表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
79/150

伝えたいこと

アストラスが(ルーシャ)に吹き飛ばされた。


「すまんのお主。人選を間違ったようじゃ」

「あぁ……そうだな…」

「移動するか」

「ん…」



移動中の廊下。

(ルーシャ)の隣で歩く。


「…………」


さっきのこいつはいつもと違った。

2年以上一緒に居て、まだ知らないこともあるのか。


「なぁ、腕…」

「ん?」


……不味い。

何も話すことを決めていないのに、話しかけてしまった。

言うとしたら先程のことだろうが、あれをなんて言えばいいのだろう…


「その………さっきのやつな…」


頬をポリポリと掻きながら考える。


「ちょっと……見直した…」


出てきたのは感謝でも謝罪でもない、上から目線の言葉。


普段の俺を考えれば俺らしいのだろうが、何だか嫌な気分だ。


「妾がやらんでも、お主がやっておったじゃろ?」

「……まあ…」




訓練も終わり、部屋で体を鍛える。


「お主ぃ」

「ん」


またやってきたようだ。


「……のおのお、運動はあとでよいのではないか…?」


後ろに手を組み、モジモジしながら聞いてくる。


今日は色々したいことがあるようだ。


「今日もしたいのか?」

「……うむ…」

「分かった」


筋トレをやめ、立ち上がる。


「ちょっと手洗ってくるから、待っててくれ」

「今からがいい…」

「汚れた手でお前は触れん」

「………ん」



そこら辺の廊下で手を洗い、部屋に戻った。


「じゃ、するぞ」

「ん…」


今日も立ったままする。


「「 ………… 」」


少し長めにする。


たまにはこういうのもいいだろう。


「……今日は長かったの…」

「…まだするか?」

「…なんだか…今日は優しいの…」


またする。



「………終わり」

「ん…」


ベッドに座り、その隣に(ルーシャ)も座る。


今日はなんだか、いつもより距離が近い気がする。

悪い気はしない。


「「 ………… 」」


……変な空気だ。

いつもならこいつが一緒に寝たいとか言い出して、俺が拒否する流れなのだが、一向に喋る気配がない。

(ルーシャ)はこちらをチラチラと見るばかりで、何もしようとはしてこない。


もどかしいな。


「なあ、腕」

「…ん?」


……不味い。

何も話すことを決めていないのに、話しかけてしまった。


何を言おうか…


「……今日は……ありがとな…」

「……なにがじゃ?」

「俺の代わりに怒ってくれたことだよ」


今まで、こいつの事は大して気にしたことがなかった。

そんな俺のために怒ってくれたんだ。

少しくらいは感謝してる。


「お、あれは印象良かったかの?」

「あ、今ので落ちたな」


微笑みながら言う。


落ちていた空気も軽くなった。

頭もすっきりした気がする。


すっきり……


…………。


「そういやさ、アレスの言ってた腕の飛竜って…なんの事だ?」


昨日の出来事がフラッシュバックのように思い出される。


アレスの言っていた『さすがルーシャの飛竜倒しただけはあるな』。

あの言葉、気になっていたのだ。


「あれか? 妾が飼ってたやつじゃよ。お主の国に送ったんじゃ」


…………。


あー。

あの忌々しい竜を送ったのはこいつだったのか。


ふぅん。

なるほどね。


「なんのために送ったんだ?」


一応は弁解の余地を与えなければいけない。

もしかすると、大層な名分があったのかもしれないしな。

それなら、許してやらんでもない。


「…? ただ気になるなぁと思っただけじゃが?」


はい、有罪。


「俺さ、あれの所為で彼女との初夜…邪魔されたんだよな」

「…………」


(ルーシャ)の動きが固まる。


今、こいつは何を考えているのだろう。


「えと……それは悪かった…の…」

「別に謝らんくていい。俺も彼女も、今はもう気にしてないからな」

「そうか…」


だが、今まで忌々しいと思っていた飛竜の元締(もとじめ)がこいつなんだよな。

なら、実質こいつは飛竜よりも悪いやつということで…

俺としては飛竜を絶滅させる気でいたわけで…


ま、いいか。


「じゃ、もう寝るか」


今日はこのまま静かに寝ようと、横になろうとした。

だが、(ルーシャ)が俺の手に自らの手を重ね、それを邪魔してくる。


「…どうした?」


(ルーシャ)を見ると、なぜだか見覚えのあるような顔をしている。


嫌な予感がする。


「その………一年に一回のお願いを…」




どうやら、俺を静かに寝かせない気らしい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ