第二十七話 結果とスライム
会話文少なめ。
学園入り口でアルフィンと別れ直樹達は宿に戻ったのだった。
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~674年、炎の月、第20日~
入学試験の発表日となった。
それまでの直樹達は緊張など皆無で、いつもと同じように冒険者ギルドに行き、絡んでくる冒険者にやり返し、依頼を受けて達成して戻ってくる。または、5人で新魔法を開発したり鍛練をしたりして有意義に過ごしていた。
そして今はキリヤ学園の合格者発表と書かれたボードの前にやって来ていた。
「ボードが見えねぇ…」
「すごい人の数だよね」
「ウザったいくらいだ」
「まるで人がゴッ!」
「ちょっと黙ってようか~」
ボードの前には人、人、人。親と一緒に見に来る者がいれば友人と共に見に来る者もいる。喜んでハイタッチをしている者、泣いている者も見える。そんな中で直樹達は余裕そうに駄弁りながら少しずつ前に進んでいる列に加わった。
実際にボードを見ると5人は合格していた訳で嬉しいようなつまらなそうな顔をしながら合格者が行く必要がある学園の指定された場所に向かった。
その指定された場所は講堂のような場所で1000人ぐらいが入れそうな場所だった。そこにはもう既に200名程いて大半の人がソワソワしながら待っていた。
それから1時間弱待ち続けさらに100名程が講堂に入っきて、直樹達がもう待つのめんどいし帰ろうかなどと考えていると声が響いた。
「11時になったのでこの時間以降に入場したものは合格者でも不合格とする!」
どうやら規定の時間になったらしかった。時間は11時ジャスト。なぜそんなことがわかったと言うと、時計があり形はあの有名な「歌とおじいさん」を連想するようなアンティーク時計だったからだ。
なにやら先ほど言っていた人物が話を続けていたようだが直樹達は初めてこの世界で見た時計を魅入ってしまい殆ど話が頭に入らなかった。
数分後その人物の話が終わり何やらここに来ていた人が動き始めたので直樹達も付いて行くことにした。
直樹達からするとたった数分で終わるような話なら待たせんなよ!!と思ってもいたが…
そんなこんなで他の人達に付いて行ってるが自分達が何処に行こうとしているのかまるで分かっていなかったため、周りの人に訪ねることにした。
「ねぇ君。さっき何の話をして何処に向かってるか知ってる?」
良平が丁寧に訪ねたが相手はこちらを意識が低いやつらと判断したようで威圧的な態度で返してきた。
「お前話を聞いてなかったのかよ。一体なんでこんなやつまで合格してるんだか…まぁそれはいい。あそこでは来月の第1日に入学式があるから寮に住む人は10日前には入寮しておいてほしいとのことだ。で今からその寮を見せてもらえるって訳だ。分かったか?話をまともに聞けない猿め」
「ええ、大変分かりやすい説明有難うございます」
良平は見事なお辞儀をして笑みを絶やさなかった。それを見た相手は「チッ…」と舌打ちをし前の方に進んでいってしまった。
そこでやっと離れていた直樹達も良平の近くに寄り「どうだった?」と訪ねたが…
「ちょっとイラッと来たけど…」
と言いながら先ほど聞いた説明を直樹達にもした。
聞いている間の直樹達は良平が少し怒り気味だったので何も言わずただただ聞き役に徹していた。
寮の前まで来ると直樹達も驚いてしまった。
目の前には学園よりは小さいがそれでもかなりの大きさの寮だったのだ。この寮で一体何人が住むことが出来るのかと聞かれると沢山としか答えられない程の大きさだった。
そこでやっと担当者の声が聞こえた。
「ここは皆さんが入る寮となります。この学園は貴族も平民も身分に関係がなく学ぶことが出来るようにとのことなので、男女や身分に関係なく同じ屋根の下で暮らしてもらいます」
「平民と同じ場所で寝泊まり出来るか!!」
「男女くらい分けなさいよ!」
「誰がボンボンどもと暮らせるってんだ!!」
そうやって担当者が言うと、反論があちこちで聞こえた。それを聞いた担当者はうんうん頷きながら更に言葉を続けた。
「ええ。勿論皆さんが仰りたいことは理解できますね。そして貴族や平民、男女が同じと言っても部屋までは同じじゃありません。まぁそれは皆さんの先輩に聞いてみて下さい。嫌だと仰るなら入学を取り消せば良いだけですので」
そう言って担当者は頭を下げ、「それではまたお会いできることを祈っていますよ。入り口からお帰りくださいね」と言ってこの場を去っていった。
直樹達はというといきなりの状況に頭がついてこずこれはどういった状況かと悩んでいた。
そうしていると上品な服を来た人から筆頭にこの場を去り始め次に普通の服を来た人が去って行き直樹達は固まっていた。
「どうしようか…」
「取り合えずお金を稼ごうよ」
「そうだな。きっと入学でも金がいるぞ」
「今度はいくら取られるだろうな」
「取られるって表現をもっと言い換えようよ」
「じゃあ他には?」
「…絞られる?」
「「「もっと酷い(わ)(だろ)!!」」」
「はぁー。入り口だっけか。行こうぜ」
直樹達は少し疲れながらも入り口に歩いていった。ちなみに直輝達だがお金はそこら辺の弱小貴族よりも持っている。理由はワイバーンや赤竜を狩りお金を貰ったり、その素材を売ったりしてお金を稼いでいるからだ。
勿論その時の素材で直樹達の装備も良いものになった筈なのだが、普段は前の防具を使っている。そのせいで絡まれるのだが本人達は気付いていない。直樹達としてはいい武器、防具に頼るのではなく自分の力、技術で敵を倒したいと考えているからなのだ。
入り口に付いた直樹達は入り口近くにあった入学生用の受付を発見しそこに行った。
そこでまた寮のことや入学式の話をされ適当に相槌を打っていた。そして最後は入学料と授業料と言われ、入学料で金貨5枚授業料で金貨10枚と言われ、ぼったくりじゃねぇかと思っていた。
良平が金貨を75枚をしっかり渡したのでそれを確認した受付は直樹達にカードを渡してきた。
それは入寮時と入学時に使用するらしいので無くさないように言われた。直樹達もそれにはしっかり頷き、本日はすることもないので街の外に行くことに決定した。
門ではいつもの門番さん、ソルートと挨拶をして通過する。最近はいちいち検問されることもなく通れるようになった。直樹達がAランク冒険者であり、年齢が近く、そして通る度に会話をして友人になったからというのが理由だろう。
そんな直樹達はいつも通りに森へと向かう。地図を見たりして直樹達が思ったことはラスウェルには森が多いのではないかということだ。
これは間違いでも無くラスウェルには森が多い。理由としては様々だがラスウェルが大陸の中央に位置しているのもあるのだろう。街は多くても村があまりないのだ。そのため森へ道を作る必要もなく主となる道があって他の街に行ければ問題が無いという考えだった。
直樹達が森で何をしているかと言うと、基本はレベル上げだが今日は違った。いやレベル上げというのは変わらない。ただ直樹達のレベル上げではない。ならば誰か?それは───
──プルン、プルン──
スライムだった。
可愛らしく柔らかい真ん丸としたボディ。大きさはサッカーボールほどで青色。そしてプルンプルンと震えて宮本にすり寄る。それを宮本は撫でた。すると甘えるようによりすり寄るのだ。
そんなスライムが何故いるのかと言うと…
以前スライム大量発生があったことを覚えていただろうか?
あの時はどうして大量発生が起きたかという原因を突き止め食い止めることにしたのだ。その原因とはスライムの変異種がいたことだった。
変異種は色がただのスライムと同じ青色で大きさも変わらなく何処にいるのか直樹達も分からず取り合えず手当たり次第にスライムを倒していったのだ。だがスライムはオークの集落の時以上におり、途中で面倒臭くなった宮本が水魔法で全てを近くの川に流そうと思い魔法を使ったのだ。
その時の宮本はもう既にレベルが50を超えており強かったので魔法を使ったというよりも自然災害のような威力だった。結果、変異種のスライム以外が川に流されると共にその威力に負けて死んだのだ。そして変異種だけとなったのでその変異種は宮本の元に来て従うようなポーズを取った。
最初は全然理解出来なかったので宮本が止めを刺そうとするとスライムが何も反応せずみんなしておかしいなと思い様子を見ることにした。暫くして直樹が"調教"のことに気付きやってみようという話になりやってみると見事成功したので、それからは宮本の魔物となったのだった。
ただ例え変異種のスライムだったとしても見た目がただのスライムなので学園には連れていくことを止めた。そして人に見つからないようにして森で過ごすように言い付けていたのだが、こないだ森に来たときに見つけたのだった。まぁ見つからなければ大丈夫かなという考えになりスライムもとい『スラリン』は直樹達が森に入った時はレベル上げをしようという話にまとまったのである。
そして直樹達はスラリンを連れて森の奥に入り適度に魔物を狩っていた。スラリンはプルンプルンと揺れて嬉しそうにしているのだった。
直樹達はそれを見て和み、夜になるとルスティアに戻り、宿に帰るのだった。
安直な名前で申し訳ないです…
何かいい名前が無いのか!って思うのですがスライムはスラリンって感じがして。
次回の更新は1月16日の21:00の予定です。
ちょっといつもより遅いですがご容赦を!!




