魔王軍幹部とお話!
4人でテーブルを囲む。
今日も賑やかなメンバーだ。
「それでさ、オレルーシャにちょー聞きたいことあったんだよ」
「ほう、なんじゃ?」
珍しくアレスが改まって質問する。
いつになく真剣な表情に、俺とカフも黙る。
そして、とんでもない発言をした。
「ルーシャってさ……彼女いたって……ガチ?」
「…………」
腕の彼女……?
彼女って……ん?
じゃあ、こいつに惚れられてる俺の立場って一体…
「…………」
「あの……ルーシャさん?」
「………いや……色恋は妾の弟子の方が向いてるじゃろ…」
「あー」
いや『あー』じゃなくて。
俺は腕の彼女の方が気になるんだが。
「確かにシャルの彼女ってことはめちゃ可愛いだろうなぁ」
「そうなんだよ! 俺の彼女ときたらそれはもおう可愛くてなぁ」
気がついた時には口が勝手に動いていた。
もう俺の口に止まるという概念はない。
彼女の可愛さを語るのはかなり気持ちがいい。
「どんな彼女なんだ?」
「よく聞いてくれた! 俺の彼女は俺にちょっとツンツンしてても夜にはすっごい好き好き言ってくれたり……めんどくさい所はあっても俺のことをめちゃめちゃ甲斐甲斐しく癒してくれたり……えっちの時はかなり激しくするのに、照れる時とかはすごい女の子でな…」
「ええのぉ…」
「ああ……ほんと………最高の彼女だったよ…」
……………。
あんなに可愛い彼女たちに、俺はもう……
「……ちょっと待って」
「「「 …? 」」」
アレスの言葉に全員が疑問符を浮かべる。
次はどんな質問をするんだろうか。
「ここにフェイカーがいる」
「「「 …? 」」」
「ルーシャの彼女から話逸らされてね?」
「あ! 腕お前やってるわ」
「いや違っ……ただお主の彼女が気になるなぁって思っただけなんじゃ…」
これは嘘だ。
俺には分かる。
こいつは嘘をついている。
「俺が話したんだ。腕も話すのが道理じゃないのか?」
「………別に聞いて楽しいものでもないぞ…?」
「ルーシャって意外と女々しいよね…」
「な!」
カフのいきなりの攻撃に腕が声を上げる。
「ならば心して聞くがよい!」
もはやヤケになって、話が始められた。
腕の彼女…
素直に気になる。
他意はない。
「確かに妾には昔、彼女と呼ぶやつがいた」
「「「 おお 」」」
「それでじゃな…………」
その彼女とやらの浅からぬ関係を話してくれるかと思ったが、そこから先の言葉に詰まる腕。
全く、こいつはいざって時に渋る。
早くその先を教えて欲しい。
「それでそれで?」
「……まあ……あれじゃ…」
頬をポリポリと掻き、目を端に置く。
「若気の至りじゃ…」
うわっ、チキった。
「おおい! ここまで来といて何が若気の至りじゃボケェ!」
「うっさい! 若気の至りは若気の至りじゃ!」
腕とアレスがワーワー言っている間、俺は腕ともうひとりの百合を想像していた。
俺は百合が好きだ。
見てると和むし、癒される。
彼女たちがそうしているのを想像したことも少なからずある。
お互いに汗を流しあったり、キスをしたり、体を重ねたり…
それまでの過程も楽しいが、やはりえっちなのを見てみたい。
そう。
えっちなのを。
「つまり腕はその人と深いところまでつつきあった仲なんだよな?」
「…………若気の至りじゃ…」
なるほど、なるほど。
ふーん。
やるじゃん。
「じゃ、俺は部屋に戻るよ」
「ん、いってらっしゃい」
「らっしゃーい」
「後で妾も行く」
「ん、分かった」
ちょっと彼女たちで想像することにする。
やはり、俺の彼女はいつまでも俺を立ち上がらせてくれる。
俺は椅子から立ち、部屋に向かった。




