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デアイ【2】

「危なかったー」

 


佳奈が大きく肩で息をしながら俺に言った。見ると、周りには誰もいない。どうやら俺たちが最後のようだった。

 


「そうだな。まあ、ギリギリ間に合ったから別に良いか。高二の始業式からいきなり遅刻なんて冗談じゃないからな」

 


そう言って、教室に行った。教室には見知った顔がたくさんいた。どうやら、始業式が始まるのを待っているようだ。佳奈は佳奈で女子へと行ってしまった。という訳で特にやることの無かった俺は椅子に腰掛け、始業式が始まるのを待っていた。急いできたので後十分も残っている。後五分ほどでこの教室を出ることになるだろうなーと考えていると、クラスメイトの岡部太陽が話し掛けてきた。クラスメイトながら、すごい名前だよな。



「よ、悠人。遅かったじゃねえか。どうしたんだ? 珍しいこともあるもんだな」



「そういう日もあるさ」

 


割と本気で面倒だったので適当に流すと、太陽が

 


「まあまあ、そういうこと言わずにさ。俺は優しいからあの西沢さんと歩いてきたことなんて誰にも言わねえよ。誰も気付いてねえみたいだからあえて言わねえ。俺って最高の友達だろ? ちょっと待て。分かった。手を放せ。苦しいから放せ。いや、離して下さい。ま、そろそろふざけるのをやめないと殺されそうだから本題に入るけど、お前、知ってるか? 今日、このクラスに転校生が来るんだってよ。しかも女らしいぜ。それも金髪。いやー、生きてて良かった。まさか生きてるうちに本物の外国人女子高生を見られることになるとは。ほら、聞いて良かっただろ?」



特に何もそそられなかったので適当に追い返すと、先生が入ってきた。どうやら、体育館に行くようだ。



始業式が終わり、先生が少しだけ遅れて入ってきた。

 


「これから一年間君たちの担任になる朝河勉だ。これからよろしく。じゃあ、クラスに知らない人もいるだろうから自己紹介をしようか。じゃあ、席順に呼ぶからな。窓際の列から順に自己紹介していこう。まずは、神田聡美からだな」

 


はい、と言いながら神田が立ち上がった。というか、このクラスの奴等は一年の時とほとんど変わらないから自己紹介の意味は無い。どうやら、あの担任が確認のためにやっているようだ。



ちなみに、俺と佳奈の席はかなり離れている。俺の席は窓際の一番後ろにあるため、とてもリラックスできる。佳奈は正反対で、教卓の真ん前にあるためリラックスなどする余地も無い。



それより、どうして俺の隣の席には誰もいないんだ?



そんなことを考えていると、俺の順番が回ってきた。



「聖悠人です。趣味は家事全般と運動です。特技は皿洗いです。これから一年よろしくお願いします」

という、ありきたりな自己紹介を済ませて席に座った。

 


ようやく、全員の自己紹介が終わった。俺が数学の教科書を鞄の中から取り出していると、それまで黙っていた担任がこう言った。

 


「すっかり忘れていたんだが、今日はお前たちに良い知らせがある。何と、外国からの転校生だ。皆、仲良くしてやれよ。連れてくるから、ちょっと待ってくれ」

 


そう言って、教室を出て行った担任がしばらくして転校生を連れてきた。入ってきたのは、美人、というよりとても可愛い子だった。

 


「こんにちは。私は、イギリスから来たサーシャです。一人で日本に来ました。日本にはつい先日来たばかりですが、幼い頃から両親に日本語を習っていたので日本語に問題はありません。これから一年、

よろしくお願いします」


 

転校生が自己紹介を終えると、先生が俺の隣の席に座るように言った。どうやら、この空白の席はこの

転校生のために用意されたものだったらしい。

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