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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
92/150

追いかけっこ

残り『2』

アレスを捕まえた後、(ルーシャ)(アレス)に乗っかって尋問をしていた。


「お主は何も見ていない。よいな?」

「はひ……僕はさっき見たことを誰にも┈┈┈┈ピギャっ!」

「違うじゃろ?」

「はひ……忘れるでござる…」

「よし」


俺は素直に(ルーシャ)を凄いと思う。


あんなに足の速いアレスを、俺も含めてたとはいえ捕まえたのだ。

アレスが全力で逃げ回っていたかは分からないが、俺では追いつけない速度だった。


俺はこんなやつを殺さなくてはいけないのか。


アレスが(ルーシャ)から解放される。


「ふぅ………で? あれってどう見てもシャルから迫ってたよな?」


おい。


「ま、色々な」

「ほへぇ」


興味の無さそうな返事だ。

まあ、興味を持たれたら困るのだが。


「なあなあ、なんかお詫びでもしようか?」

「…?」


アレスが?

全く期待できないんだが…


「まあそんな顔すんなって。お前たち二人ってアレだろ? ほら、アレなんだろ?」

「アレってなんだよ。お前の思ってるアレでもソレでもないと思うんだが」


こいつの考えていることは分からないが、とにかく違う。

俺たちはアレな関係でも、ソレな関係でもない。

断じて違う。


「で、今なら詫びとして俺の背中に乗せてやれるんだが…どうする?」


アレスの背中か。

(ルーシャ)が言うにはあまり乗り心地は良くないらしいが、その速さは体験してみたい。


「じゃあ、お願いできるか?」





「いぃぃぃいいやっはあぁぁぁぁあ!」


アレスのテンションの高い声が前から後ろに流れていく。


「アレス! ストーップ! ストーップっ!」


今は俺と(ルーシャ)を乗せたアレスが思うがままに野原を走り回っている。


その速さはハッキリ言って怖い。

腹が浮くような感覚が常にあり、いつ落ちてもおかしくない感覚になっている。


「あひゃひゃひゃひゃ! オレは止まることを知らない男。そう! オレは止まることを知らない男!」

「お主それ言いたいだけじゃろ! 早く止まれ!」


この速度では景色どころではない。

周りは全て残像として映り、細やかな色なんてあったものじゃない。


しかも、(ルーシャ)も落ちないように俺に抱きつき、その大きな胸がやわっこい。


不味い。

非常に不味い。


アレスから落ちそうだし、色々と堕ちそうだ。


「アレス! 止まらないと事故が起こ┈┈┈┈┈┈」


ぽさっ


「「 あ…………… 」」


何かが落ちる音。


俺の背中にあった温かみと柔らかさがなくなった。


アレスもそこでようやく止まり、2人で音の方向を見ると…


「「 …………… 」」


そこには案の定、アレスから落っこちた(ルーシャ)が横たわっていた。


「だ………大丈夫か…? 腕…」


ようやく言葉が出た。


そして、ゆっくりと起き上がる(ルーシャ)


その動作に怒りはない。

だが、何の感情もないのが逆に気になる。


立ち上がる(ルーシャ)

そして、ゆっくりとこちらに片方の腕を向けてくる。


「やべっ!」


アレスのその一言で俺も察する。


(ルーシャ)は今、臨戦態勢に入っている。

あいつの魔術の破壊力は俺もよく知っている。

だが、逃げたらそれはそれで駄目な状況になるだろう。


だが生憎、手綱を握っているのは俺ではなかった。


アレスは逃げた。




アレスはまだ(ルーシャ)から逃げている。


「おい! 今のうちに謝った方がいいんじゃないか?!」

「バカ言うな! あれは結構ガチな方で怒ってるやつだ! 捕まったらもがれる! 色々もがれる!」


もがれるって何?!


すぅ……………いや待てよ…


「なぁアレス…」

「なに?!」


俺は駆け巡る視界の中、冷静な声を出していた。


そして、俺の冷静な考え。

完璧な考え。

最も平和的な解決策。


「別に腕はさ………俺に怒ってるわけじゃな┈┈┈┈┈┈」

「┈┈┈┈┈┈わああああ! 今から降りるの超危ない! マジで危ない! どんくらい危ないって言うと本当に危ない!」


アレスが足を止めてくれれば解決する問題なんだが。

(ルーシャ)はその危ないところから落っこちた訳だが。


「ぎゃっ!」


と、(ルーシャ)が足元に魔術を撃ってきた。


土煙が上がり、直ぐに遠ざかる。


「おいシャル! 迎撃準備!」

「ああ?!」


迎撃ってなんだよ。

こいつ、俺にまで怒りの矛先が向くようにしようってのか?


だが、まあ…

あれだな。

安定しない足場での訓練もしておくべきだよな。


…………よし。




ボオオオン!


魔術を放つ。


「ナイスヒットだシャル! このままやっちまえ! ワンモアポイント!」


アレスがこの状況をかなり楽しんでる。

俺も(ルーシャ)と戯れが出来て、気が軽くなっている。


「おいアレス! これ大丈夫なんだよな?!」

「安心しろ! なんたって操縦オレ、動力源オレ、全部オレの究極┈┈┈┈┈┈」

「┈┈┈┈┈┈ちょっ、うるさい!」


アレスの言葉を振り払い、魔術を放つ。



ボアァァァアン!



当たった。


「よっしゃ! どんどんいくぜ!」


俺も声を張り上げていた。




捕まった。

まあ、十分に訓練できたのだから良しとしよう。


なぜかアレスと一緒に正座させられているが。



この後、俺たちの言い訳は長きに渡って行われた。



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