第四話 それぞれの進む道
メイドに言われて晩御飯を食べに行く直樹達だった。
直樹達が廊下を歩いていると他の生徒達も歩いているのが見えた。そうして歩いていると不意に良平が言った。
「他の人もいるとなると全員で食事かな」
「それだけ広いってことなんだろうな」
良平の言葉に直樹が答えたが、2人とも目を会わせずに話していた。2人というよりも5人とも周りを見ていた。ここは王城なのだ。廊下のサイドには壺や花瓶、絵があり、周りを見ないでいられるほど冷静ではいられなかった。
直樹は周りを見ながらずっとこれからどうすればいいか考えていた。先程のステータスプレートで一応どうにかなるように布石は打ったがそれが上手くいくかはわかっていないのだ。正直不安で堪らなく親友の4人に申し訳なく感じてもいた。それをおくびにも出さないでいたが。
数分歩いているとメイドが扉の前で止まった。多分ここが食堂みたいな場所なのだろう。
「ここが皆様が食事をとられる場所になります」
そう言いメイドは違う場所に歩いていった。
「そんじゃ入りますか」
直樹が一言言ってから中に入った。
そこには先程歩いていた生徒を除いてほとんど揃っていた。そこには王女やその他の王族らしき人物までいた。
驚きながらも端の方の席についた。席についてから直ぐに食事が運ばれてきて直樹が食べようとしたが良平に止められた。
「直樹、周りを見てみな」
「ん?ああー…まだ誰も食べてないな」
「全員揃ってからなのか王族が食べ始めてからかな」
2人がそう言いあってるなかで同じようなやり取りが智哉達にもあったようだ。智哉は宮本と佐東の2人に注意していてこちらよりも大変そうだった。
暇になり5人で話していた。それから少し経って生徒全員が揃った。それを見て王女や王族らしき人物が立った。
「召喚者の諸君、私はラスウェル王国国王のカイゼル=ロゼフォール=ラスウェルだ。先程、勇者であるヒカル殿と話したが君達の世界は平和で戦ったことがない人がほとんどだと聞いた。それに君達の中には天職が戦闘職ではない人がいるようではないか。そこで私は考えたのだ。君達の中には戦いたくない人がいるのではないかと。そういう人は心配しないで欲しい。こちらは戦いたくない人が普通に生活を送ってもらってもいいように用意してある。だから君達自身にこれからのことを選んで欲しい。そして君達をこの世界に召喚してしまい申し訳ないと思っている。君達を悪いようにはしないと私の名に置いて宣言しよう」
そう言ってカイゼルは席に座った。それを見てからもう一人の王族らしき人物と王女が話し始めた。
「皆様私は王子のレイトル=ロゼフォール=ラスウェルと申します。私は皆様に魔王討伐をして頂きたいと考えております。もう魔王に怯えて過ごし国民が死んでいくのを見たくはありません。どうかお願いします。そのための協力は惜しまないつもりです」
「私は皆様なら魔王討伐をして頂けると信じております。それができるだけの力が皆様にはあるのです。その力でこの国を救ってください。お願いします」
王族2名が揃って頭を下げた。生徒達は国王の言葉を受けてから魔王討伐なんてしないで普通の生活を送ろうと考えていた者が増えていた。安全ならそれにこしたことはないと。
しかし、王子・王女からの話を聞いて自分達には力があると思い出したのだ。自分が英雄になれると考えるやつもこの中に数人いた。そういうやつらに限って何の根拠もないのに「今の自分ならやれる!」「自分が選ばれし人間だ」と傲慢な考えになるのだ。今回もその例に漏れなかった。
「俺達ならできるんじゃないか?」
「そうだよ!俺達には力があるんだ!」
「えー私戦うのとか恐いんだけどー」
「じゃあお前は戦うなよ」
「別に戦いたくないやつは戦はなきゃいいんだよ」
「私は戦ってもいいかな~」
生徒達は半分以上がやる気になっていた。ただし勇者である一条やその友人達はあまり浮かない表情をしていた。それを遠目に見ながら直樹達は話すのだった。
「これチャンスだわ!王様にマジ感謝。俺達の旅に行く手を阻むものはない」
「いやーまずはクラスの人達と一悶着あるかもしれないけどね…」
「大丈夫。もう俺は旅についてしか考えてない」
「何も大丈夫じゃないけどね」
直樹は先程の王の発言に感謝を、良平はクラスの人たちとの意見の違いで起こるいざこざを、佐東は旅を、智哉は任せたといった感じであった。無言の宮本は自分のこれからの成長方針について考えていた。どこにいても自由すぎるメンバーであった。
王子や王女は召喚者達の反応を満足したように見ていた。王子はこれからの国がよくなると思い。王女は簡単に召喚者達は操れると思い。
「それでは皆様方。頂いてください」
王女が言ってから生徒達は目の前にある食事に手をつけた。
少々料理が冷めてしまっていたが、やはり王族が食べるものだ。生徒達は「美味しい!」「美味い!」と言いながら食べていた。ただ何人かが出てきた料理の中にご飯が無かったのを見て悲しそうな顔をしながら食べていた。
全員が食べ終わる頃にはいつの間にか王族がもういなかった。何故かと直樹が思っていると一条が席を立ち話し始めた。
「今ここにもう王族がいないのは、僕が先程食事後に僕達だけで話し合いたいと言ったからなんだ。僕はみんなに聞きたい。これからみんなはどうやって生きたいんだい?僕は勇者だからね。魔王討伐をしようと思っているよ。」
「俺はお前についていくさ。俺達の仲だろう?一緒に魔王をぶっ飛ばそうぜ」
「私もそのつもりだ。輝は心配だからな。私がいなければ何をするかわかったもんじゃない」
「私も一緒に行きます!皆さんは私の友達ですから!」
一条が言ってから順に山上健人、村丸彩雲、柳室澄だ。山上と村丸は小学生の頃からの幼なじみで柳室は中学生からの友人のはずだと直樹は考えていた。彼、彼女等は直ぐに決めたらしい。それがきっかけで生徒達も直ぐに決めることになった。
「俺も魔王討伐するぜ!」
「俺もだ!」
「私も!」
「僕もです!」
「みんなあり「ちょっと待てよ」がとう!」
一条がみんなの反応をみて何か言おうとして何者かに口を挟まれた。そして余計なことをしたやつは誰だといった雰囲気で周りを見回した。
「ああ、すまない。俺だよ話を遮ったのは。俺達5人は魔王討伐なんてしたくないんだ」
一条は何故かと思い直樹達を見返していると隣にいた山上が何かに気づいたように言った。
「そういえばお前らは特に力もない雑魚グループだったか?」
直樹達はその言葉にどう反応しようか迷っていた。そんな直樹達を見て他の生徒達は図星かと思い憐れみや侮蔑の視線で見ていた。
「じゃあ君達はこれからどうするんだい?」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに直樹が反応した。
「旅にでたいって考えてるんだ」
直樹が言ってから少し間が空いてから反応があった。
「旅にでたい?お前達みたいな雑魚が?ウケるわー」
「マジで自分の強さ考えろって、ギャハハハ」
「諦めろよ、ヒヒヒ」
元2年C組でいじめ馬鹿トリオと裏で呼ばれていた3人が直樹達を馬鹿にしてきた。最初に言ったのが横山亮太でリーダー的存在だ。そのあとに続いたのが土井大智と志藤元だ。
直樹達はその3人以外の生徒達からも笑われた。しかし、直樹達にとってみれば本気であるし、そもそも弱くないので痛くも痒くも無かった。
「みんな静かにしろ!」
一条の声でみんなが静かになった。
「まあ、河内君たちが戦いたくないのはわかるが旅は危険じゃないかい?」
「危険なのは理解してるから、しばらくここで力をつけさせてもらおうと考えてるさ」
「あまりオススメはできないけど君達が決めたなら文句はないさ。お互いに頑張ろうじゃないか」
直樹達はそれに頷いて答えた。
「さあ、他に何かある人はいるかい?まあ今からじゃなくてもいいから何かあったら言ってくれ。それでは今日はここら辺で解散にしよう」
そういってその場は解散になった。部屋に帰る途中に何人かに睨まれていたが直樹達は気にせず自分達の部屋に戻ったのだった。あとで話すことも忘れて…
旅や戦闘までもう少しかかります。すみません…
次の更新は明日の19時です。