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花守

作者: 蒼聖石

あなたが笑ってくれるから僕はこの花園を守ってる


水をあげ 草を刈り 剪定して


より美しい花を咲かすために蕾を落とす


落とした蕾は土に埋めて 美しい花の礎に


ああ また今日もあのベランダから笑いかけてくる


その花のように美しい笑顔を守るために 僕は花園を守る




笑顔が曇るようになってきた 近くで戦があるという


あの人は遠い親戚の家へと避難するらしい


戻ってくるまであの笑顔を見ることができないのは辛い


それでもこの花園は守る 戻ってすぐに綺麗な花園が見えたなら


きっとすぐに笑ってくれるから


そしてあの人は 馬車に乗って行ってしまった




あの人が行ってから すぐに戦が起こった


兵士が走り 騎馬が駆け 大砲が吼える


屋敷も花園も荒らされたけど すぐに直した


荒らされては直し 荒らされては直し


あるとき兵士に見つかりかけたけどなんとか隠れられたと思う


そして気付けば戦は終わってた




寝ていたはずなのにいつの間にか花園に出ていたけど


それでもまた静かになって 落ち着いて作業が出来る


戦のちょっと前に奉公に来た少年の手伝いもあって


すぐに花園は元の美しい姿を取り戻した


なのにあの人は帰ってこない


葉が茂り 蕾がなり 花が咲き 散る




何度繰り返したかわからないくらい経った頃


馬車が停まって 中から降りてくる


だいぶ年を召してはいたけど あの笑顔


確かにあの人だ 嬉しさに飛び上がりそうになった


そのときもう二人降りてきた


その子どもは誰 その男は誰




あれ、と疑問に思った


少年もすっかり大人になって あの人を出迎える


そういえば僕はどれだけここからの風景を見てきただろうか


少年だった青年が 剪定鋏を持たせた子どもと共にやってくる


ああ ああ そうか


僕はとっくの昔に この花園の礎に……




バツン

初投稿となります。

至らぬ点もあると思いますが、どうかお手柔らかに評価をいただけるととても嬉しいです。

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