第三十七話 言い争い
遅れてすみません…
訂正(第三十六話)
こっちの女子4人は~獣人のソル
→兎の獣人のソル
に訂正。
そしてSクラスと直樹達とのダンジョンでの訓練(授業)が始まった。
直樹達はリック達に言われた通りに別れるためにジャンケンで決めた結果…
「俺には何で運が無いんだ!!」
「俺はお前と一緒に依頼を受けれてラッキーだと思ってるんだがな」
「「「「………」」」」
ここはダンジョン2層入り口だった。そこで今まで無言でいた直樹が急に声を出した。そんな直樹の班は何が嬉しいか、男子班だった訳で…
「俺は女子に「カッコイイ~!!」とか言われたかったよ!!」
と、直樹の本音が漏れ出ていた。
「てか何でお前なんだよ!!」
「俺でもいいだろ!」
リックが直樹に向かって言い返した。それに直樹は更に腹が立ったようで言い返す。
「まだBランクに上がれてない奴等がなんでこの依頼受けてんだよ!」
「そりゃあれだ、C~Bランクの方用の依頼だったし、金になると思っただけで、別にお前達に会えるんじゃないか?とか思ったわけじゃないぞ!!」
「何でそこまでハッキリ言うんだ?もうそうやって疑ってくださいって言ってるようなもんじゃねぇか!」
「な、ちがっ!」
リックは直樹の言葉を否定したところでキルロが声をかけた。
「すみませんが二人でイチャつくのは止めて頂きたいんですが」
「「イチャついてねぇよ!!」」
「それは良いとしてそろそろ先に進みたいんですよ」
「僕達は遊びに来たんじゃなくて授業で来たんです。出来れば邪魔しないでください」
キルロに続くようにセリヌッスも直樹とリックに抗議した。そのどちらもが正論であるので言い返すことが出来ずに2人で謝った。
「ごめん。ちょっと落ち着くわ」
「すまんな。以後気を付ける」
「ええ、気を付けてください」
キルロ達メンバーはツカツカと先に進んで行った。
直樹とリックは顔を見合わせ謝りあった後、キルロ達は付いて行った。
3層に着くまでに2度ウルフ1体と戦闘があったがキルロ達は問題なく、連携して倒していた。
「お前らってどこの階層まで行こうとしてる?」
リックがキルロ達に聞いた。
「お前らって言わないでください。キルロって名前があるのでしっかり呼んでください」
だが名前で呼ばれずキルロは怒って返した。
「お、おう。すまん。んでキルロはどの階層に行くんだ」
「取り合えず私達は7層位に行ければと考えています」
「へ~。じゃあ魔物はコボルト、ホブゴブリンとかか。お前達のレベルは?」
「それは教えなきゃ駄目ですか?」
「出来れば教えて欲しいんだが…」
リックが躊躇いがちに言うがキルロはそれを切り捨てる様に言い返してきた。
「無理ですね。ここで教えて自分にメリットは無くただデメリットがあるだけですので」
「分かった。他はどうだ?」
リックが残りのメンバーに聞くと、
「すみませんが…ちょっと…無理です…」
ローは弱々しく断り、
「無理である!」
セリヌッスは堂々と断り、
「誰が教えるかよ」
ガルロはぶっきらぼうに断った。
直樹はそんなキルロ達を見ていた。それはもう、"鑑定"をしっかり発動しながら。
(フム、キルロは6、ローは5、セリヌッスは8、ガルロは7か…冒険者で言うとF、Eランクだな。んでリックは意外にも36もあるのか。それじゃあ後少しでBランクまでに届きそうだな)
心の中でそう思っていると何やら不穏な空気になっていた。
「そもそもあなたのレベルはいくら何ですか?人に聞いておいて自分が言わないと言うことは無いですよね?」
「いや、おま……君達は教えてくれなかったからこちらも教える必要は無いね」
直樹もリックの言葉を聞いて内心ではうんうん頷いていたが、実際にそれでは悪手だということは分かっているので何も行動しない積もりだった。
「人に聞いたくせして自分は答えられないと。それなら最初から聞かないで頂きたい。自分がされて嫌なことはしないと親に習わなかったのですか?あーあ、親の顔が見てみたいですね」
完璧にリックを馬鹿にして挑発するように言っているので直樹は止めようとした。だがそれよりも早くリックが動き出していた。
「お前、いい加減にしろよ?言っても良いことと悪いことがあるって知らねぇのか?」
「グッ…」
リックはキルロに詰め寄って胸倉を掴んだ。先程までまだ丁寧だった口調が荒くなっている事からリックが本気で怒っていることが伺えたので直樹は2人を引き剥がした。
「まず2人とも頭を冷せ。キルロ、お前は冒険者をなめすぎだ。リック、レベルを聞いたお前も悪いぞ。取り合えず一端落ち着け」
そう言って2人を離したのだが…
「だから冒険者なんて嫌いなんだ!ただ力で全てを解決しようとする。野蛮なんだよ!」
「減らず口を!」
キルロがそれでも言い続けていた。それはリックにも聞こえる声量だったのでリックはまた詰め寄ろうとするが、今度は確実に直樹が止めた。
「リック落ち着け。確かにキルロが言っていることは事実なんだ。だがそれが全てではないと言うことはお前も知っているだろう?」
「だ、だけど!俺は、俺を馬鹿にするのは腹が立つがいいんだ。だがよ!親や仲間、同業者をバカにされるのは許せねぇんだよ!」
「その気持ちは分かるがそこでお前が詰め寄って何ができる?それこそキルロが言っていた様に力で押さえつけるのか?」
「うっ…」
どうやらリックはその積もりだったようで、直樹は短絡的過ぎるだろ!っと思ってしまったがそれを表に出すことはせず諭すように言った。
「いいか?何も力だけが全てじゃないんだぞ?俺達は話すことが出来るんだ。それを活用しない手は無いだろ?」
「確かにそれはそうだが…じゃあお前が見本を見せてくれよ」
「仕方ねぇな。しっかり見てろよ?あとお前はまず許せなくてもキルロに謝れ。これは俺からの命令だ」
「何で、お前の命令を受けなくちゃならないんだ!!」
「決まってんだろ?俺がお前よりもランクが上だからだよ」
リックはそうだった!と驚いてから肩を落とし、直樹と供にキルロ達の元へ向かった。
「キルロ」
直樹が呼ぶとキルロは怒った表情を隠しもせずに振り向いた。
「まず、俺達が悪かった。すまない」
「さっきは悪かった…」
そして直樹とリックで頭を下げた。それを見たキルロは満足したような顔で言った。
「そう。それでいいんだよ。自分は間違った事をしていませんからね」
「ああ。確かにお前は間違った事をしてはいないのかもしれないが、偏見だけはあるようだな」
キルロは途中まで機嫌良く聞いていたが、後の方には不機嫌になっていた。
「偏見?それはどう言った事でしょうか?」
「冒険者は野蛮では確かにある。だがそれが全てかと言うとそう言う訳でも無いんだよ。そして他人の親を悪く言うな。人の成長はそれぞれだ。生活環境とかによってだって違いが出てくるんだ」
キルロは直ぐに言い返してきた。
「じゃあ、ある人は人を殺しました。それではその人の親は知らぬ存ぜぬで良いんですか?」
「良くは無いが駄目でもない。正直、親から何か言われたってどういう風に行動するかは人それぞれ何だよ。だからこれをしたらこうしろっていう絶対は無い。だから自分のとった行動っていうのは命令や洗脳を除いて全部自分に責任があると思うよ」
「………一理ありますね。リックさん。先程はすみませんでした」
キルロは納得し、直ぐに頭を下げた。直樹はキルロは自分の中で正しいと思えばそれが全てなのかもしれないと考えた。
「それじゃ行こっか」
そう言って直樹が全員に呼び掛けると先程まで静かだった3人も頷き、ダンジョンを進んでいった。
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一方その頃…
~良平 side~
良平は現在女子4人班にいた。
「ねぇリョウヘイさんって何か趣味ってあるんですか?」
「何でリョウヘイさんはそんなに強くなられたんですか?」
「リョウヘイさんの好きなタイプって何ですか?」
良平は常にニコニコしながら答えたが…
(もう嫌だ…疲れたよ○ト○ッシュ)
と心の中で思っていた。
ビビはそれを見ながら笑っているので良平は代わってくれ!と目で訴えているのだが無視され続けていた。
そして『熱き魂』の人はそんな良平を見て羨ましがって見ていたとか…
~良平 side end~
~佐東 side~
女子貴族グループは現在魔物と交戦中だった。
「はっ!てやっ!」
「くぅぅ」
「誰か!私の従者が!」
レティスが攻撃を受けミレイヌが叫ぶ。すると魔物の注意は叫んだ人に行くわけで…
「グガァァァァ!!!」
ミレイヌに魔物は襲いかかった。そしてミレイヌに攻撃が当たるその前に一筋の剣閃が見えた。そして魔物が縦真っ二つになった。
「大丈夫か?」
「え、ええ有難うございます」
「そうか」
そうしてまた佐東は他の魔物を倒しに行った。
「あの人、カッコイイな…」
だからかミレイヌの呟きが聞こえ無かった。
~佐東 side end~
~宮本・智哉 side~
宮本、智哉はアルフィンと供にいた。
「全然魔物が出てこなくて暇だな」
「平和で良いじゃない」
「つまらん!」
「ドンマイ!」
アルフィンの言葉にたった一言で智哉は返した。
宮本はとうとう暇になりすぎて探索魔法を用いてみたが何も反応はなかった。
それもそうであろう。ここは昨日宮本と佐東で魔物を狩り尽くした8層なのだから。
「ハァ。先に進むか」
アルフィンが歩き出し宮本と智哉もそれに付いて行った。
~宮本・智哉 side end~
次回の更新は1月31日20:00頃を予定しています。




