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いつもの仲間と異世界道中!  作者: ミドリムシ
学園編
28/70

第二十六話 続 入学試験


そして直樹は魔法を全力で放とうと少しだけ準備をするのだった。


数秒間で集中し、体内で魔力を練り始める。すると、それまで直樹の周りに何も見えなかったが、魔力の揺らぎが見えるようになった。


それにいち早く気付いた担当者が直樹を止めようとしたが時すでに遅かった。


「インフェルノ!!」


その瞬間、的のあった場所を中心に黒い炎が当たり一面を襲った。炎は荒々しく燃え盛り、床や壁を溶かしさらに範囲を拡げていった。


そしてその炎の熱は凄まじく的から40mくらいある直樹達の所にまで届いていた。それに直樹は気付いて更に無詠唱で風の結界を作り自分達に熱を届かないようにした。


直樹は自分の魔法に満足して魔法を消し、アルフィンの所へ戻った。


アルフィンはドヤ顔で戻ってくる直樹を見て殴りたい衝動に駆られたが、周囲の目を考えてなんとか堪えた。だがやはり堪えられずに殴ろうかと思っていた時だった。


「あのさーあの人なんかずっとこっちを見てくるんだけど…」


直樹がドヤ顔を止めて小さな声で話しかけてきて、指を差してるものだから思わずアルフィンも指先を目で追ってしまった。


その先にいたのは魔法試験の担当者だった。



~ヘンリー side~


魔法試験が始まりヘンリーはただずっと見ていて、評価をしていた。


アルフィン皇子の番になりヘンリーは噂の件を是非確かめたいと思っていた。そして実際に魔法を見てみると、噂に勝る実力であると確認できたが、自分よりも上だと理解し動揺した。


そしてヘンリーはアルフィンの実力に動揺しながらも次の者を呼んだ。次の者はみすぼらしい格好で歩いてきた。その際にアルフィン皇子とすれ違い何か言ったっぽいが何を言ったのかまでは聞き取れなかった。


その者は準備のために魔力を練り始めた。それは他の者も普通で間違いでは無いのだがその者は魔力の練る早さや美しさが他の者と比べ段違いに上手かった。そこまでなら良かったのだ。だが少し経つと何かが見えるようになった。それまでは何も見えなかったのにだ。


流石にこの魔力で魔法を使われてはまずいと思いヘンリーは止めようとしたが遅かった。


「インフェルノ!!」


魔法が発動してしまったのだ。その魔法は20年間魔法の道を進んだヘンリーでも見たことも聞いたことも無かった。


そしてその魔法に目を奪われていると熱気を感じこれはヤバイ!と思ったが次の瞬間には風の結界がその場にいた全員を守るように出来ていた。


この時にヘンリーは無詠唱で行われたと気付きその者が終わって戻っていった後もずっと見つめていた。


見つめながら考えていたのだ。自分に魔法を教えてもらいたくてどうしようかと…


そして見つめている先でヘンリーはアルフィンと見つめていた者と目が合い率直に言おうと決めた。


そして…


「私はヘンリーと申します。あなた方に魔法をご教授願いたい!」


と頼んだのだった。


~ヘンリー side end~



「私はヘンリーと申します。あなたに魔法をご教授願いたい!」


ヘンリーは直樹に向かって頭を下げながら言ってきた。


「「はぁ?」」


その言葉に奇しくも直樹とアルフィンの声が被った。


「私が魔法の道に入ってから20年。その中で一番の魔法を見させていただきました。ですからどうか私にその魔法を教えて戴きたいと思いまして」


「無理」


ヘンリーのお願いを直樹は即行で端的に断った。


アルフィンは「だろうな」と隣で呟いている。だが断られた本人は納得できる筈も無く直樹に詰め寄ってきた。


「な、何故ですか!?何故無理なんですか!?」


「だって俺は人に教えることなんて出来ないし、そもそも教える為の時間なんてないからだ。あ、それとあれだ。俺は学園には学ぶ為に入るんだよ。だから色々学ばねば」


直樹が答えた時に周りにいた同じ受験(?)生は


(((((何が「学ばねば」だよ!!必要ないだろ!!)))))


とほぼ全員が思っていた。


「そ、そこを何とか!!」


「クドイ」


またしても直樹が即行で返した。それも苛立ちの混ざった声音で。


するとヘンリーも何も言えなくなり、場が固まりそうになった時にそれを察したアルフィンがヘンリーに声を掛けた。


「ヘンリーさん。そろそろ試験を再開してはどうかな?」


ヘンリーもそれには逆らうことが出来ずそそくさと最初の立ち位置に戻り試験が再開された。


直樹はややこしくなりそうな場面を助けてくれたアルフィンにお礼を言った。


「ありがとな」


「い、いやお前の為じゃないぞ!俺は試験が早く終わって欲しかったんだ!」


アルフィンは照れたように言いながらも嬉しそうな顔をしていた。それを見た直樹は


(え?まさかのツンデレキャラだったの?俺的には男子より女子から言われたかったなー)


などとどうでもいい感想を抱いていた。


それからは順調に試験が進み魔法の試験が終わった。ちなみに直樹が溶かした場所はそのままになっていたのでヘンリーにどうするのか聞くと、後日学園の者で直すと言われ直樹は安心していた。


最後は武術の試験となっているので指示された第一闘技場に向かっていた。そしてアルフィンと共に歩いていると道中で良平達を見つけ声を掛けた。


「良平!宮本!佐東!智哉!」


そう直樹が声を掛けた筈なのだが…


「なんか聞こえたかな?」


「何も聞こえなかった」


「幻聴だろう」


「幽霊かもしれないよ」


良平達は明らかに気付いているのにしらを切っていた。そしてまた直樹が呼び掛けるのだが、再度似たような反応が帰って来てとうとう直樹がキレた。


「だぁー!こっち向けや!友達が紹介出来ねぇだろうが!」


直樹が「友達」と言った段階でやっと4人は直樹の方を向いた。それを見ていた直樹は更に苛立ったが我慢し、隣のアルフィンを4人に紹介した。


「こちらが俺の新しい友達。アルフィンだ」


「紹介を預かったテラーブル帝国の第一皇子、アルフィン=ネムスレッド=テラーブルだ。よろしく頼む」


「ん?今なんか第一皇子とか聞こえたような気が…」


「何も聞こえなかった」


「幻聴だろう」


「幽霊かもしれないよ」


「それはねぇよ!目の前にいるだろ!」


アルフィンが自己紹介を始め、良平達が聞くと、直樹を無視した時と同じ反応が繰り返された。


アルフィンは自分の言うことで相手が冗談を言うという珍しい反応をされ嬉しそうにしていた。そして同時に直樹が言った


「(多分これから俺といたらもっとそういうことが数多くあるぞ。怒るか?)」


という言葉の意味を理解できた。


そして良平達はと言うとアルフィンの存在をどう対処するか話をしていた。数十秒後に話が終わった。まずは自己紹介からしようという話で纏まったらしかった。


「俺は良平ね。よろしく~」


「宮本だ。よろしく」


「佐東だ」


「智哉だよ。よろしく」


と各々が自己紹介し握手を交わしていた。直樹はそれを見て終わったのを確認すると、良平達にどこに移動しているのか聞いた。


「なぁ今そっちはどこに向かってるんだ?」


「えーっと、武術試験の会場の何て言うところだっけ?」


「第一闘技場じゃなかったか?」


良平が何処か忘れたようで3人に確認を取っていた。それに宮本が返した。


「そうそれそれ」


良平が宮本の言った所らしく頷いていた。直樹はそれを聞き自分達と同じ場所なので一緒に行かないか?と提案すると反対の意見がある筈も無く6人で行くことになった。すると勿論試験の話になるわけで…


「筆記試験楽勝だったよな」


「マジ楽勝過ぎて逆に不安」


「今なら何でも解けそうだ」


直樹、宮本、佐東は筆記の簡単具合について話し合っていた。


アルフィン、良平、智哉はというとどうして直樹と友達になったのかを聞いていた。


良平と智哉からすると直樹は疫病神であることは間違いないので、何か失礼なことはなかったか、何かやらかしてないか気がきでは無かったのだ。


だがアルフィンは一言で終わらせた。


「面白いやつだったからだ」


それを聞いた2人は同類かもしれないと思い親近感が湧いていた。


そんな話をしていると直樹が魔法試験の話をし出したので次は6人で話すことになった。


直樹が自分の使った魔法を言うと4人からは呆れと罵りが来た。


「直樹に自重って言葉は無いよね…」


「バカだな」


「アホだな」


「どうなるかくらいわかってただろうに」


「じゃ、じゃあお前らはどうなんだよ!!」


直樹が泣きそうな声で聞くと良平から…


「『アイスアロー』×10を使っただけだよ」


「俺は『ライトアロー』×15だな」


「『ダークランス』×10だ」


「『アースランス』×5だね」


直樹はそれを聞いて確かに自分は全く自重をしなかったなと、しょげながらも反省をしていた。だが直樹の隣にいるアルフィンは愕然とした表情で直樹達を見ていた。


アルフィンはこの段階で察した。もうまともなやつはいないんじゃないかと…


そして直樹達は第一闘技場に着き、全員が集まったのを担当者が確認し、武術試験が始まった。


武術試験は10個くらい同時に行われておりなんと冒険者が担当者をしていた。それを見て直樹達もワクワクしながら順番を待っていた。


当然番号が早い良平から呼ばれその後に宮本、佐東、智哉が間断無く呼ばれそれぞれが向かった。


そして数分後に佐東、宮本、智哉、良平の順で帰って来て皆が言うのだ。


「つまらなかった」


と。直樹は理由を4人から聞くと、担当の冒険者は殆どBランクで一人だけAランクらしく、みんなBランクに当たったらしかった。


直樹も10分の1の確率なら無理かなーっと考えているとアルフィンが呼ばれ、続いて直樹も呼ばれた。


そして呼ばれた場所に向かうとそこにいたのは20歳くらいのイケメンだった。


直樹はそのイケメンから訓練用の剣を受け取りながら身なりを見て、いい武器と防具だなと思っているとイケメンから声を掛けられた。


「さぁAランクの僕が君の試験を見てあげるんだ。光栄に思ってかかってくるといい!」


イケメンからのAランク発言を聞き直樹はニヤリと笑ってから始める宣言をした。


「行くぞ!」


「どこからでも来なよ!」


そして瞬き出来るかどうかの一瞬で直樹は距離を詰め、一閃を繰り出した。その一撃はイケメンの胴に命中し、10m程吹っ飛ばした。


直樹はあれ?弱くないか?と首を傾げてそのイケメンに近付くと気絶していた。なので近くで試験を行っている冒険者のところに行き事情を説明し良平達の所に戻った。


良平達にも事情を話すとまた呆れや罵りを受け肩を落とした。


アルフィンも少ししてから戻ってきて勝てなかったと悔しそうにしていたので5人で励ました。そしてまた駄弁りながら試験が終わるのを待っていた。


そして試験が終わり、最後に結果発表の日は炎の月、第20日と聞き、学園入り口でアルフィンと別れ直樹達は宿に戻ったのだった。





各話のタイトルが思い付かなくて…



次回の更新は1月14日の19:00です。

よろしくお願いします!

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