第二話 ステータスプレート
「それでは皆様のステータスプレートを見させていただきます」
この一言は直樹に焦りを与えた。
直樹は決断したことがこのままでは失敗してしまうと考えていた。どうにかしようと思い、周りの4人に小声で話かけた。
「(俺さー、この世界堪能したいけどこのままじゃ馬車馬の如く使われそうじゃん?誰かステータスごまかせる系のスキル持ってない?)」
これには素早く佐東が反応した。
「(俺は隠蔽を持っている。これは看破スキルを使われない限り違うように見せることができるスキルらしい)」
クリスティーナを見るとまだ前の方で1人1人のステータスプレートの確認を行っているらしい。直樹達は中間よりやや後ろの方だからまだ確認されるまでの時間はある。
「(佐東にお願いなんだが俺達の天職、ステータス、スキルを隠蔽使って隠してくれない?あ、そもそも聞くの忘れたけどお前らこの後どうしたい?俺はお前らと旅したい!)」
「(俺は面倒事から逃げ出したいし、旅をしたいっていうのもあるかな)」
「(猫系のモンスターテイムしたい。だから旅に出たいな)」
「(オンラインゲームみたいだから俺も堪能したい)」
「(特にどうでもいいけど、魔王退治は面倒かな)」
「(じゃあ、みんなで旅をするでいいよな?)」
「「「「(いいよー)」」」」
「(それじゃ佐東はスキルで、天職は非戦闘職、ステータスは平均以下、スキルは鑑定のみにそれぞれの設定よろしく)」
「(了解!)」
直樹しかまだどうするか知らないのに任せる4人。でも4人に不安の色はなかった。むしろ楽しんでいるように見えた。
「(隠蔽完了)」
佐東の隠蔽が終わったようだ。直樹は安堵してクリスティーナを待っていた。まだ前の方にいるから時間がかかるかなと考えていると、なにやら騒がしくなった。
「あなたが勇者様だったのですね!そしてこのステータスの高さやスキルの数々。紛れもなく勇者様です!」
声高々に言った。勇者と呼ばれた人物はそこまで言うほどのことでもないだろうといった感じの顔でいる。
その勇者とは一条輝。2年C組のリーダー的存在で、成績優秀、スポーツ万能でイケメン(内も外も)という、いかにも勇者という感じであった。
「僕は確かに天職が勇者だけど、そんなに凄くはないよ。さっきも言おうと思っていたけど今言わせて貰うよ。魔王退治のことは僕たちで話し合う時間がほしい。1日だけ時間をくれないだろうか?」
「1日ですね?それくらいならまあいいでしょう。明日の昼に皆様で謁見の間に来て下さい。道が分からないと思いますので1人につき1人のメイドをお付けしますので安心してください」
一条が1日の時間を稼いだことに関して直樹達は感心していた。よく1人で勝手に決めなかったな、と。ここで即決されてしまったら自分達の目標の壁になり得なかった。
そして直樹はクリスティーナも了承してくれると思っていなかったのだ。 この王女は感じが悪いしわがままじゃないかと直樹達は思っている。そして何よりも取り繕っている感じがして嫌なのだ。裏で何を考えてるか分からないやつだと。実際にクリスティーナも早くしてよめんどくさいと考えていたから5人の勘も捨てたものじゃなかった。
クリスティーナはそうして次々とプレートを見ていった。
そして遂に直樹の番になり直樹はプレートをクリスティーナに見せた。
―――――――――――――――――――――――
河内 直樹 年齢 16 性別 男
レベル:1
種族:人間 天職:漁師
体力:4
魔力:2
筋力:5
敏捷:30
耐久:30
魔攻:10
魔防:30
属性 炎 風 無
スキル 鑑定Lv1
エクストラスキル 全言語翻訳
称号『異世界人』
―――――――――――――――――――――――
「は?」
クリスティーナから思わずという感じに言葉が漏れ出た。その後顔を赤くして直樹を睨み、見下してきた。
「随分と特殊な方ですね」
侮辱するようにクリスティーナは言ってプレートを返してきた。直樹は改変されたプレートを見ていなかったので意味がわからず受け取って見てみた。それを見た瞬間に思わず口に出してしまった。
「俺はメタルスライムかよ!」
クリスティーナからは蔑みの視線を。クラスメイト達からは懐疑の視線を。佐東はしたり顔を。他4人は顔が青ざめていた。自分のステータスをみんな確認していなかったのが裏目に出た。
「それでは次はあなたですね」
直樹のことは無視して、次の良平にいくらしい。良平は自分のプレートを渡すのが怖くなっていた。だが、渡さないのはおかしいと思い、意を決して渡した。
―――――――――――――――――――――――
伊狩 良平 年齢 16 性別 男
レベル:1
種族:人間 天職:薬師
体力:20
魔力:2
筋力:4
敏捷:11
耐久:7
魔攻:5
魔防:6
属性 炎 氷 雷 風 無
スキル 鑑定Lv1
エクストラスキル 全言語翻訳
称号『異世界人』
―――――――――――――――――――――――
「………あなたもですか」
あからさまにクリスティーナの機嫌が悪くなっていた。良平は俺は雑魚モブかよと呟いているのが4人には聞こえていたが誰も何も言ってやれなかった。
「次はあなたですね」
次の犠牲者は宮本だった。宮本は天井を見上げていた。目の端に水が溜まっていたのが見えたがやはり誰も何も言うことができなかった。
宮本は観念しておずおずと渡した。
―――――――――――――――――――――――
宮本 雄平 年齢 17 性別 男
レベル 1
種族:人間 天職:踊り子
体力:10
魔力:1
筋力:2
敏捷:1
耐久:1
魔攻:1
魔防:1
属性 水 土 光 無
スキル 鑑定Lv1
エクストラスキル 全言語翻訳
称号『異世界人』
―――――――――――――――――――――――
「………はぁ」
ため息をつきながら宮本をクリスティーナはジロッと睨んだ。睨まれた宮本はというと、涙を流していた。考えないようにしようとしていたつもりだったのだが、プレートを見て流石にこの設定は酷いと思ってしまった。
そして次は佐東の番になった。自分が隠蔽を使ったのだから、余裕を持ってプレートを渡していた。
―――――――――――――――――――――――
佐川 勇介 年齢 16 性別 男
レベル:1
種族:人間 天職:村人
体力:100
魔力:20
筋力:20
敏捷:15
耐久:20
魔攻:15
魔防:15
属性 闇 無
スキル 鑑定Lv1
エクストラスキル 全言語翻訳
称号『異世界人』
―――――――――――――――――――――――
「いたって平凡すぎですが、まあましでしょう。そこの3人よりは」
直樹達を見下すことを隠す気は全くないようであった。直樹は自分が佐東に頼んだこととは言えやり過ぎている佐東を恨んだ。
5人で最後は智哉であったが智哉は自分のステータスを確認していたのかプレートを見せずに言った。
「私のステータスも彼ら4人と似たようなものですがお見せになった方がよろしいでしょうか?」
「いいえ、結構です。無駄なことに時間をかけていたくありませんので」
発言を聞き興味を無くしたようにクリスティーナは言った。智哉も別になんとも思っていなかった。
そして直樹達の後からはステータスが良かったのか、クリスティーナの嬉々とした声が聞こえてきた。佐東以外の4人は思っていたことを言葉に出した。
「「「「(お前は後で覚えてろよ!!)」」」」
少しだけ経ってからクリスティーナは召喚者全員のプレートを見終わった。
「本日はこれで終わりです。各自の部屋に行ってもらい、メイドの指示に従って過ごして下さい。また何かご用がありましたらメイドに申してから行動なさってください。先程も申し上げましたが、明日の昼頃には皆様に謁見の間に来てもらいますのでそれまではごゆっくりお過ごしください。」
言い終わりクリスティーナが扉から出ていった。それから、各自戸惑いながらも与えられた部屋に行くことにした。