無関心
彼女たちと別れて2年が過ぎ、3年目に突入した。
まだ俺は腕を倒せていない。
最近、寂しいことに何も感じなくなっている気がする。
2年目はかなり焦りながら訓練していたが、今は彼女たちの居ない生活が日常になってしまった…
居ないことが普通で、作業のように訓練する。
そんな自分が嫌になる。
彼女たちの居ない生活に慣れてしまうなんて…
「なぁ腕」
「なんじゃ?」
「俺はいつ帰れる…」
何度聞いたか分からない質問をする。
「またそれか。いっそのこと妾とこのまま住めばよいではないか」
「またそれか…俺は彼女としか暮らしたくない…」
いつものやり取りに、いつもの訓練。
今日も作業のような1日を終えた。
ー
「訓練の調子はどうだ? シャル」
いつもの4人で机を囲み、食事をする。
「まあまあだな」
「そうか、オレもなんか手伝おうか?」
アレスが手伝い?
そんなの出来るわけがない。
1年くらい前、こいつに本気で何発か魔術を撃った時があったが、全く攻撃が当たらない。
足早いし、煽ってくるし。
カフも1回だけやったことがあるが、命中したかどうかも分からなかった。
ただ、攻撃した日はちょっとだけ怖がられたくらいだ。
つまり、俺がまともに出来るのは腕かアストラスくらいだ。
「いや、訓練は腕だけで間に合ってるから大丈夫だ。ありがとな」
「ん、わかた」
「………」
…?
何故か腕が俺の方をチラチラと見てくる。
むかつくな。
「どうした? 腕」
「いや……お主が好きだと思っただけじゃ…」
何言ってんだこいつ。
訳分からん。
「ルーシャは訓練どうだ?」
「怖いくらい順調じゃぞ。そろそろ妾死ぬかもしれん」
「お、そりゃすげえ。さすがルーシャの飛竜倒しただけはあるな」
変な会話だな。
同僚が死ぬ報告をしているのに、普通に話している。
変な会話だな……
変な…
……?
あれ?
ちょっとま┈┈┈┈┈┈
「ごふっ! ごふっごふっ!」
と、急に腕が食い物を喉に詰まらせ、噎せ始めた。
俺は1番近くのコップに手を伸ばし、それを差し出す。
「大丈夫か? ほら、これ飲んどけ」
腕は差し出されたコップを手に取り、喉に水を流し込む。
「ふぅ………」
落ち着いたようだ。
こいつでも喉が詰まったりするんだな。
「ありがとうじゃ、主」
「ん」
「あれ? シャル……それ…」
「ん?」
カフの見ているのは俺が差し出したコップだ。
俺の近くにあり、腕に差し出したコップ。
よく考えると、それは俺のコップだった。
「…………主は妾のこと好きじゃのぉ…」
「たまたまだ…」
またやってしまった。
最近、寂しいのにも慣れて、心が固まってきた気がする。
彼女たちに解してもらいたくなるが、体が諦めてしまっている。
「なぁ、腕」
「んー?」
「何か大事なこと忘れたい時って…どうすんだ?」
別に、彼女たちのことを忘れたいとは微塵も思っていない。
ただ、なんだろうな…
俺は┈┈┈┈┈┈
「そうじゃのぉ…………妾はずっと心に留めておくのが良いと思うぞ。大事ってことはそれだけの思いがある訳じゃしな。それを忘れるなど、悲しくて妾にはできん」
「……確かにな…ありがとう」
「うむ」
尤もだな。
俺は彼女と居て、どれだけ楽しかったか…
「オレには聞かないの?」
「あ?」
アレスが自分を指さして聞いてくる。
正直、こいつに相談ってのはどうかと思う。
だが、聞かないよりはマシ……かもしれない。
「アレスはどうなんだ?」
「んーとねー、今考える」
決めてないのかよ。
「よし。なぁカフ」
「んー?」
「オレ、お前に金貸したことあったよな? あれってどうなった?」
「っすぅぅ…………すみません。忘れてください」
おい。
「ま、こんな感じだな」
「こんな感じだなじゃねーよ。やっぱり腕の方がいいじゃねーか」
このまま適当に話し続け、部屋に戻った。




