閑話 ある男の話
更新は1月6日にしようと思いましたが書いていないことがあったので閑話という形で書かせて頂きます。
これを読まなくてもメインストーリーにそこまで影響はないので途中でうざく感じたら読むのを止めてください。
ではどうぞ!
俺の名は周防息吹だ。
俺はつい10日前に異世界に召喚された。そこで俺もチートに目覚めると思っていた。そういうものじゃないか異世界召喚って。
ステータスプレートだったか、あれを見たときの落胆っぷりはない。だってさ…
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周防 息吹 年齢 16 性別 男
レベル:1
種族:人間 天職:狩人
体力:132
魔力:0
筋力:28
敏捷:20
耐久:20
魔攻:15
魔防:16
属性 闇 無
スキル鑑定Lv1 隠密Lv5 暗視Lv4 弓術Lv7
エクストラスキル全言語翻訳
称号『異世界人』
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魔力が無くて魔法を使うのは諦めてくれって言われたんだよ!!
異世界で魔法が使えないとか縛りプレイもいいところだろうが!!
それに"鑑定"のスキル以外は何のスキルも無かったんだ。マジでショックだったな…
でもまぁ隠密、暗視、弓術はこちらの世界に来て1日目と2日目で習得した。
多分隠密、暗視は俺が普段の生活で他の人に気付かれないように暗い場所で過ごしているからだろう。そして勿論異世界でも同様に過ぎそうと意識したさ。そしたら何か気持ち悪い感覚がしてさ。状態異常か!?と思ってステータスプレートを見てみたらスキルが増えてた。この時はなんで取れたかとかわからなかった。
だが弓術は俺が2日目の謁見後になんか弓矢の練習場があって、誰もいなかったからやってみたら、また気持ち悪い感覚が来てステータスプレートを見ると弓術って増えてたんだ。
その時ビビっときたね。スキルは過去の経験からも手に入れられるとね。
だから8日間で色々経験したこと試したけど特に何も手に入ら無くて落ち込んだ。
ん?なぜ俺がそんなことが分かったかって?
そりゃ決まってるだろ?俺は弓道部の部員で隠れオタクだからだよ!
そして多少コミュ障なんだ…
これが証拠の今朝の一面だ
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「スピー…スピー…」
「スオウ様、スオウ様、朝でございます。そろそろ起床してください」
「ん…は、は、はははははい。お、お、おおおおはようご、ございますっ」
「はい。お早うございます。それではお顔を洗って朝食を食べに行ってください」
「は、はは、はい。行ってまいりマス」
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分かって貰えたか?俺が多少コミュ障だってこと。
ちなみに回想に出てきたやたら丁寧な人はメイドのルーさんだ。優しくて可愛い人。惚れそうだ。
ただ俺は異世界に来てつまらない思いをしている。
何故かというと剣術の指導をマックスさんら近衛騎士達がしてくれるが、スキルを見て分かるように俺に剣の才能は無かった。
そして魔法なんてもっての他で、魔法の練習中は話を聞いてるだけだ。いやそっちの方がいいかもと思うこともあるのだが…
魔法師団長のスングさんっておぼえているだろうか?
あの人の教えが半端なく厳しい。だって笑顔を浮かばせながら魔法は体に受けて覚える者ですっていうことで威力を弱くした魔法を受けるんだ。それが絶妙で絶対に気絶しないんだ。だから痛みは、感覚はそのまま残る本当に恐い…
ま、まぁそれはもういいだろう。俺もあれ以上思い出したくもない。
さてここで問題だ。俺が今何処にいると思う?
正解は…
「そろそろ答えは決まりましたか?」
「い、いや、僕に、そ、そんなこと、出来ないと言いますかなんと言いますか…」
「私はあなたの能力を高く買っています」
「あ、あ、ありがたちお言葉!」
あ、噛んじゃった…もう嫌になるなホント…
で何処にいるでしょうか?え?まだわからない?しょうがない続きだぞ。
「私のお願いを聞いてもらえますか?」
や、やめてぇぇぇ!!そんなうるうるとした目で俺を見ないで!俺のライフはもうゼロよ!
「は、はい、わかりました。ぼ、ぼ、僕がやりましょう」
「はい!ありがとうございます!あなたもやつらに恨みがあるんでしょう?分かりますよ。だって私と同じ匂いがしますから」
え、えぇぇぇぇぇ!!!俺って王女様と同じ匂いがすんの!やば!嬉しい!ち、違うって分かってるんだからね!
あっ。答え言っちゃった。はい、正解は王女の部屋でした。
それで皆さんが気になるお願いっていうやつですね。これは旅立つって言ってるバカなやつら、特にリーダーを殺せってお願いされました。
同胞殺しだが出来るのか?とかあるかもしれないが、大丈夫だ。俺はやつらを恨んでる。
あれはまだ向こうの世界の出来事だった…
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高校に入学して2ヶ月くらい経った頃、俺は隠れオタクだし、多少コミュ障だから誰とも話すことが出来ないでいた。
そんな時やつらのグループが話しているのを聞いたんだ。
「いや~こないだ発売した『~』ってVRMMOあれ買ったか?俺はアタッカーの職で始めたんだけどさ、ソロだと辛く感じてるわけ。誰かやってるやついない?」
「それ俺も買ったわ。俺はプリーストになって物理でやってる」
「いつものパターンかよ。んで佐東は?」
「ふっ。俺はアサシンだ。早さなら負けん!」
「お前もいつものパターンじゃねぇか!良平はやってるわけねぇな。やろう!これを気にやろう!」
「これを気にってどの気にだよ。いいよ俺は。お前らと違って真面目に部活出るから」
「えぇー。マジで4人目どうすっかなー」
ん?直樹というやつは4人目ってことはパーティメンバーのことだろうか?これは俺が行けばチャンスじゃないか?俺もVRMMOやってて良かったー!これで友達が出来る!
「あ、あ、あ、あの」
「ねぇ君達って『~』ってVRMMOやってるの?」
「おう。やってるけどお前もやってんの?」
「うん。やってるんだけどソロじゃ厳しくてさ。レベルは35でナイトなんだけど」
「へー少し鍛えれば俺と同じくらいのレベルになるしタンクできるな。一緒にやろう!」
「あ、あ、あ、あの…」
「うん。やろう!今日の20時からでいい?俺は熊崎智哉って言うんだよろしく!」
「ああ大丈夫だ!俺は河内直樹だ」
「俺は宮本雄平。これで4人揃ったな」
「佐東勇介。4人とか完璧だ」
「その、ぼ、僕も…」
「なぁ飯食いに行こうぜー!」
「いいねーなに食う?」
「学食行ってから考える」
「そんでさ~────」
おい!俺が先に声を掛けたじゃねぇか!マジでありえねぇ!こいつらを恨み殺したい!
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それにこれだけじゃない。異世界でもあった。あれは2日目の謁見の間に移動する時の事だった…
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よし!今度こそ行くぞ!俺も旅に出たいんだ!
「ね、ねぇ」
「ん?誰か何か言ったか?」
「とうとう幻聴が聞こえるようになったのか…」
「いや幻聴じゃねぇって!」
「ね、ねぇ!」
「おわっ!後ろから急に大声を出すのは誰だよ!」
「ひ、ひぃ!」
「お前誰だ?」
「えーっと確か周防君だよね?」
「う、うん。えーっと、その…」
「どうした?言いたいことあるならはっきり言えよ」
(この時の直樹は前日に旅に出たい言ったことで周りからよく思われてなく陰口を言われたりしたため、苛立っていた。)
「い、いや。ぼ、僕もい、一緒に旅に出たいなぁ~なんて…」
「一緒に旅に出たい?」
「う、うん」
「お前にとって楽しいってなんだよ?」
「え?た、楽しい?うーんと…」
楽しいってなんだ?何が俺は楽しいと感じてるんだ?ゲーム?音楽?独りカラオケ?一体なんだ?えーっと…
「お前と一緒に行くのは無理だわ。ここにいるメンバーは俺がどういう存在かわかってるから一瞬一瞬を楽しめるんだよ。考えてる段階で多分俺らといても辛いだけだ」
「まぁ直樹と一緒にいて退屈は無いよね」
「めんどくさいだけじゃね?」
「面白いことの方がギリギリ多いか?」
「どれも楽しいって思えるのがちょっと許せないかな」
「お前ら酷くねぇか!?っとまぁこんな感じなんだよ」
いやいやいや、お前ってどういう存在なの?俺には半分も伝わってないんだけど!え?これ断られた?また俺は省かれるの?中に入れてくれないの?まじかーまじかぁ。絶対にこいつらいつか殺す。俺は決めたぞ。決めたんだ…
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わかっていただけだろうか?俺は殺意を抱いているくらい嫌いなんだ。だから問題はない。やってやるさ!やってやるぞぉ!
おい!誰だ!器小さいとか言ったやつ!許さないぞぉ!
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~直樹達がオークの集落を探しに行った日~
あれから少しはレベル上がって強くなったよな。ってかこの世界レベル上がりづらすぎ。もっと楽に上げてたいけどどうにかなんないかな。
そうじゃない。そうじゃない。まずはあいつらを追いかけなきゃな…
って歩きかよ!?森まで?めんどくさいやつらだなぁー。少しずつ詰め寄るか…
っ!
ヤバイ1名がこっち見てる!?ヤバイヤバイ!ばれたか?いや視線がずれて…
よし先に行ったな。セーフ!
「ふぅ~危なかった。もしかしたら見つかってたかもしれなかったな。本当にあの五人は一体どんな強さなんだよ…」
あー後を追わなきゃな。警戒してるっぽいからな気をつけて追わねば。
「本当になんで俺はこんなめんどくさいことをしてるんだろうな…」
いや。俺は弓道やってたけど根はインドア派だから。マジで殺意を抱いてるけど口からちょっと本心漏れることってあるよね。
~それから数刻~
あれ?あいつ魔物と何してんの?
会話か?なんか口動いてるしな。へー、面白いな。あいつ俺も旅に出たいって言った時は全然相手にしなかったのに、魔物は相手にするのかよ。
腹立つなー。苛立つなー。両方殺すか。
あー握手する感じかな?おー警戒薄くなってるし油断しまくりだねー。敵は魔物だけじゃないんだよ。それを教えて上げる俺って優しいね。
じゃあ射ちますか。
───ヒュ────トストス────
さすが俺!キレイに射ぬけたなー。ありゃ逝ったな。成功っと。そんじゃずらかりますかね。
~王城~
「も、目的はた、達成しました!」
「うふふ。ありがとう。それじゃあね?」
──ザクッ──
「へ?」
俺に何か刺さったよな?なんだ?何が刺さった?てか横腹が熱いな。カイロ持ってないのにな。どうしたんだろ…う……な…
いってっぇぇぇぇぇぇぇ!!!
なんでナイフが俺の横腹に刺さってんだよ!?いやこのクソ王女が刺したんだな!
「なっ、なぜ!?」
確かに聞きたかったと思ったけどそうじゃねぇよ。言いたかった言葉は。こんなところでコミュ障が邪魔をしやがる!
「もうあなたは要済みだからよ?それ以外に何かあるの?」
「テメェふざけやがって!ぶっ殺してやる!」
あれ?俺今普通に喋れたじゃん!それは感謝だがやはり許せんな!ぶっ殺す!!
「あら~まだそんなに元気なんだ。まぁもういいわ。殺っちゃって?」
「了解しました」
え?天井から何か人が落ちてきた?え?真っ黒だな。ヤバイ感じだな。あ、もう目の前に短剣の先が見え…る…
──ドサッ───
「処理いたしました」
「あーここに置かれても迷惑だから片付けもよろしくね」
「了解しました」
こうして初の召喚者組から死者が出るのだった。
だが彼は誰にも気付かれていない。あまりにも干渉しなかったせいだ。それは勿論直樹達もそうであった。直樹達は召喚者の誰が殺そうとしたのか考えていたがその中に彼の名前は無かった。
視点を一人に絞り、その人の感情で進めて行きましたが難しく感じました…
次回の更新はしっかり1月6日の19:00で学園編になります。




