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HELLO DAYS  作者: 清涼飲料水
1/1

encounter

この世には幽霊がいるとかいないとかよくわからないが、まず普通の人ならいないと答えるはずだ。まず、俺がそうだったのだから。だが、ここで一度言っておきたい。幽霊は居るはずだと…


~4月~

『友だちができない…』

俺、飛鳥井 澪は入学してもうすぐで一ヶ月になろうとしているのに友だちができずにいた。それどころか誰とも話せてないのである。

『このままだとヤバイ、ぼっちフラグが建ちそうだ…』

クラスの大半はもう、近くの中学だとか、SNSで知り合ったとかで話していて、グループが既にできていた。

(というかもう、ぼっちじゃん…まあ、今日は様子をうかがうか…)


そんな感じで放課後になってしまった。今日から部活見学だが、特にこれといって行きたいところはなかった。だけど、この海成高校は進学校だが部活は強制参加になっている。いわゆる文武両道ってやつだ。

『まあ、適当に楽なとこ探すしかないな…えっと…新聞部、サッカー部、囲碁部、ハンド部、野球部…どれも大変そうだしめんどいな…』

そうやって探していたときに後ろから声を掛けられた。

『あの…?1年生ですか?』

振り向くと、そこにはかわいらしい女の子が立っていた。背は低めで、顔はきれいに整っており、まるで人形のようだ。1年生?と聞いてきたので先輩なのだろう。

『えっ、あ、はい!そ、そうです1年生です』

久々に話したので声が思うように出なかった。

『あの…もし良かったら、私の部活に見学に来てくれませんか?』

その先輩は恥ずかしいのか下を向きながら言った。

『どこにも行く用がないので良いですよ。』

『本当に?やった!はぁ~良かった!』

その先輩は緊張していたのか、今にも座り込みそうな勢いで息を吐いた。

『こうしちゃ、いられないね!じゃあ、すぐ部室に行こう!』


先輩は俺を引っ張って部室があるらしい階段を小走りで登っていった。そして、部室の前へと着いた。そこはこの校舎の中でも古い校舎で埃やら落書きやらでお世辞にもきれいとは言えない所だった。そこで僕は一番大事な疑問を思い出した。

『あの、先輩1つ聞いても良いですか?』

『ん?何かな?』

『どこにもこの部のポスターや張り紙がしてないんですけど一体何部なんですか?』

『あぁ~!そういえば言ってなかったね!ごめんごめん!』

そう言って彼女はこう続けた。

『私の所属している部はね…幽霊部なんだよ。』

『ゆ、幽霊部?何ですかその…幽霊部って?』

俺は思いがけない言葉を聞いて驚いた。というか、幽霊部ってなんだよ。

(部活に入るけど部活に出ないのが活動とか言うんじゃないだろうな…。)

そんな変な想像をしていると、先輩はこう言った。

『幽霊部はね、文字通り部活に居るけど部活に来ない部活なんだよ!』

まんま想像した通りだった。

『え?よくそれで廃部になりませんね…この学校厳しいのに。』

『あぁ!そう言えば表の部活の名前を言い忘れてた!』

表とか裏とかあんのかよ、この部活。俺は呆れながらもこう聞いた。

『んで何ですか、本当の部活の名前って?』

そして、先輩は少し溜めて言った。

『本当の名前はね…普通の文芸部なんだよ!』

(うん、まあそうなるな。というか、普通じゃなかったら嫌だな)

また、そうやって想像していると先輩が俺の目の前に立っていた。

『部員が今、四人しかいなくてあと一人集めなきゃいけないんだよ…この部活がなくなったら私は楽できないし、入ってくれないかな?』

(この先輩見かけによらず相当なめんどくさがりなんだな。まあ、入る部活もないし、楽したいからな。)

『そういうことならいいですよ。』

俺は素直に答えた。

『本当に?やった!じゃあ、部室に入って入って!』

先輩は俺を押しながら部室へと入れた。

『うわ…何だここ…。』

廊下の汚さと違い、この部室は綺麗で俺がいつもいる、校舎のどこよりも綺麗だった。

『先輩、部員の皆さんがいないんですが、帰ったんですか?』

『うん、多分帰ったんじゃないかなー』

『あ、そうですか…。』

通称幽霊部のあだ名は伊達じゃない。

『じゃあ、私は入部届貰ってくるから待っててね!』と言って部室を出て行った。

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