第二十八話 入寮
短いですし、遅くなって申し訳ありません!
直樹達はそれを見て和み、夜になるとルスティアに戻り、宿に帰るのだった。
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~674年、炎の月、第50日~
昼頃、直樹達は寮の前にやって来た。それは今日が入寮日ギリギリの日だからだ。何故それまで直樹達が遅かったかと言うと、いつも通りの直樹の唐突な発案からだった。
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「ダンジョン行こうぜ!」
それで他の4人も文句を言わずに付いていったのも悪いと思うが、この発言で30日の間を過ごしたのは言うまでもないだろう。
そもそもダンジョンと言う物は魔力が集まりダンジョンコアが出来るとダンジョンが出来るのだ。ダンジョンコアが無い魔力がある場所は魔力溜まりと呼ばれ、ただ魔物が異常発生する場所として見つかれば即魔法使いなどによって魔力を散している。ダンジョンはダンジョンコアがある間は良いが誰かがダンジョンコアを破壊若しくは持ち出すとそのダンジョンは数時間後に崩壊してしまう。謂わばダンジョンコアはダンジョンの命である。
そのため学園都市にあるような都市や街、国のダンジョンではダンジョンコアを破壊若しくは持ち出すことを禁止している。なぜならダンジョンは勝手に魔物が出現し、そこからは基本魔物が出てこない場所である。ダンジョンは魔物などの素材や時折見つかる宝箱がある金のなる場所なのだ。そのような場所を権力者達は手放す訳がない。
しかしダンジョンは基本魔物が出てこないと言ったがそれは適度な数の魔物がいる場合のことで、魔物がダンジョン内で大量にいる場合はダンジョンから溢れてしまい危険な状態になってしまう。だから管理されているダンジョン以外のダンジョンは発見次第冒険者ギルドに報告が義務付けられている。
そのような場所に直樹が行きたがった理由は自分達が何処まで強くなったのかを確かめる為であった。そう思い至った訳は直樹が戦ったAランク冒険者があまりにも弱かったので現在の自分達の強さがわからないのだ。そのためルスティアにあるというダンジョンに行ってみたくなったのだった。
実際に行ってみるためにまずは冒険者ギルドに行きダンジョンの情報を得てから臨むことにした。
結果分かったことは…
「もう攻略されちゃってるのか…」
「それにBランクくらいで奥まで行けるんだもんね」
「中級ダンジョンとか行く気無くなってきたな」
「取り合えず何かしたい」
「何かって何なの!?」
という事ぐらいである。
文句を言いながらも行ってみるのが直樹達なのだが、攻略には全力で挑み3週間程で終わらせた。これが早いか遅いかで言うとかなり遅い方である。
直樹達は一層一層をしっかり全部確認した上でまた次の層へと行くのだ。それを25回も繰り返しやっていたのだから無駄に時間がかかってしまっていた。
最奥にいたボス的な魔物はBランクのミノタウロスという牛の頭を持った3m程の巨人が3体だったが直樹達は3分かからずにあっさりと倒した。まぁSランクの魔物、竜を倒したことがあるのだから当然の結果でもあるのだが…
ダンジョンが攻略し終わってすぐに寮に向かえば良かったのだが、ダンジョン攻略の際に発見した連携の不備や各々の調整の為時間が無くなってしまったのである。
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そういう事がありギリギリとなってしまい、そして皆が皆、疲れた顔をしている。
「それじゃあ入寮の手続きを済ませようか」
「「「「はいよ~」」」」
疲れきってだらけている直樹に替わり良平が声を掛けてやっと5人は動き出した。
中に入り、受付のような場所に向かった。
「ごめんくださ~い」
「はいよ~」
良平の気の抜けた声に奥の部屋からも気の抜けた声が帰って来た。そして現れたのはふくよかな体型のおばあさんだった。
「あいよ。何しに来たんだい?」
「入寮手続きをしに来ました」
「それじゃこの紙に書いておくれ」
直樹達は渡された紙に必要な部分だけ書き、紙を返した。
「へ~。あんた達がねぇ。そうは見えないんだけどねぇ」
「ん?おばさん、どういうこと?」
直樹がおばあさんの含みのある言葉に疑問を抱き聞き返した。
「お・ば・さ・んだって?もう一回言ってみな!」
「す、すみません!!」
「おばさん」は琴線に触れたらしく怒られ、直樹は即座に謝った。それを他の4人はニヤニヤしながら見てくるので直樹は睨んだが、どこ吹く風という感じで意味がなかった。
「私はメリダっていう名前があるんだよ。これからはメリダさんってお呼び」
「わかりました!!」
ただ今まで傲岸不遜だった直樹がしっかり敬語を使い答えているのを見て良平達も気を付けようと考えを改めていた。
「それじゃ説明をするよ。寮の部屋はあんた達は一応優等生らしいから一人一部屋与えられたよ。3階の304号室がリョウヘイ、305号室がミヤモト、306号室がサトウ、307号室がトモヤ、308号室がナオキだね。朝食は6:00~8:00までで夕食は18:00~21:00までだよ。あと門限は22:00までだよ。しっかり守んなよ」
「「「「「わかりました!」」」」」
5人で敬礼を決めてから鍵を受け取りそれぞれの部屋に向かった。
階段を登り、3階に着くとそこで女子寮との境界を発見し、しっかり確認をしてから部屋に入った。
部屋は6畳くらいの広さでベッドとクローゼットが備え付けてあった。加えてトイレまで完備されていて直樹は驚いていた。
今更ながらこの世界は風呂こそ貴族などしか入れないが、トイレは一般家庭にも普及している。多分昔にやって来た同郷の者が広めたのだろうと直樹達は考えている。
直樹はベッドに寝転がると、ここ最近の忙しさで疲れが溜まっていたせいか眠たくなり瞼を閉じた。
それから暫く経ち18時頃になった。すると夕飯を食べに行くため、良平が直樹を呼びにやって来てドアをノックするが全く反応が無かった。なのでどうしたのかと思いながらドアを押すとドアは鍵が掛かっておらず開き部屋に入ると暗かった。いないのかと思い部屋の奥、ベッドの前までくると、なんと気持ち良さそうに寝ている直樹を発見し、良平は他の人を呼んだ。
なぜか佐東の顔に丸やバツのペイントの後があるが良平が気にせずこれから直樹をどう調理しようか話合うことにした。すると…
「「「「一発ずつ殴ろう!」」」」
と、まさかの全会一致で決定し、何処を殴るか決めることになった。
「俺は顔かな」
と良平が笑いながら言う。
「やっぱ顔でしょ」
と宮本が当然のように言う。
「俺は鳩尾かな」
と邪悪な笑みを浮かべて佐東が言う。
「じゃあ腹パンで」
と嬉しそうに智哉が言う。
そして…
「「「「せーのっ」」」」
「うごっ…」
見事全員の息が合い直樹にクリティカルヒットした。
「そして直樹は二度と帰らぬ人になりましたとさ。チャンチャン」
「なってねぇよ!」
直樹は憤怒の形相を浮かべ良平達を追いかける。良平達は笑いながら全力で逃げ、最後は仲良くメリダさんに怒られた。
そんな風にして直樹達は新しい学園生活が始まるのだった。
言い訳をさせていただくとセンター試験だったんです。はい…
でも頑張って書いたつもりです!
そして次回はやっと学園入れます!
そんな次回の更新は1月18日の21:00です。
忙しいんです。許してください…




