゃうぞ?」
佐東が少しずつ直樹へと詰め寄るがその後ろには鬼がいた。直樹達からすれば鬼よりも恐ろしい者だ。
「ねぇ、2人共?口はいいからさっさと動いてくれないかな?特に指示だしたならしっかり自分から動きなよ、リーダー?」
「「ヒ、ヒィィィィ!!」」
「返事は?」
「「はい!!」」
ふふふ…と不気味な笑みを浮かべて佐東の背後から迫ってくる良平に2人は怯えながら返事をし、ゴルゴッサ探しを始めた。良平はふぅと軽く一息吐いてから多分もうそろそろ終わると思うが自分も戻った。
それを少し離れた所から見ていたアルフィンとビビが2人して、良平を怒らせたら恐いと再確認をし、怒らせるのは止めようと話をしていたとか。
それから数分と経たずにゴルゴッサは見つかった。まぁ、26人の中から1人見つけるのにそこまで時間は掛からないのは当然の話であった。
直樹が指示を出し、宮本と智哉に土で出来た部屋と、部屋の中に椅子を用意してもらい、その椅子にゴルゴッサを座らせた。
そして部屋の中には回復魔法を使える宮本と情報を聞くための直樹と良平が残った。残りの2人は、智哉がアルフィンとビビの護衛で佐東は暗殺者達の監視である。
「まずは宮本、起こせ!」
直樹がそう指示を出すと宮本は装備していた槌で攻撃────する筈も無く、普通に無詠唱で水を出し頭にぶっかけた。
「はっ!!ここは……うっ!殺るなら殺れ!」
「何でお前が指図してんの?自分の状況をしっかり考えて発言すれよ?じゃないと──」
ここで直樹は言葉を止めてゴルゴッサをジッと見つめた。ゴルゴッサも負けじと見つめ返してくるが、我慢できずに続きを尋ねた。
「じゃないと何だ?」
良平と宮本、ゴルゴッサがゴクリと唾を飲んだ。そして直樹はもう一度「じゃないと──」と前置きしてから口を開いた。
「どうしよっか?」
「「はぁ!?」」「は?」
最初のはぁ!?の方は良平と宮本で、後のは?はゴルゴッサである。誰しもがどのようにするのか気になっていたのでこの反応は仕方がないだろう。
しかし当の本人はケラケラ笑いながら続きを言った。
「だってさー、特に何も考えて無かったからさ、ずっとどうしようかなーって考えてたっけ続き促されたら何も言える訳ねぇじゃん?」
直樹が言い終わると同時に黙って話を聞いていた宮本が動いた。良平は止めるつもりはないようだった。というより手をヒラヒラと振ってもう手に負えないことを表していた。
「チェストォォォォォ!!!」
手に持っている槌を直樹に振り落とした。ドォォォン!!と大きな音を立てて地面を抉る。
「うぉ!危ねぇな!?」
直樹はそれを躱したが、今まで直樹は暗殺者であるゴルゴッサの前で話を聴こうとしていたのだ。つまり、何処の地面が抉れたかと言うと、ゴルゴッサの真ん前の地面である。もし、もう少し前に宮本の槌が来ていたらゴルゴッサの足はお陀仏だったに違いない。
それはゴルゴッサ自身にも分かっていたのだろう。現在躱した直樹はゴルゴッサから見て右隣にいる。この状態で槌が降り下ろされると考えると、最悪右半身が吹き飛ぶだろう。別の可能性として槌が横に振り抜かれるとしたら自分の胴体は木っ端微塵だ。
先程は「殺るなら殺れ!」と威勢良く言ったが実際に死の恐怖が迫ると、足が震え始めた。死にたくない!死にたくない!と自分の心が叫んでいるのがわかる。それにだ今回の襲撃は急だって事もあり自分は反対したのだ。じゃあ見逃がしてもらうことを条件にしてもう真実を話してしまった方が───とゴルゴッサが考えていると右隣にいる直樹に宮本が槌を再び降り下ろした。
「避けるなよ!!チェストォォォォォ!!!」
「それで避けない奴はいねぇよ!っと」
またしてもドォォォン!!と大きな音を立て地面を抉った。今回もギリギリゴルゴッサには当たらなかったようだ。いや正確にはゴルゴッサの身体には当たらなかったが正しい。右腕の肘から肩にかけて服が無かった。等級で言うと5等級はある黒装束がだ。確かに糸で出来てるがこんな簡単に破けることなど、10年以上この仕事を生業としているが今までには無かった。そう思うと先程まで考えていたことを本気で考えなければならないと思い至った。
そこからは話が早かった。何故かゴルゴッサが
「頼む!言うから!全て言いますから!命だけは取らないで下さい!」
と全力で言ってきた。当然急に態度が変わり直樹と宮本は訝しんで、ガンを飛ばすが良平に宥められ、後ろに下がっているように言われた。
「何で急に態度が変わったんだろうな?」
「俺が知るか」
2人は自分が何をしていたかあまりわかっていなかった。2人にとって先程の行為は普段通りだった。ちょっと武器を使ってふざけ合っていた位の感覚である。
そのせいで他者にとっては目の前で死ぬような一撃を見せつけられる精神的な拷問でしか無かったとは気付かなかった。
一線引いて見ていた良平は逆にそれがわかったのだ。だから2人を後ろに下げ話を聞くことにした。
「それで、まず貴方達は誰なんですか?そして誰に命令されたんですか?」
「俺達はラスウェル王国の諜報兼暗殺部隊さ。他国に行き情報を集めたり、または自国の貴族に不穏な動きが無いか確かめたりが主な仕事だ。まぁ他の仕事と言えば今回みたいな暗殺をすることだ。基本的には王族と宰相からの依頼で動く。さっき言った不穏な動きを見せる貴族がいたら始末するように言われるのさ。そして今回の依頼人と言えばだ…クリスティーナ=ロゼフォール=ラスウェル王女だ」
ゴルゴッサは質問にしっかり答え、黙った。その内容を良平は吟味し、更に質問をした。
「何故俺達を襲ったんですか?理由は聞いてますか?」
「襲ったのは、依頼されたからとしか言いようがないな。あんたらに恨みなどは俺達にはないからな。王女様があんたらのことを依頼した理由は聞いてないからはっきりとはわからないが、予想だけど聞くか?」
「ええ、一応お願いします」
「わかった。王女様はあんたらを恨んだり憎んだりしている。それはあんたらが強くもなく王女様の役に立たないくせして色々動いたりしたからだと思っている。ステータスプレートの件で王女様はあんたらが使えないゴミクズだと判断をした。だがあんたらは騎士達と試合して勝ったと聞く。そこであんたらはゴミクズではないと言う話になった。そのせいで王女様は人を見る目が無いとか様々な人から言われ恨み憎むようになったと俺は思うぜ」
「なるほど…。信憑性が高いですね…」
「だろ?諜報員でもあるからな俺らは」
直樹はその話を聞いて宮本と相談を始めた。
「なぁ。今回の件って結構自分で蒔いた種っぽい?」
「ぽいって言うよりもほぼそれだな…」
「だよな。あれだ。自分の事は棚にあげて王女が悪かったって事にしとこう!」
「まぁ、俺達もお前の案に乗ったからな。共犯者だから何も言えないぞ」
「この件は黙っとこう」
そう最後に直樹が締めると宮本からも賛同の頷きが帰って来た。
「それではゴルゴッサさんありがとうございました」
良平は話が終わり、最後に首の後ろに手刀を下ろした。そしてゴルゴッサは再び気絶し、次の人に聞き、また次の人を……と繰り返した。2人目からはゴルゴッサが言ったことをそのまま突きつけると僅かながら反応するのでやり易かった。
そして明け方頃に26人の拷問?聴取?が終わり直樹達は全員持ってくのは無理と判断し、無理矢理従わせることにした。中には自害するやつもいるかと思われたが直樹達が情報を知っているし自分達を殺す気無いことを見れば理解したので大人しく従うことにしたそうだ。
自分の命を無駄に捨てる人がいなくて良かったと直樹達は思っている。怪我させた暗殺者達は宮本が全員気絶している最中に直した。
直樹達は26人の暗殺者達とアルフィン、ビビを連れて王都に向かった。
直樹達は何故こんな大所帯になったと思ったが誰もそれを口にはしなかった。
次回の更新も明日か明後日の20:00頃です…
もう不定期と言った方が良いのか迷っています。
すみません…




