妹たち
ーリオン視点ー
お兄ちゃんがいなくなって一年が過ぎた。
まだ寂しさが残ってる。
お兄ちゃんと話せないのはいやだ。
数少ない楽しみが減ってしまう。
「姉さん、おはよう」
「おはようっ、フォウ君っ!」
今日はフォウ君とデートの日。
今から楽しみでしょうがない。
ー
「フォウ君っ、これとかどうっ?」
服屋に来て、良さそうなのを見つけた。
「姉さん、そういうのやめてって言ってるだろ?」
断られた。
フォウ君はかわいいものが好きじゃない。
似合いそうなものを勧めても、着てくれたことは一度もない。
ちょっと寂しい。
「似合うと思ったんだけどなぁ…」
「似合いたくない」
フォウ君はかっこいいのもかわいいのも両方似合う。
いつも執事服だから、かわいいのを着させたくなるのはしょうがないと思う。
「俺、ちょっとトイレ行ってくる」
「ん、いってらっしゃい」
私も自分の服を探そう。
ー
「そこの嬢ちゃん、ちょいといいかい?」
「はい?」
派手な格好をしたお兄さんに話しかけられる。
店員さんかと思ったけど、違うっぽい。
「家の娘の服を探してるんだけど、どういうのがいいかな?」
「娘様の? おいくつなんですか?」
「十歳だね」
私と同い年だ。
なら、選ぶのは簡単だ。
ー
何着か選んで、決まったみたいだ。
「ありがとう、助か┈┈┈┈┈┈」
「┈┈┈┈┈┈おい」
お別れの挨拶をしようと思ったら、横から声が飛んできた。
フォウ君だ。
「家のもんになんのようだ?」
「え?」
お兄さんも急に怒られて、驚いた顔をする。
フォウ君はいつもより鋭い目つきで睨んでいて、はっきり怒っているのが分かる。
「フォウ君違うよ。この人の娘様の服を選んでただけだよ」
「え?」
目つきが柔らかくなって、今度はフォウ君が驚いた顔をする。
「すっ…すいません…! そうとは知らず怒ってしまって…」
「いや、こちらこそだよ。まさか彼女さんとデート中だとは…」
「いや、俺たちは…」
「じゃ、助かったよ。ありがとう」
「いえっ」
お兄さんが立ち去り、緩んでしまう頬でフォウ君に話しかける。
「カップルと間違えられちゃったねっ」
「俺たち似てないからね」
冷たい返事だ。
フォウ君らしい。
お兄ちゃんなら、飛んで喜んだだろうなぁ…
ー
「それで、私たち恋人だと間違われたんですよっ」
「お二人はお似合いですからね」
フォウ君と一緒に家でご飯を食べて、メグさんと話をする。
今日のデートも楽しかった。
お兄ちゃんともまた行きたい。
「…………」
「フォウ様、もうよろしいのですか?」
「…はい」
フォウ君の前には半分以上残った食事がある。
メグさんは心配するけど、いつもの事だ。
フォウ君は体は女の子だけど、心は男の子なのだ。
お母様のお胸は大きいし、私も大きくなってる。
だから、気にしちゃう所もあると思う。
ー
フォウ君の部屋に行こう。
「フォウくーん!」
果物をもって扉を開ける。
フォウ君はベッドの縁に座って、何かを見つめていた。
「っ……姉さん…!」
見つめていた何かを背中に慌てて隠すフォウ君。
そんな動きをされたら、見たくなってしまう。
「なに見てたの?」
「………内緒」
「…………」
後ろを覗こうとしても、私に見られないように体を動かしてしまう。
見られて恥ずかしいものを持ってたなんて知らなかった。
「これ、一緒に食べよっ」
「ん…」
この日はフォウ君と一緒に寝た。
…………お兄ちゃん、早く帰ってこないかな。




