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兎心  作者: 隙
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序章

日本は少子高齢化が進行し、若年層が都会に集中することで地方の人口減少が発生している。そのため、地方で暮らす高齢者は後継者問題やライフラインの未開発や後退問題などに悩まされている。


地方では食品の買い出しにスーパーへ行くのにも車で数十分かかることも多く、車がない人はご近所付き合いや閉店間近の高齢者の営む小さな商店で購入するしかない。車を保有していても年を重ねるごとに家族や世論が免許の返納を促す。しかし、車がなくなると活動範囲は狭まり、できていたことができなくなってしまうのが現実だ。


日本の未来は暗い。

インターネットが普及したことで業界は活性化し、様々な技術も新しく生まれた。その裏で日本のお金は海外に出ていくばかりで国内で循環するサイクルが失われている。

義務教育ではお金を増やすために必要なことや貯めるために必要なことは教えない。日本の上層部にとっては、その方が都合いい。彼らは自らが生きる現在が、自身にとって有益であるならば良いのだ。


そして、若者たちは、よく分からないけど偉い人たちの良い様に政治経済が動いているが少数が声を挙げたところで何の意味も持たないと考えている。むしろ、声を挙げたことによるデメリットの方が多くあるという。これもネット社会が生み出したものだ。


だが、地方ではネット環境はあるものの高齢者が多いことから都会のようなデメリットは少ない。事故が起きてスマホを向けるのではなく、救急車を呼び、応急処置を行う。その過程の中でカメラを向ける人数は都会と比較すると圧倒的に少ないだろう。現在、地方はネット社会に疲れてしまった人の憩いの地にもなりつつある。


これから綴るのは、田舎へ逃げた私の物語。



ここは田舎とは名ばかりのド田舎だ。

都会で生まれ、都会で育ち、就職したが就職したのではなく、就社していたことに気が付き逃げてきた。


朝五時に起床。ゴミ出しや出社の準備をすると家を出なければならない時間になる。汗臭い満員電車で揺られながら会社へと運ばれていく。私が所属する購買部では毎日他部署や取引先からの依頼で走り回っている。営業からは常に催促され、製造からは到底無理な話と断られ、取引先には謝罪ばかり。精神がすり減っていくのを感じていた。

残業が終わり、帰宅するのは二十二時近く。軽く夜ご飯を作り、洗濯物をして、明日の準備などをしていると寝なければ翌日に支障が出る時間になる。

世の中にはもっと過酷な環境でも踏ん張っている人もいることは理解しているが、こんな生活が私には合わないことをひしひしと感じていた。


そんなある日の晩。なんとなくつけていた田舎を歩き回り、特産品を集めるという趣旨のバラエティ番組に目を引かれた。その映像を見てネット社会につかれた人たちが移り住む理由が理解できたような気がした。


そうして私も田舎行きを決めた。



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