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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
78/150

勝負

食事を済ませたあと部屋に戻り、体を動かす。


魔術の訓練が終わったあとか、性欲が高まってきた時にする。

最初は嫌だった運動も、やってみれば意外と楽しいものだ。


「お主ぃ」

「ん?」


(ルーシャ)が来た。


こうやってたまに来るのだ。


「今は筋トレ中だ」

「うむ、熱心じゃの」


いや、出て行って欲しかったんですが。

まあいいか。


(ルーシャ)は俺のベッドに座り、俺を眺める姿勢になる。


見られてはいるが、やりにくくはない。

一応は俺の師匠だ。

見られるのには慣れている。


「今日はなんか用ありそうだな」

「分かるか?」

「多少はな」


今日のこいつはいつもと違う雰囲気だ。

いつもはキスを強請(ねだ)るか、一緒に寝たがるかくらいしかしない。


「じゃあ剣術のことじゃが、アストラスにやってもらうのはどうじゃ?」


あいつか。

2年以上ここに居て全く話したことがないな。

だが、確かにあいつは剣術が得意そうだった。

4本腕だし、ムキムキだし。


だが…


「別にお前で間に合ってるだろ?」


俺は剣術よりも魔術に重点を置きたい。

だから、別に剣術は上達しなくてもいい。

こいつの立ち居振る舞いを見るのも勝利に必要なことだ。


「そうじゃが………お主、本当に妾が好きではないのか?」

「ま、一応教えてもらうのもいいかもな」

「………ちぇ、言うんじゃなかったの…」


へっ。


「それとだな、主」


まだ話があるらしい。

こいつはいつも欲求不満だと思っていたが、こういう時もあるんだな。


「妾と本気で戦うの、やめにしないか?」

「………どういう意味だ?」


ここまで来て、(ルーシャ)を殺さない選択肢は無い。

それはこいつも承知のはずだ。


なら、別の意味があるのはずだ。


「今のお主に本気でやられるとな、妾も本気を出さねばならなくなる。その時にうっかり死んでしまわれては本末転倒じゃからの」

「……そういう事か…なら殺る時はちゃんと報告するよ」

「うむ、そうしてくれると助かる」


なんてな。

誰が前もって報告なんてするか。

不意打ちでやった方が勝率は高くなる。

正々堂々なんて、俺はやらない。


「じゃ、おやすみじゃの」

「ん、また明日な」

「うむ」



今夜は珍しく、何も求められずに眠ることが出来た。





翌朝、アストラスに教わることになった。

いつもの訓練場で待つ。


「なあ腕、4本腕のやつに教わるって大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃぞ。あやつも一応は幹部、そのくらい楽勝じゃろ」


それならいいか。

4本腕を基準で教えられたら、全く分からないからな。


「ところで、なんで今までお前が剣術教えてたんだ?」

「今までのは剣術と言うより筋トレみたいなものじゃからな」

「あー、そうだったのか」



適当に時間を潰していると、そいつは来た。


上半身裸で、深海のような肌と黒い髪。

髪はかなり長く、その髪を巻くことで両の目を隠している。


かなり久しぶりに見る姿だ。


「今日からよろしくな、アストラス」


片手を差し出す。


だが、アストラスはそれを握らず顔を近づけ、髪越しに俺をじっと見つめるようにしている。


「………ふっ、お前は白か」

「……?」


なんのことだ?


「こやつはジェフに似たのじゃよ」


ああ、髪の話か。

なら、なぜ鼻で笑われたのか気になるな。


「ふっ、つまらぬ方か」

「あ?」


今こいつ、なんつった?


「おいてめぇ、ぶち殺されてぇのか?」


長い髪を引っ張り、額と額を合わせる。


「なんだ? 事実を言ったまでだが?」

(うち)の父さんがつまらねえだと? 笑えねえな」

「あいつは金に呑まれた弱者だ。お前もその内の┈┈┈┈┈」


突如、アストラスが視界から居なくなった。


何かが激突する音と、俺の手に醜く千切られた髪がある。

そして轟音のした方を見ると、アストラスが瓦礫に寝転がっていた。


何が起きたのか分からない。

ただ、目の前には今まで見たことの無い表情をする(ルーシャ)がいた。


「妾の男を侮辱するな。白痴(たわけ)



(ルーシャ)はその逞しい腕を掻き上げ、静かにそう言った。



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