小さき花嫁の悩み。その後
「小さき花嫁の悩み」にR15がなかったので、補充です! 超短い、軽いR15場面。……R15?
「ん……ぁ」
眠りを妨げる違和感に、吐息が洩れる。
まだ完全には眠りから覚めていない頭で、考える。
胸を揉まれるやわやわとした指の感触と、裸の皮膚を這うねっとりと熱を持つ舌の感触はチサのよく知る人のものだ。
「やぁっ!」
首筋にチュッと音を立てて吸いついた(まだ歯は立てていない)彼に、責める眼差しで睨む。けれど、その緑の目は潤んでいてあまり迫力はない。
「き、キースさまぁ……寝ている間に胸を揉むのはやめてください、と……お願い、したのに……どうして、守ってくださらないのですかっ」
前のリボンはすっかりと解かれ、全開になって二つのささやかな膨らみが彼の面前に晒されてしまっている。それどころか、ペチコートの裾もお腹まで捲り上げてドロワーズに覆われた太腿をサワサワと撫で上げるから恥ずかしくてたまらない。
(ひーん、ナニコレ!!)
真っ赤なチサが、完全に覚醒したことを確認したキリエ侯爵は、困ったように微笑んで「こうしないとチサは寝惚けるからね、私なりの防衛本能というか」とよくわからない言い訳を口にする。
寝ているチサを起こす、という先日の彼からの提案を実践した最初こそ、彼は普通に起こしてくれた(らしい)のだが……どうやら、その時にチサが 相当 寝惚けたらしく……それ以来、寝惚けずに起こせる 強力な方法 を選んだ結果が コレ というわけだ。
確かに、寝惚けるなどそんな暇も与えないほど、身の危険というか、羞恥を覚える方法で目が覚める。危うく、全裸にされそうになったこともあれば、足を広げられそうになったこともあった。
(ううっ、寝惚けたわたし、何したのっ?!)
と、後悔しきりである。
何度問おうと、その時のことを侯爵は口にしようとしない。
ただ。
「うーん、仕切り直しはするから忘れたままでいいよ」
とだけ、ものすごく不服そうに唇を尖らせてチサに告げた。ちょっと拗ねた子供みたいだった。