第二十三話 野営
今回短めです。
直樹達は楽しかったなぁーとしみじみ思いながら夜が更けるのだった。
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~674年、炎の月、第2日~
翌朝
「それじゃまたな~!」
「学園で迷惑かけるなよ!」
「いつでも来ていいからね」
「勉強など頑張って下さい」
直樹達はテッケイル家族に見送られ、最後はしっかり頭を下げてから『安らぎの羽』を後にした。
学園都市ルスティアに向かうには東門から出る必要があるのでそこに色々な食べ物を買ったりしてのんびりしながら向かった。
ただし東門を出てからはというと…
「ハッハッハ!俺の早さに追い付けるなら追い付いてみるがいい!」
「おい!そんなに飛ばしてたら後でもたないぞ!」
佐東が爆走していた。その後ろでは直樹達がそこそこのペース(フルマラソンを2時間30分くらいで完走するペース)で走っていた。
そのくらいのペースで行けば1週間かかるかかからない程でルスティアに辿り着けるのだ。それならば入学試験に向けて勉強をする時間も確保でき、ゆったり出来ると直樹達は考えていた。そう考えていたのだが…
「フッ。ゴブリンか。どけぇぇぇぇ!」
佐東が街道に出てくる魔物を高速で倒しながら突き進んでいる。このままのペースで行くことが出来れば4日程で辿り着けるだろうが、そこまでもたないのは明白だった。
「だからペース落とせって!」
「誰も俺を止められる者はいない」
そう言って佐東はどんどん先に行ってしまった。
直樹達はペースを変えずに「まぁ後で追い付けるだろう」と気楽に進んでいった。
それから夕方頃になった。野営場所を探しながら歩いていると疲れてダウンしている佐東を発見した。
「お疲れさん。お前のお陰で俺らは楽できたわ」
「も、もう走りたくない…」
「大丈夫だ。今日はもう走らないから」
「今日はだろぉ…」
佐東は倒れ込み、ブツブツ文句を言っていたが無視して野営場所を探した。
そして少し開けた場所があり、そこを野営場所に決定し準備を始めた。
そこで良平がアイテムボックスから材料をや調理器具を取りだし、夕飯の支度をした。
それを直樹達4人は寝袋や焚き火の準備をしながら眺めていた。
良平は鼻歌を歌いながら調理をし、味見をしながら作っていた。鍋をかき混ぜる時笑みを浮かべながらかき混ぜるのを「止めてほしいなぁ」と思いながら眺めるのだった。
そして料理が完成し良平が直樹達を呼び夕飯となった。
「今日の料理はあっさり雑炊、コンソメスープ(仮)、あとはボアステーキだよ」
良平が雑炊と言っているが、なんとこの世界にはお米があったのだ。以前いた勇者が伝えて今ではパンと並ぶ主食らしい。コンソメスープ(仮)はコンソメなど無かったので良平がコンソメ風味にしたので(仮)となっている。ボアステーキはボアという猪の姿をした魔物でこの肉が旨い。以前ボアを狩っていて美味しいことが分かってから野営の時にはほぼ毎回使われるようになった。
そんな良平の料理はすぐに食べ終わり、話をし始めた。
「いやー、流石お母さんの料理だ。美味しかったね!」
「誰がお母さんだ!」
「もうお母さんじゃん。だってこの世界に来て料理に洗濯、あと多少だけど掃除もしてくれるし。まぁ後は寝起きが良くて朝起こしてくれたら完璧だよね!」
「だよね!じゃない!そもそも自分達でしっかりやれよ!宮本はしっかり洗濯を自分でやってるよ」
「宮本は水属性あるから魔法でやってるじゃねぇか!」
「はぁー…魔法が無ければ作ればいいとか言って作った奴等に言われたくないんだ
が」
「あの魔法便利でしょ?でもスッゴクキレイになるわけじゃないから時々しっかり衣類を洗ってくれるお母さんは流石です」
宮本は水洗いを魔法で洗濯機のようにしているので時間はかからず、すぐに終わる。そしてすぐに終わったら直樹達の方を見てドヤ顔をかましてくるのだ。何回もやられているうちに直樹、佐東、智哉が協力して無属性の魔法を編み出すことにしたのだ。自分達が使えるようにと…
それでできた魔法が『クリーン』という魔法だ。これは何気に高度な魔法となっている。それはこの世界にない知識を使うためである。細菌などの微生物などを認識しているのが重要で、汚れを魔力を纏い消滅させるのだ。纏うという技術は全身強化魔法とほぼ同じで、あとは魔力に何をするのかという指示をだすのだ。正直熟練の魔法使いなどでないと出来ない代物になっていた。
だがその魔法も万能という訳ではなく時々洗わないといけないのだ。それをしてくれる良平を直樹達はお母さんと思うのも無理は無いのかもしれない…
「だからお母さんじゃないって!」
「じゃあ何がいいの?」
「どれも嫌だよ!」
そうこうしていると夜が更けて行った。
明朝、智哉が一番初めに目を覚ましどこか憂鬱そうな顔で他に歩いて行った。
直樹は歩いて行く音で目を覚まし、智哉が何処かに行くのが見えたので眠たいと思っていたが心配で追いかけることにした。
智哉は近くにある川にいた。そこでため息を吐きながらその川を見ていた。直樹はそれを発見し、智哉に近付き声を掛けた。
「おはようさん。どうした?最近なんか静かじゃん?」
「おはよう、直樹。ちょっと悩みがあってねぇ」
「悩み?俺で良かったら聞くが?」
「うーん、じゃあお願いしようかな」
「んじゃ言ってみ」
「あのさー。最近気付いたんだけど学園に入学したら短くても1年間は通わなきゃいけないじゃん?それから旅とかしたら、メリアと会うのが遅くなりそうだなぁって思い直してさ…」
「ってそれは惚気話じゃねぇか!」
「あーうん。そうなるね」
「旅も結構あっさりかもなー。なんだかんだ言って俺達レベル高くなったし。楽じゃね?」
「そうやって気を抜いてるから死にかけるんだよ」
「うっ…また痛いところを突きやがって。でも楽しめれば短くても長くてもいいだろ?」
「それもそうだね。難しいようなら俺だけ途中で抜ければいいもんね」
「それは最終手段だな。俺はこの5人でいろんなとこに行きたいからさ」
「わかってるよ。これから先、楽しめるといいよね」
「楽しめるといいじゃなくて楽しむんだよ」
そんな風に2人で笑い合ってみんなのところに戻り、それ以来智哉が憂鬱そうな顔をしなくなった。
そして5人でルスティアを目指し、辿り着いたのは出発してから6日後だった。
今回短かったので、明日投稿できればよろしいのですが難しいかもしれません…
でも出来る限り頑張りますので!
次回の更新は明日か明後日の19:00です
最近不定期でご迷惑をおかけします。
申し訳ありません。




