ウンコ
昔々ウンコという名の、ドラゴンのようなでっかいインコがいました。
彼は自分の名前をとても気にしていて、いつも「ウンコ」と呼ばれることに腹を立てていました。
そこで彼は世界を征服して「ウンコ大帝」と名乗ることを決意しました。
ウンコはまず、手始めに近くの村に向かいました。
村人たちはウンコを見て驚き、「あれはウンコだ!」と叫びました。
しかしウンコは「違う!私はウンコ大帝だ!」と叫び返しました。
村人たちは驚きのあまり「え?」と困惑して静まり返ってしまいました。
その、あまりの静けさにウンコは耐えきれず、恥ずかしさのあまり火を吹いて村を焼き払おうとしました。
しかし火を出そうとした瞬間、くしゃみをしてしまい、「あっ、うんこ!」と叫んでしまいました。
実はウンコは火を吹くときにこのクセがスゴいので親からウンコという名前をつけられて捨てられた悲しい過去があり、ドラゴンのようなでっかいインコであることについても、ドラゴンのようなでっかいウンコとよく間違われ、いまでもトラウマになっているのです。
結局ウンコは火を出すこともできず、またうんこ!と叫んでしまい、村人達から嘲笑され、しまいにはビビらなくなった村人達から本物のウンコまで投げつけられてしまうのでした。
ついにウンコは、うんこを投げつけられるその状況に耐えられず、逃げるようにその場をあとにしました。
誰もいない山中でしばらく落ち込んでいたウンコ。
しかし彼は気を取り直し次の目標を狙いに行くことにしました。
「村なんてチンケなところに行ったからこんなことになったんだ。もっと人の多いところに行ってビビらせてやろう。」
そこでウンコは王国に攻め込みました。
空からウンコという名の化け物が現れ、またたくまに混乱が起きる王都。
さらにウンコは王様を驚かそうと王宮へ行きました。
バサバサバサバサッと巨大な羽を羽ばたかせて飛んできたでっかいインコのウンコ。
王様は彼を見て「お前はウンコか?」と尋ねました。
そこでウンコはまた「ウンコ大帝だ!」と叫びました。
しかし王様はすでに村からウンコ襲来の話を聞いていたので、「そうか、それならうんこでも食べて行きなさい。」と今朝方自分がしたうんこを差し出してきました。
ウンコは烈火のごとく怒り狂い、「もういい。おまえら全員王宮ごと焼き払ってやる!」と叫んで大きく息を吸い込みました。
しかし次の瞬間、火を吹こうとしましたが、またしてもくしゃみをしてしまい、「う、うんこ!」と叫んでしまいました。
「おまえはそんなにうんこがしたいのか?」
結局、ウンコは自分の名前と、このクセがスゴいせいで王様に笑われ、誰にも恐れられず、恥ずかしさのあまり逃げ帰る羽目に。
その後王様は村人達を王都に招待し、一緒にウンコ襲来の話を酒のつまみにパーティーを開くことになりました。
つまりウンコは世界を征服するどころか、ウンコの名を広める大パーティーの主役になってしまったのです。
こうしてウンコは、当初の目論みとは違ったが「ウンコ大帝」として名を馳せることになり、世界中の人々が彼の伝説を語り継ぐことになりました。
おしまい。