第二十話 コンティニュー
4人やオークプリーストは慌てて直樹とオークキングを助けようとしたが、目を覚ますことは無かった。
4人は直樹の鼓動が停止したことを確認したが誰一人納得が行かずその場で立ち尽くしていた。
ある者は泣き、ある者は怒り、ある者は悲しがり、ある者は黙祷していた。
さらにそれから時間が経ったところで良平が怒った声で3人に命令をした。
「直樹を殺した奴を見つけろ!」
「わかった!」
「俺が見つける!」
「何言ってんの佐東?俺が見つけるよ」
それに3人は疑問も挟まず、直樹を殺した犯人を探しに行こうとした時だった
「ふぁ~あ。ウィっす。おはようさん」
とふざけた声が聞こえてきた。
その発生源から一番近くにいた良平がいち早く振り返り驚き、それに続き3人も驚いて固まった。
「お前らーどうした?幽霊が現れたような顔してー。いつからそんな間抜け面になったよ?あ、初めからか」
「「「「うるせーよ!」」」」
「お前らの方がうるせーよ!てかなんだー。生死の境目でさまよわずに死に向かっていたのに、そこから蘇った俺に掛ける最初の言葉がそれとかお前ら酷いな」
「そう!そこだよ!お前死んだんじゃなかったのかよ!」
良平が嬉しそうなしかし怒ったような声で聞いてきた。それに直樹は何て言ったらいいのか悩んで返した。
「まぁ、お前らには話しても大丈夫だよな。俺に矢が刺さって、意識が遠退いてからなんだけどさ────」
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直樹の意識が目覚めるとそこは暗い闇のなかだった。
(ここ暗すぎて周りがなんもわかんねーな…え、ってかここどこなん?)
直樹は暗いしか感想がなかったが冷静に考えてみたら自分がどこにいるかもわからないので色々考えてみることにした。
(え、俺ってどうしたんだっけ?あれ?矢が刺さって…矢が刺さったな!あーそう思うと左胸が痛く…ない?全然痛く無いな。そもそも傷がないな…こりゃ一体何事だ?まさかのもうデッドエンドか!?早いな!?恐ろしいほど早いな!俺の人生みじかっ!ということは、俺死亡→暗い場所→死後の世界。ということになるよな?まじで?ここ死後の世界なの?暗すぎて怖いわー。なら地獄に向かってんのか?いや、俺が悪さしたからって地獄に行くようなこと…したかもな…してないって言いたいわー。けど無理かなー。どうしようもないなー。まてまて、地獄って言っても真っ暗ってだけって、俺は暗所恐怖症じゃないからダメージがあまりない…まさか!?これは焦らしプレイ的な何かか!?)
「喧しい!もう少し落ち着きなさい!」
などとくだらないことばかり考えていると突然声が聞こえた。
(ん?誰だ?なんか聞いたことがあるようなないような声なんだが…)
「一応、私は君に1度だけ声を聞かせてたからね。それももっとボヤッとした声だったはずだけど」
直樹は声のした方に1度振り向いてその人物を見た。
その人物はブロンドの長髪で女神と崇められても問題はないほどの美貌の持ち主で光輝いていた。
そんな美貌の持ち主を見ても直樹は誰かわからず、同時に疑問も抱いた。
(あれ?俺って今喋ってたっけ?声だしてないよな?)
「そうね。私は心の声が聞こえるからね」
(へぇー!凄いねあんた。で、誰だよ?)
「くっ!私をあんた呼ばわりするとはいい度胸ね…っていうかそろそろ普通に喋りなさい」
「それもそうだな。んで、誰だよ?」
「この声でこの言葉を聞いたら君でもわかるわね?それじゃ聞きなさい。『君たちのこれからに幸多きあらんことを』。どう?分かった?」
その美しい女性が訊ねてくるが直樹はうーんと悩むだけで誰かは分からなかった。
「はぁ…一番初めに死にかけるような人だものね…覚えていられるはずもないか」
直樹はずっと悩んでいたが今の発言は流石に聞き流せなかった。
「ちょっと!今のどう言うことだ?」
「ん?覚えていられるはずもないかってこと?」
「違う!一番初めに死にかけるような人ってやつだよ!!」
「あーそれね。それは君が召喚者の中で一番初めに死にかけてる、もうじき死ぬ者ってこと。お分かり?」
「あ、ああ。分かった。やっぱ俺は死ぬのか…」
「そうよ。あなたはもうじき死ぬわ。加えて言うとしたらあなたを殺そうとした人物は召喚者だわ」
「なっ!!」
直樹は自分が死んだということにショックを受けたがそれ以上に同じ召喚者から殺されたということに強いショックを受けた。
そして当然そんなことを知っていて自分に話しかけてくる目の前の人物に警戒した。
「そんな警戒しなくてもいいわよ。はぁ。仕方ないから自己紹介をしてあげるわ。私は【神】よ。名前は無いから好きに呼んでいいわ」
「おお!あの神か!ってか喋り方とか変わりすぎじゃね?」
「あの時は威厳がないと言うことを聞いてくれないと思ってたからよ」
「なるほどな。んで名前なー…アウロラにしよう!」
「アウロラね。どうしてその名前にしたの?」
「アウロラっていうのはオーロラの名称になった女神でな。あんたみたいに美しいブロンドだったらしいんだ。だからだな」
「へ、へぇー。美しいブロンドね…ありがと…」
「ん?なんだって?」
「う、うるさい!」
実際直樹は聞こえていたがからかいたく聞き返した。そしたらアウロラはその美しい顔を赤くしながら怒ってきて、直樹は上手くいったなと1人頷いていた。
「は、話を戻すわよ。今ここは生と死の狭間なの。ここはほぼ真っ暗だからもうじき死ぬって言うことなの。だけど今はまだ死んではいない。ギリギリで。ここまではお分かり頂けた?」
「ああ。俺がまだ生きてるってことなんだよな?」
「ええ、そうよ。そして何故私がここに現れたのかと言うとね、私は1つ決めてたのよ。ディファルドで1ヶ月以内に死にそうな者がいたら1回は助けてあげようって。そしたら君が死にそうになったって訳。ここまでお分かり?」
「分かったけど、アウロラって神っていうけどどんな神なんだよ?」
「私は、生と死と時空を司る神よ。どう?凄いでしょ?」
「凄いな。時空か。俺は時空魔法練習してるけど全然感覚掴めなくて…」
「ふぅん?私が少しコツを教えてあげようか?」
「本当か!?教えてくれ!」
アウロラは自慢するように言ってくるがそれを直樹は話を上手く反らしあまつさえ神にまで魔法を教えてもらおうとした。
利用できる者はなんでも利用する。それは死にそうな時でも変わらない直樹であった。
それからアウロラに教えてもらいコツを掴んだ直樹は礼を言って話を戻した。
「んで、結局俺ってどうなんの?」
「うーんそれは私の気分次第でもあるけど、君のことは気に入ったから1度だけ蘇らしてあげるわ」
「おお!なによりそれがありがたい!ありがとなアウロラ!」
「ど、どういたしまして。あと私からのスキルと加護をプレゼントしてあげるわ。役に立つと思うわよ」
「ん?スキルって魂の器が~とか言ってなかったか?」
「言ってたわよ。でも今の君は召喚された時よりその器が大きくなっているからね。十分だよ」
「へぇー。そんじゃそろそろ俺を蘇らしてくれよ」
「はいはい。君は自由だね。ここでの時間は現実では少しの間だからそこまでずれてはいないと思うよ」
「おう!色々ありがと!」
「それじゃいくよ」
そう言ってアウロラは呪文のようなものを唱えた。そして最後に
「君のこれからに幸多きあらんことを」
と言って送り出してくれた。それに返すため直樹は聞こえるかわからないが言い返した。
「またな」
そして視界がまた暗転し、直樹が目を覚ますた。
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──っていう感じです。どう?分かった?」
直樹がそう言って締めると4人はプルプルと震えていた。そして4人は我慢できなく直樹に迫った。
「おい!お前は俺達がどういう気持ちでいたと思ってんだ考えろ!」
「時空魔法を俺にも教えろ!いや、教えてください!」
「一体どういうスキル手に入れたの?ねぇ?ねぇ?」
「なんなの?お前のその運って本当になんなの?」
直樹は怖くなって後ろを振り向いた。そして見たのだ。そこで死んでいるオークキングを。
「ああ、こいつは死んじまったんだな…俺達と一緒に旅できたのかもしんねぇのに。俺は俺を殺したやつもオークキングを殺したやつも許さねぇ!!」
そう意気込み、それを聞いた4人もそれに同調するように頷いた。
「まぁまずは帰ろう。そんで強くなってそいつを探して対面した時ブッ飛ばす!それまでは我慢だ」
直樹は動き出して指示をだした。4人はそれに従い動いた。
良平はオーク達の死骸をアイテムボックスに入れる作業。その護衛として佐東を。
宮本、智哉は女性の保護をしてもらう。
直樹は動かなくなったオークキングに一言言い、そしてオークキングの亡骸を回収した。この革や骨などで武器、防具を作ってもらうために。そのため近くにいたオークプリーストに何度も話し掛け説得し多分了承と言える言葉をもらって、プリースト達は森に逃がした。
こうして直樹達のオークの集落の調査の依頼を終えて宿に帰還したのだった。
タイトルがぁぁぁ思い付きません…
ご都合主義すぎるだろっと思われると思いますがご容赦を!
次回の更新は1月4日の19:00です。




