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いつもの仲間と異世界道中!  作者: ミドリムシ
学園編
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第四十五話 認めない


直樹達は驚きで動きが止まり捕縛され詰所に連れてかれ監禁されるのだった。


直樹達はまとめて牢屋に入れられ、手には拘束具が付けられた。騎士に聞くとこの拘束具は魔法を使えなくする物らしい。直樹達が魔法を使って脱出するとでも考えたのだろう。


「おい!さっき言ってたアルが死んだって言うのは本当のことなのか!!」


直樹が牢屋の前で直樹達を見張っている騎士のおっさんに大声で聞く。


「しらっばくれるな!お前達がやったことだろう?誰よりもお前達がわかっている筈だ!!」


「うるせぇ!俺はアルが死んだかどうか聞いてんだよ!!」


話の真実を知りたいので直樹はその重要な部分だけを求めた。騎士のおっさんもいつまでも騒がれても堪ったものでは無いのであっさりと答えた。


「喧しいやつだ。紛れもなく死んだ。俺も近くまで駆け付けたからわかる。あれはもう死んでいた」


全員がもう一度突き付けられた現実に愕然とした。たった2日前までは同じ飯を食って話していた友人が死んだ。この世界でならそれは当然の事かもしれないが直樹達は違う世界から来たこともありあっさりと受け入れる事は出来なかった。


「嘘、だろ…。俺は、俺は認めないぞぉぉぉぉ!!!」


直樹は天井に向かって吠えた。それを他の4人も悔しそうな、納得できなそうな表情で見ていた。騎士は煩わしそうに見るだけで特に注意もしてこなかった。


それから騎士のおっさんに話を聞くと、どうやら時間帯はランキング戦の決勝戦の時で一条とアルフィンの試合らしく白熱した試合の最中に起きたらしい。そこに直樹達こと『グオノット』が闘技場の舞台に現れ

一条とアルフィンを攻撃した。一条を攻撃したのが直樹でアルフィンを攻撃したのが良平だと聞かされた。直樹の攻撃は一条にギリギリで防がれたらしいが良平の攻撃はアルフィンが疲労していたこともあり急所で一撃。その時の良平は短剣で攻撃したそうだ。宮本、佐東、智哉の3人は先生や生徒を襲い10名程に軽傷を負わせたとのこと。


それを聞いた時の直樹達の反応は…


「俺の攻撃が一条に防がれる訳がねぇ!!」


少し、いや、かなりずれた感想を直樹が言い、


「アルフィンの急所を短剣で攻撃ってそいつは誰だよ!!しっかり杖でやってくれよ!!」


自分は短剣何て使わないのに自分の姿で短剣を使って攻撃したことに良平は憤り、


「何故、俺の影がそんなに薄いんだ…」


自分の話が3人1纏まりになって影が薄いのではと宮本は気にし、


「俺1人でももっと怪我人を増やせたぞ」


直樹のようにかなりずれた感想を佐東も言い、


「何でみんなそんなにずれてるの!?もっとあるじゃん!こう、一体誰が犯人だ!とか!!」


智哉は今回の件ではなく、相変わらずツッコミを入れていた。


時間が経ち夜になった。直樹達も冷静になり、これからどうするか話し合うことにした。


「俺は今でも納得いかねぇよ」


ここで直樹が言っている納得がいかないは一条のことだけでは無く、襲撃事件のこと全てである。


「それは俺だって同じさ…。それに俺はアルを殺した犯人らしいじゃないか」


良平が怒りがこもった声で言った。


「犯人は俺達を社会的に抹殺したかったのか?わざわざ他人に成り済ます位だ」


「それとも自分達の仕業と思われたくなかったとかか?それなら変装かは知らんが成り済ましは理解できるが…」


「じゃあ何で俺達に成り済ましたの?恨み嫉みとか買うようなことした?」


宮本や佐東の臆測が出てくるが、最後に智哉が言った恨み嫉みの話になると智哉以外の全員が目を背けた。


それぞれが自覚していた。自分達はこの学園で誰よりも強く、Sクラスでもトップであると。だから恨み嫉みならあり得るのではないかと考えられなくはない。


「でもそれならアルとかを狙った理由は?」


「それもきっと恨み嫉みがあったんじゃない?それかさっき宮本言ったように社会的に抹殺しようとしたのかも」


直樹の問いに智哉が臆測だが答える。それでまた全員が考え始めることにいつもならなるのだが、今回はならなかった。


「うし!確かめる為に過去に行くか!」


仲間だけに聞こえる大きさで直樹が言った。誰もその言葉の意味が分からない者はいない。だから佐東がこう聞いてきた。


「まず、どうやってこの拘束具を外す?そのあとは脱走して魔法だろ?」


直樹はそれに答えずに行動で答えを表した。


「気闘─(まとい)─」


気闘──それは自分の中にある気力というもの(魔力ではない)を使い力を強めたり、耐久力を高めたりする、身体強化魔法のようなものだ。ただ気力は魔力と同様、使い用途は様々である。


そして『纏』は単純にただ気力を身体に纏うだけである。だが単純故に強くもあった。


他には『変』、『創』、『回』の3つがある。


『変』は気力を変形させる事ができる。マーカーとかにしたりして使う。ただこれは気力を目に集めないとどうなっているかは分からない。


『創』は『変』で変えたものを実体化させる。色は人によって変わる。直樹なら赤、良平なら黄、宮本なら青、佐東なら黒、智哉なら緑だ。どこぞの戦隊もののようにも感じる。


『回』はそのままで気力を回すことができる。体内でも体外でも可能だ。何に便利かというと自然回復が早まる位しか今のところ発見されてないらしい。


そして何故気闘を知っているかと言うと…


直樹達がまだ王都ラスウェルにいたときに暇だなーっとゆったりしていた時にテッケイルが指南してくれた技である。この気闘を使えるか使えないかで天と地程違うという。直樹達は例外だと言われた。と、言っても使えるのは俺が教えたやつだけだとも付け加えられた。作ったのはテッケイルとその仲間らしいので世にはあまり知られていないらしい。


本来ならば1月掛けて基礎を覚えるのだが直樹達は"成長"があったので10日掛からずに覚えてそれ以降も鍛練し続けテッケイルから免許皆伝を貰った。


闘気術と呼ばれないのは闘う気力を作るのではなく、気力を闘う方に変質させるかららしい。大して変わらないと思うが、闘う気力何て無い、あるのは気力を闘いに向ける己だけだ、ということだそうだ。今一、意味が分からなかったが、ハイハイと直樹達は聞き流したのは懐かしい思い出である。


直樹は自分の体に気が満ちているのを確認したのち自分の手に付いている拘束具を引きちぎった。元々ステータスが高いから気力で強めてもそれができるのだ。気闘が出来ても同じ事ができる人は少ないだろう。


────バキッ!バキバキバキ!────


引きちぎったというよりも捻り潰したが拘束具は外す事が出来た。


「おい!お前達何をしている!!」


音が聞こえたのだろう。さっきのおっさんでは無い騎士が駆け付けてくるのが分かった。


それは分かっているが良平達も直樹と同じようにする。だが魔法職良平と宮本は出来なかった。代わりに直樹が外した。前衛職の佐東と智哉は直樹と同じ風に出来て今は手首を回したりして楽にしている。


「それじゃここから逃げ出しますか!」


「「「「おう!!」」」」


そして牢屋は鉄格子だったが、今の気闘を使った状態で横に拡げると意図も容易く開き、目の前には騎士が来ていた。


「一体どうやって拘束具をっ…へぶしっ!」


だがたった1人じゃ直樹達を止められる筈もなく呆気なく佐東の一撃で沈んだ。


そこからはただ外に出るため色々と走り回り、騎士と遭遇したら速攻で片付け、出口を探した。


そして見つけて外に出ると外はもう真っ暗になっており、森まで急いだ。直樹達は捕縛された時も全く装備をしていなかったの武器・防具は奪われていない。その為動くのが早かった。


知り合いの門番に迷惑は掛けられないと思い、街を囲っている壁を駆け登った。気闘の『変』を使い足裏に溜めて壁にくっつく様にしたのだ。誰にも気付かれずに森の中に入るとそこで5人は近寄った。


お互いの隙間が無くなるまで近寄り、最後に確認した。


「過去に行くけどいいか?」


直樹の問いに4人は迷いなく頷く。


「時間は1日と半日戻るかなじゃねぇと決勝に間に合わないよな」


現在は夜だ。日が暮れてからそこそこの時間だからきっと22時頃だろう。今から1日戻っても夜で決勝は終わっている。だからプラス半日が必要だった。


何故こんなに詳しく時間を決めているかと言うと、これから時空魔法の『タイムトラベル』を使うからだ。これは直樹が死にかけた時にアウロラから教えて貰った魔法だ。


『タイムトラベル』の効果は未来と過去を行き来できるという物だ。これだけを見ると凄い!と思うが、これは1分変えるだけで魔力を10消費するのだ。1番魔力がある良平ですら589と1時間に満たない。ならどうやって行くか。それは対価を差し出すのだ。


未来に行くためには1日行くのには1年分の記憶を。過去に行くためには寿命1年分を。未来に行くなら過去を、過去に行くなら未来をという風になっている。ただこれは対価が重すぎないかと思うかもしれないが、ホイホイと未来と過去を行き来出来る筈がないだろうとアウロラに言われた。


今回は1日と半日だから1年と半年分の寿命が縮まることになるが誰も怯えた様子はない。だから直樹は笑いながら言った。


「じゃあ行くぞ?3、2、1───」


「「「「「タイムトラベル!」」」」」


5人近寄ったまま同じタイミングで唱える。すると5人を中心に光輝き始めた。5人は目を瞑って、光が収まるのを待った。


光が収まり目を開くとそこは昨日同様の昼間の森だった。




タイトルって考えるのが難しく感じます。


今回の話は懐かしい人物も出て来ました。アウロラとか覚えていましたかね?


次回の更新は2月11日の20:00頃を予定しています。

また忙しい次期なのですみません…

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