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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
42/150

お部屋デート ー彼女たちの体温ー

ー翌日ー


今日は授業休みの日。


普段は3人の誰かとデートをするために作った日だが、今回は3人まとめてお相手をすることになった。

朝はマオ、昼はエミリー、夜はフィル。


期待と喜びに胸がいっぱいになる。


マオには部屋に呼び出され、今は彼女の部屋に向かっている。


普段ならえっちをする流れだが、マオと一緒にいれる時間は朝だけだ。

性欲の高いマオがそんな短時間で満足できるはずもない。

だとすれば、今回のえっちはなさそうだ。


部屋につき、ノックをする。


「……?」


返事がない。


普段は起きている時間だが、寝ているのだろうか?


扉を開けると、マオの姿があった。

彼女は予想通りの状態だ。

可愛い寝顔に、横向きで寝ている。


2人きりの時間を楽しみにしていたのだが、彼女が寝ているのならどうしようか。


俺はベッドの縁に座り、マオを眺める。



相変わらず可愛い。

見ているだけで癒されるし、頭についた猫耳を見ると何時でも撫でたくなる。


こんな素敵な人が俺の彼女なのだ。

つりあいが取れているのか不安になる。


「可愛いなぁ…」


頭を撫でながら言葉をこぼす。


すると、彼女の顔がピクっと動いた気がした。


どこか既視感のある状況に頭を働かせる。


………………。


もしかして、起きてる?

確か、エミリーの時もこんな事があった気がする。

あの時は愛の告白をして反応を楽しんでいたのだ。


もし、マオが起きているとしたら…


「マオー?」

「…………」


あ!

今、ピクってした!


やっぱり起きていた。

そうとなれば善は急げだ。


「寝てるのか…」


安心させてから、告白することにする。


「マオ、愛してますよ…」

「………」


楽しめそうだ。


「僕はあなたに愛されてると思うと、心が癒されます」

「………」

「マオを好きになれて凄く嬉しいです。あなたと出会っていなかったらと思うと、凄く悲しくなります。だから…マオと会えて本当によかったです」

「…………」


マオは寝返りを打って、俺から顔を背けるようにした。

彼女のその行動ひとつで、俺の心は浄化される。


俺はマオの横腹を撫でる。


少し強ばった体が撫でていて楽しい。


「……?」


と、俺の横腹にも変な感触がある。

それは俺を撫でるように自らを擦りつけ、その感覚が少々もどかしい。


マオの尻尾が俺を撫でていた。


それは可愛く俺に擦り寄り、マオの感情を表現しているようだった。


「マオ…尻尾だけでいいんですか?」

「……今は顔を見せたくない」


未だ尻尾を動かしながら答えてくれる。


そんなことを言われたら、余計に見たくなってしまう。

だが、今はそれを我慢する。


「シャル…」

「なんですか?」

「抱きしめてほしい…」


マオに求められるのが心地いい。

それと同時に胸が早鐘を打ち、柔らかい体を感じられる期待が込み上げてくる。


俺はマオと同じように横になる。


「絶対に顔は見るなよ…?」

「見れないのは寂しいです」

「絶対だめだ…」

「……分かりました」


そんなに見られたくないだろうか。

綺麗な顔を見れないのは少し悲しい。


俺はマオを抱きしめる。


マオの髪に埋もれ、彼女の匂いに体の力が抜ける。

体には締まった筋肉がついていて、こうしていると、つい噛んでしまいたくなる。


「シャル…」

「はい」

「私も…会えてよかった」


嬉しい。


好きな人に気持ちを伝えられるのはいいな。

胸がいっぱいになる。


「はい…ずっと一緒にいましょうね」

「……うん」


幸せだなぁ…




暫くそのまま抱き合っていたら、いつの間にか昼になっていた。

エミリーとの約束の時間。


正直、離れたくない。


「シャル、いいのか…?」

「んー…もう少し…」


マオの抱き心地が良すぎる所為だ。

俺の意思が弱いわけじゃない。


「もうすぐ昼だぞ?」

「まだマオと一緒にいたいです…」

「……そうか」


温かい。

いい匂いだ。

柔らかい。

モフモフだ。


離れられない…


「シャル…」

「はい」

「エミリーが待ってるぞ」

「………はい」


マオの体から離れ、ベッドから立つ。


マオも縁に座って、お出迎えをしてくれるようだ。


「では…いってきます…」

「ん、いってらっしゃい」

「……あとちょっと」

「っ……」


もう一度、マオに抱きついた。


よし。

これで補充はできた。


マオから離れる。


「……もう少し」


と、今度はマオの方から抱きついてくれた。


全く、マオは寂しがり屋だな。



「では、いってきます」

「ああ、いってらっしゃい」


扉を開け、俺の部屋へと向かった。





廊下を歩いて、待ち合わせ場所へと向かう。


「ん、シャル」

「お、エミリー」


丁度いいタイミングだったようだ。

部屋までもうすぐというところでエミリーに会えた。


歩きながら話そう。


「エミリー、もうすぐ誕生日ですね」

「そうね」

「何か欲しいものありますか?」

「欲しいもの?」


エミリーの誕生日プレゼントだ。


前回は固定魔術で作った炎をあげたな。

あの時のエミリーの喜びようは可愛かった。


今年もそれを見られるといいが。


「特にないわ」

「それが1番困ります」


このやり取りをしていると、お母さんの気持ちがよく分かるな。


俺もメイアさんに何が食べたいか聞かれた時、何でもいいと答えていた気がする。

次からはオススメを頼もう。


「なら……んー…」


珍しく考え込んでいる。


「困ったわね…」

「そうですね」


部屋につき、扉を開け、中を促す。


エミリーの後に入り、扉を閉める。


「それより、シャルにしてほしいことがあるわ」


プレゼントの話が置かれた。


まあ、それは後で考えればいいだろう。


「して欲しいこと?」


俺がそう言うと、エミリーは俺から目を逸らした。


えっちなお願いだろうか。

昨日の縛りプレイの続きがしたいのだろうか。


「マオに…毎日してることよ…」

「…?」


マオに毎日してること?

そんなんあったっけか?


「撫でるやつよ…」


なでなでか。

毎日はしていないが、エミリーはそれをして欲しいのか。


全く、エミリーも甘えんぼだな。


「はい、では座りましょうか」

「ええ…」


横に座るエミリーを眺める。


改めて見ると、綺麗な髪をしている。


整った金髪が流れ、毛先の先まで整然としているそれは一種の芸術と言ってもいい。


俺は今からこの頭に触れさせてもらえるのだ。

そう思うと、少しだけ緊張してくる。


「失礼します…」


エミリーの髪に触れる。


マオのとはまた違った感触だ。

彼女のは触っていると埋もれたくなるが、エミリーのは愛でていたくなるような感覚になる。


毛並みに沿って撫でると、彼女の体のラインが分かる。

指で()かすと、ひと束ひと束が輝き、佳良な金を表している。


……………。


…少し夢中になりすぎた。


「エミリー、いかがですか?」

「いい感じよ」

「それはよかった」


撫でられているエミリーは目を閉じ、頭の感覚を楽しんでいる。


その顔を見ると、俺も撫で甲斐がある。


と、普段はあまり見えていないエミリーの耳が見える。

俺と同じ耳だが、意識して見たことはなかったな。


…気になる。


「後ろいきますよ」


エミリーの後ろに回り、耳を触る。

人差し指と親指で耳たぶや、耳輪を。


エミリーの耳は柔らかくて、温かくて、普通の耳のはずだが、撫でるのが夢中になる。


「…シャルって耳すきよね」


そうだろうか?


確かに、フィルとマオの耳はよく触るな。

マオを撫でる時は必ず触るし、フィルの耳も何時だって気にしている。

エミリーの耳も見えたから触っている。


「確かにそうですね」


エミリーの耳裏を揉みながら答える。


俺が手を動かす度にエミリーの頭も同じように動く。

それを見ていると、マッサージをする俺も癒されていくのが分かる。


「シャル、マッサージもうまいわね」

「ん、どうも」




首周りなどもマッサージをし、エミリーの体も解れてきた。

彼女の体はどこもバランスが取れていて、触らせてもらえるだけで嬉しくなる。


「シャル、次は私がやるわ」

「いいんですか?」

「私もシャルにしたいもの」


随分と嬉しいことを言ってくれる。


動かしていた手を止め、エミリーの体から離す。


「じゃあ、横になってちょうだい」

「はい」


ベッドにうつ伏せになる。


思えば、エミリーにマッサージをしてもらうのは2回目だ。

精神的に疲れていた時にマオと一緒にしてくれたのだ。


「じゃあ…するわよ?」

「はい」


エミリーの手が俺の背中に触れる。


彼女が体重をかけて、俺の体を解してくれる。


「上手ですね、エミリー」

「そう?」

「ええ」


エミリーに触れてもらえるのが嬉しい。

彼女の手は優しく動き、俺を甲斐甲斐しく介抱してくれる。


極楽だ。


「そういえばシャル、フィルティアのこと『フィル』って呼ぶわよね」

「…………」


体に力が入る。


エミリーのことだ。

マオも本名はマオセロットだし、今後はフィルティアもあだ名でフィルと呼ぶ。

そうなったら、『私は?』と言い出すだろう。


だが、彼女を『エミエミ』なんて呼ぶのは気が乗らない。

エミリーは『エミリー』と呼びたい。


「以前、それで呼んで欲しいと頼まれまして…」

「そう」


エミリーの抑揚の無い声が怖い。

怒っているのかもしれないし、悲しんでいるのかもしれない。


『分からない』ってのは怖いな。


「それで、シャルは私をなんて呼ぶの?」


……え、怖っ!


エミリーってこんな問い詰め方するの?

寝ているから逃げられないし、何時でも首を獲れる状況だ。


これって試されているのだろうか?

あだ名で呼ぶか、本名で呼ぶか…


「『エミリー』と…呼びたいです…」

「ん、わかったわ」


あれ?

案外あっさりしてる。

もっと抵抗してくるかと思ったが。


「『エミエミ』じゃなくていいんですか?」

「あれはすきじゃないわ」

「そうでしたか」


ユノナキさんには今度、新しいあだ名を用意してもらおう。

エミリーのあだ名…


エリエリ、エミー、エー、ミ……


やっぱり、エミリーはエミリーだな。


「エミリーって名前、好きです」

「……そう?」

「はい、つい呼びたくなります」

「…私もシャルって名前すきよ?」


嬉しい。

エミリーも口説きが上手くなってきたな。

俺も精進しなければ。


「エミリーに名前を呼ばれるの、癖になります」

「そう?」

「好きな人に呼んでもらえるのは嬉しいんです」

「……ん」


エミリーが照れているのが声で分かる。

顔を見たい衝動に駆られるが、今はマッサージを受けることにする。


と、エミリーが動かしていた手を止め、俺の耳を触ってきた。

耳輪を2本の指で挟んでいる。


「シャル…」


名前を呼んでくれる。


さっきの俺の言葉を意識してくれているのだろうか。


「エミリー」


俺も名前を呼ぶ。


好きな人の、好きな名前を。



ぐぅぅう



「「 ………… 」」


この雰囲気に場違いな音がした。

あまりの場違いさに顔を覆いたくなる。


何故、こんな時にこんな音が鳴るのか。

何故、世界はこんなにも残酷なのだろうか。


理由は分からない。

分からないが…


俺はお昼を食べていなかった。


「シャル…?」

「………すーっ…ふーっ…」


はぁーっ、ねむ。


「私もお腹減ったわ」

「そうでしたか。なら食堂にでも行きましょうか」

「ええ」


エミリーが空腹ならしょうがない。

俺もついでに食べに行くとするか。





食堂。

長すぎるテーブルに、豪奢な調度品。

テーブルクロスにも刺繍が施され、芸術品が隅々まで行き渡っているのが分かる。


ここに来るのは好きじゃない。

食欲が薄くなってしまう。


メイアさんに食事を運んでもらい、エミリーと2人きりでの昼ご飯だ。

隣同士で仲良く食べる。


「美味しいですね」

「そうね」


王宮の食事は美味い。

見た目もいいし、味もいい。

それに、空腹に勝るスパイスは無いと聞くからな。


エミリーの方を見ると、少しの違和感を感じる。


なんだろうか。

これといって変わった様子は無いが、何か引っかかる。


「エミリー、食べ方綺麗になりました?」


多分、これだと思う。

恐らく。


「……ええ…メイアに教えてもらってるから…」


そういえば、そうだったな。

3人はメイアさんに礼儀作法を教えてもらってたんだっけか。


居眠りせずに頑張ってるんだな。


「素敵ですね」


頑張るエミリーは本当に魅力的だ。

姿を見ずともその努力は伝わってくる。


俺も見習わなければ。


「……ん」




食事を済ませ、俺の部屋へと戻ってきた。


正直、眠たくなってきた。


気温は寒くもなければ、暑くもない。

頭がぼーっとしてくる。


「眠くなってきたわね…」

「そうですね…」


どうやら、エミリーも同じだったらしい。

そうと分かれば、やることはひとつだろう。


「一緒に寝ますか?」


これだろう。


「……えっちなことしない…?」


モジモジしながら聞いてくるエミリー。


「しませんよ」

「ほんと?」


俺ってそんなに性欲が高いように見えるのだろうか?

紳士然とした態度のつもりだが…


「ちょっと触るぐらいです」

「…わかったわ」


よし。

エミリーの了承も得た。


本当に我慢できるかはその時の俺次第だが、とりあえずは大丈夫だ。

あとはベッドにインするだけだな。



エミリーとベッドに横になる。

お互いに仰向けになって寝ている。


愛しの人とベッドに2人きり。

やる事はひとつだけだと思うが、今回は遠慮しておこう。

エミリーが乗り気ではないし、この後はフィルがくる。


頭では分かっている。


だが、えっちな気分になるのはしょうがないと思う。

エミリーが可愛いのがいけないし、体も近い。


だから、手を繋ぐだけに(とど)める。


恋人繋ぎをして、エミリーの指を俺の指で撫でる。

感触だけでエミリーの指が綺麗なのが分かる。


俺は眠気に任せて目を閉じた。




えっちなエミリーにしては珍しく、このまま2人とも眠りに落ちた。



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