~②~
部屋の入り口でエマも微笑ましい光景に笑みをこぼす。
「精霊さん達、そろそろ私の目にもその綺麗な瞳を見せてくださる…ふふふ。」
シャルル
『…これは失礼、mademoiselle』
膝をつきエマの手にキスをするシャルル
『エマ婦人は、今日もお美しくなによりです…。誇り高い貴婦人に庭の薔薇達も嫉妬するでしょう…。』
…ほんとに美しい画だわ…
二人の光景は絵画の中で見るようなシーンだった。
長身に艶やかに光る深紅の髪がシャルルを一段と妖艶にする。
アラン
『主従の契約も必要なくなったのに、…ったくシャルルは…。』
クロード
『それが彼の礼儀なのだよアラン、男性とはいつでも何処でも紳士でなくては行けない。シャルルはたまに問題をおこすがね。』
アラン
『はぁ…。』
「…………。」
アラン
『おい!アリス見とれんなっ!』
リディ
『あら…。アランは早速、アリスさんにやきもちかしら?』
ジゼル
『アランよりずっと私はいいと思うけど…ね?アリス。』
…返答に困るわ…
自分の仕立てたドレスを一年ぶりに届け、時間の止まった部屋の針がゆっくり動き出すのを感じる。
寸分狂いない完璧な服がみんなの美しさを引き立たせ、目の前の彼らから目が離せない
アラン
『こぉっ…のクソガキっ!!!』
ジゼルに手を伸ばしかけると冷静に一言
クロード
『…アラン、やめとけ。大変な事になるぞ。』
アラン
『っく…。』
しばらく続く賑やかな空間は初めて会ったとは思えない程、馴染んでいた。ジゼルと私は暗くなる前に帰ろうと屋敷を出る。
「皆、おやすみなさい。明日も来るけどたまには遊びに来てね?」
…本当はまだまだ居たりないけど…
アラン
『アリスんち、小さいからなぁ…。ここの方が部屋広いし退屈しねーだろ。』
「もぅ!!アランのいじわる…。って何で家の中知ってるのよ!!」
アラン
『さぁ?…なぁみんな。』
目を合わせてアランの意地悪に三人は頭を抱える。エマに抱擁されて見送られるとジゼルと私は楽しくお喋りしながら家路に着いた。
帰ってしばらくしてから、
家事は自分に全部任せて欲しいとジゼルに強引なお願いをされて、夕食を作る作らないでもめていた。
「-----んんんもう!わかったわ!…負けた。全部ジゼルにお願いするからっ、けど約束して?無理な事はしいでね?頑張りすぎると心配になるわ…。」
かわいいダダをこねるジゼルに根負けして、任せる事にしたアリス。
「えぇ!約束する!アリスの喜ぶ顔が私は嬉しいのよ!」
----コンコンッ!!----
話の途中で玄関からノックが聞こえる。
「…はい、どなた?」
ドアを開けると目線の下には見覚えのある薄紫の裾がゆれる。
「リディ!!……と皆…?」
予想しなかった来客に目を丸くする。
『私がアリスさんの家に行くと言ったら、この子達もついて来ちゃったの…。んふ。』
肩をあげながらにっこり笑うリディが立っていた。
シャルル
『リディ…。君が来なくても、僕はここに来ていたよ。だってアリス姫は泣き虫やさんだからね?ずっと僕が傍にいてあげないと。』
「…シャルル。」
クロード
『私だってアリスが心配だ、なんなら全員帰して私が代表して来るか?。』
アラン
『どーみても!こいつらだけで来させる訳にいかないだろ…。』
驚いたが嬉しい来客でにっこりアリスは招きいれた。
「みんな…いらっしゃい、…狭いですがどうぞ!!ふふふ!」
ジゼルはアランに目を細めて言う
「アリスを…私の大切な人をいじめたら、許さないわよ!」
一触即発の二人をよこに
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リディ
『エマさんがね、好きなだけ行ってらっしゃいとおっしゃてくれてね。ウフ』
シャルル
『僕も彼女に言われたよ。「私、お人形遊びは卒業しましたのよ?大分前に…クスクス。」とまぁ…。アリス!姫の傍に居ていいってさ。』
二人の帰った後に四人とつかの間、時間を楽しむとエマはアリスの元へ皆を行かせたのだ。
エマの、シャルルへついた少しの意地悪はアリスを最高に喜ばすプレゼントのひとりになった。
…エマさま、どこまでもお優しい方ね…
「ほんとに…皆居てくれるの?」---全員から笑みが溢れる---
昨日から人とはちょっと違う平和な出来事にアリスは何だか夢を見ている気分になった。醒めないで欲しいと思いながらそして、見始めたばかりの夢が出来るだけ長く見続けれるように神様にお願いした。
「小さいですが我が家へ、ようこそ!」と皆へ喜びながらかえし。リビングで昼間のような賑やかな時間はあっという間にすぎた。
------結局一人で広いと思っていたアリスの家は、6人の手狭な大家族の家にかわったのだった----
…アランの言うとおり、うち狭いわね…