第二十四話 ルスティア
なんとか書けました。間に合って良かったです。
ただやっぱり短めで…
そして5人でルスティアを目指し、辿り着いたのは出発してから6日後だった。
~674年、炎の月、第7日~
直樹達はちょうどお昼頃にルスティアに辿り着いた。
「やっと着いたー!!」
直樹が声をあげて喜んだ。なぜそこまで喜ぶのかというと、連日走り続けていたのが精神的にきていたからだ。と言っても途中で寄り道をしたのでそこまで走り続けた訳でも無かったのだが。
ルスティアも王都ラスウェルと同じように外壁があり門があったのだ。そこで検問を行っているのを見て良平が口を開いた。
「はいはい。それじゃあまずは検問の列に並ぶよ」
「「「は~い!」」」「ん、了解」
「子供か!!」
「イエス、マム!」
「違うだろ!」
智哉だけ反応が違い、怒られなかったのを直樹達が文句を言いながら列に並んだ。
暫くしてようやく直樹達の番になる時だった。
後方から馬車の音が聞こえ、門の前に止まった。そしてその馬車の御者が門番に話しかけると…
「すまない。君達はこの馬車の後だ」
と、申し訳なさそうに門番が直樹達に謝ってきた。
直樹達は、その馬車を見ていた。
「豪華だな…」
「これっていわゆる貴族様的な?」
「あの紋章とか家紋か?」
「誰が乗ってるんだ?」
「やっぱり身分が高い人じゃない?」
などと話をしていると近くに並んでいた直樹達と同年代かやや上くらいの女性が話に入ってきた。
「あんた達は何も知らないの?」
「ん?何も知らないのって何をだ?」
「あの馬車やその中に乗っている人のことだよ」
「全くわからん。なにせ田舎から出てきたからな」
直樹達はあの鍛治屋の時以来自分達の出自を聞かれた時や当たり前っぽそうな常識がわからない時は田舎から出てきたと答えようと決めていた。
「田舎ねぇ~。田舎でも普通は知っているものだと思うけど」
「いやー冒険者に憧れてー全く勉強やその他諸々をしていなかったんですよー」
((((お前棒読み過ぎるだろ!それにその他諸々ってなんだよ!!))))
「まぁそういうこともあるよねきっと」
((((え!?それで納得しちゃうの!?))))
「そういうこともあっちゃったのよ。でさーあれ何なの?」
直樹が馬車を指差しながら聞いた。
「あれはラスウェル王国のアルフェルト公爵家の家紋なの。今年で15歳の息子がルスティアのキリヤ学園に入学するらしいよ。だから多分その馬車だと思うよ?貴族は検問の順番を抜かせるから楽でいいよね」
「へぇ~、ルスティアの学園ってキリヤ学園っていう名前なのか。なんか聞いたことある名前だな…」
((((興味持つのそっちかい!!))))
「あたしの話は基本スルーか…そして本当に何も知らないんだね…」
「ああ、だから教えてもらえると助かるね。っていうかお前誰だよ?」
((((今更!?))))
「え?あたし?あたしはビビだよ。よろしくね」
そう言ってビビは手を差し出してきた。それを直樹は握り返し自己紹介をして、良平達もそれに続いた。
「なんでよろしくなんだよ?」
「あんた達ってキリヤ学園の入学試験に来たんじゃないの?」
「ああ、そうだが…ってことはお前もそうなのか!?」
「ふふ、気付くのが遅いね。あたしはすぐにピーン!ってきたのに」
「お前みたいなレーダーは生憎お持ちしてないんだよ」
「残念。でもあたしの勘はハズレないから。また学園でね!」
「ちょっ!おい!次は俺達だ!」
ビビは公爵家の検問が終わったのをいち早く察知し直樹達の順番を抜いて先に検問に行った。直樹はそれに気付いて止めようとしたが間に合わず更に待ち、ビビの検問が終わってからやっと直樹達の番になった。
これが直樹達とビビの出会いだった。
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検問を終えてから直樹達はまずルスティアにある冒険者ギルドに向かった。
そこで暫くこの場所で活動することを受付にいた男性に言い立ち去ろうと考えていた。過去やっかいなことがあったからだ。
だが受付には女性しかいなく、綺麗な女性の所だけが非常に人が少なかったのでそこに行きこれからのことを説明し、少し談笑していると、また5人の男達に声を掛けられた。
「おい。お前らはみたいなガキが来るとこじゃねぇし、新人が俺らの天使であるキュリアさんに話し掛けるんじゃねぇよ」
リーダー格のような男が言ってきて直樹達は面倒臭そうな顔をして天使と言われていたキュリアの方に視線を向けるが苦笑するだけで助けてくれなかった。
談笑の内容は『グオノット』の噂の真相を確かめたいとかでキュリアが振ってきたものだったのだ。直樹達はもうどうにでもなれという気持ちで返した。
「そりゃーすみませんでしたねー」
「ええ、本当に申し訳ないです」
「すみませんでしたー」
「……(雑魚が)」
「申し訳ありませんでした」
それが相手にもしっかり伝わったようで物凄く怒った形相で迫ってきた。
「てめぇらなめてんじゃねぇぞ」
「俺達が誰か分かってねぇようだな。俺達はなBランクパーティの『レジェンド』だぞ!」
「それで?」
直樹が面倒臭くて早く宿屋を探しに行きたかったのでつい苛立った声で殺気を込めながら聞き返してしまった。
「い、いや、だ、だから俺達はBランクパーティで…」
「だからさぁー用件は何かって聞いてんだよ。何もオッサンらのことを聞いてんじゃねぇよ」
『レジェンド』と言った男はおずおずと後ろに下がり、そこからはリーダー格の男が話始めた。
「俺らはな新人は先輩を敬うもので、先輩から言われたら「はい!」って言うもんだって教えたい訳だ。分かったか?」
「それは俺達も分かってんよ。だけど敬えるかどうかはあんたら次第だろ?ってか「はい!」なんて納得しねぇと言わないっての」
呆れたように直樹は言い返した。すると相手の男はもう怒りで一杯なのだろう。顔が真っ赤にしながら更に言い返してきた。
「つべこべ言わずに言うことを聞けや!」
「ってかさお前の先輩とかの基準って何なの?」
「それはやっぱり冒険者なら強いか弱いかだろ」
「はぁ。なら俺らに構うなよ、後輩」
「なんだと!!」
直樹がそう言うと相手の男は掴みかかってこようとしてきたので、ギルドカードを目の前に差し出した。
そこには
Aランク
パーティ名『グオノット』
とあった。
それを見た男の勢いは止まり、冷や汗を流しながら、直樹達にペコペコ謝ってきた。
すると『レジェンド』のパーティ全員が頭を下げてきて、面倒臭い直樹達は他の人が近づいてくる前にそそくさと立ち去ったのだった。スキルを使用して…
「テンプレだったけど二度目はいらんな」
「面倒臭かったね…」
「全くだ」
「早く宿探して寝たい」
「俺も珍しく賛成かな」
そうして直樹達は宿探しを始め、お風呂つきの『ポカポカ亭』という宿を探し当てたのだった。
直樹達は何とも安直な名前だとか色々思ったがそこには触れず3人部屋と2人部屋を取った。
久し振りの風呂は気持ち良かったと話ながら夜は入学試験に向けて勉強をした。智哉は良平と歴史の本など読んでいたことなどあったので簡単そうにしていたが、直樹、宮本、佐東は全く読んでいないので全然分からずに頭から煙がでそうになっていた。
その直樹達3人の寝言は「良平がぁ…スパル…タ…すぎ…」など聞こえたりしたとか。
残りの日は勉強と体が鈍らないように、近くの森や山に行き魔物と戦闘したり、5人で手合わせなどをして過ごした。
炎の月、第15日となり5人はキリヤ学園の入学試験に向かった。
会話文を開けたのですが以前と今回でどちらが良かったですかね?
次回の更新は1月10日の19:00です。




