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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
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いろいろ思うところがある ー妾を見てくれたー

ーエミリー視点ー


目が覚めた。

隣を見ると、愛しの人が気持ちよさそうに寝ている。

朝日に照らされた白髪(はくはつ)がとても綺麗だ。


すごくかっこいい。

寝顔を見ただけで我慢できなくなりそうだし、また私に『すき』と言ってもらいたい。


でも、めんどくさいと思われたくない。

そっと触れるだけで我慢する。

彼の腕が胸にあたって、心臓の動きに意識が向く。



昨日は変なことを口走ってしまった。

いくらユノナキの能力(せい)だとしても、さすがに私もおかしくなっていた。

結婚してほしいなんて言ったら、シャルが困ることくらい分かっていたのに。


でも、返事はうれしかった。

ユノナキが関わっていると分かっていても、シャルが私を受け入れてくれたのだ。


「んん……」


シャルが起きた。

目を眠そうに開け、私を見ると笑顔を向けてくれる。


この顔だ。

この顔が私をだめにする。


「おはようございます、エミリー」

「おはよう、シャル」


彼が名前を呼んでくれる。

普段は感じられない二人きりの空間。

心地いい。


「シャル…昨日は悪かったわね…」


迷惑をかけたことを謝る。

シャルのことだ。

きっと、私を気遣って求婚を受けてくれたのだろう。

そんなふうに結婚してはだめだ。


それに、ユノナキのおかげでシャルと結婚しても、ずるい気がする。

あの二人とはちゃんとした事で決着をつけたい。


「…? 何がですか?」

「その……結婚してって…」

「……? 何故謝るんですか?」


シャルのとぼけた顔。

本当は分かっているくせに意地悪してくる。


「あれは…ユノナキのせいだから…」

「あの人がどうかしましたか?」


……?


「ユノナキの能力、知らないの?」

「はい」


そうだったのか。


なら、今のシャルはすごく責任を感じているだろう。

私が急に求婚を迫って、わけも分からず同意してしまったのだ。


まだフィルティアとマオの事もすきなはずなのに、私一人だけのものになると言ってしまった。

なんでシャルはこんなに冷静なのだろう。



説明をして、シャルと向かい合わせになる。


「そうだったんですね…」

「ええ…」


今更になって、本当のことを言ってしまったのを後悔する。


本当は黙っておいた方がよかったのではないか。


将来、私がシャルと結婚できるとは限らないし、シャルに愛されなくなると思っただけで泣きそうになる。

私の選択は間違いなのだろうか…


「だから……昨日のことはなかったことに……しましょ…」


いやだ。

本当はそんな事にしたくない。


シャルのあの時の言葉は今も残っている。

思い出しただけで胸が苦しくなって、また何度も言ってもらいたい。

本当は私だけを愛してもらいたい。


「そうですね…」


これで昨日のことはなかったことになった。


でも、シャルも本当はいやだったんだ。

そうじゃなければこんな返事はしない。


泣きたくなる。


「でも…」


……?


「残念…ですね」


…………これだ。


シャルは簡単に私を喜ばせてくれる。

そんなことを言われたら、本当に勘違いしてしまう。

でも、そう言ってくれることが本当に嬉しい。


シャルになら何をされてもいいし、なんでもしてあげたい。

こんなに人をすきになるなんて知らなかった。


「シャル…」


彼の胸の中にいく。


シャルも私の背中に手を回してくれて、とても温かい。


本当にすきだ。

これ以上ないくらいすきでたまらない。

今も胸がドキドキするし、名前を呼ぶだけでも意識してしまう。


魔術の腕も王宮一番で、かっこよくて優しくて、龍王にも気に入られてる。


私はこんなすごい人に愛されているのだ。

うれしいと同時に不安になる。


私も頑張らなくてはいけない。


「…………」


私のお腹に固いものが当たる。


「シャル…?」


昨日あんなにしたのに、まだこんな元気になっている。


シャルが私で興奮してくれている。

すごくうれしい。


「したいの……?」

「……はい」


うれしい。

でも、こういう時シャルはよく意地悪してくる。

洞窟の時だってしてきた。


だから、私も少しやり返してやりたい。


「だめ」

「……え?」


シャルの抜けた声。

彼がこんな声を上げるのは珍しい。

イタズラが上手くいった事がうれしい。


「我慢して…」

「っ……」


体を密着させる。


シャルのは固くて、熱くて、触れていると不思議な感じだ。

私には無い感覚で、そこばかり意識してしまう。


「エミリー…っ」


シャルの辛そうな声。


本当は私だってしたい。

早くシャルに愛してもらいたい。

だけど、まだ一緒にいたいし、久々にイタズラができるチャンスだ。

今日はそういう日にしたい。


「我慢……して…」

「……はい」


そう言って、シャルは私の腰に手を下ろして、自分の体をより密着させてくる。


シャルの吐く息が温かくて、そこが少し湿ったふうになる。

シャルの鼓動が速くて、私もドキドキしてしまう。

シャルが荒い息を吐く度に、私もつられて荒い息を吐いてしまう。


シャルが私でえっちな気分になってくれてる。

私を抱きしめて、息を荒くしてくれてる。


「エミリーっ……もう…っ」


シャルはそう言いながら、私の腰を撫でてくる。


ただ撫でてるだけ。

それだけなのに私の腰は浮いてしまい、それだけで私は感じてしまっている。


シャルに触られるのが気持ちいい。

私もシャルの手がすきになったみたいだ。

シャルがあんなに意識させるから、私もつられてしまった。


シャルは私をどこまで変える気なのだろう。


「シャル…」


もう、私も我慢できない。


「いいよ…」



今日もシャルと愛し合った。




ーリオン視点 数日前ー


朝食の準備ができた。


龍王国のメイドさんは全員しっぽか翼が生えていて少し怖かった。

だけど、話しているうちにすぐに馴染んだ。


エミリーさんとフィルティアさんを呼んで、マオさんは部屋にいなかった。

あとはお兄ちゃんだけだ。



コンコンコン


ノックをしても返事がこない。

不思議に思って扉を開けると、マオさんとお兄ちゃんが二人で寝ていた。

裸で。


二人の顔を見る。


お兄ちゃんにくっついて寝ているマオさんは幸せそうで、寝ているお兄ちゃんもスッキリした顔だ。


二人とも、ここは人の家だというのに何を考えているのだろう。

お母さんとお父さんも同じことをしていたけど、人の家でするのはどうかと思う。


でも、こんな幸せそうな顔を見たら起こすなんてできない。


そっと扉を閉めた。



食堂で。


「む? シャル・テラムンドはどうしたのだ?」


予想通りの問いだ。

声音は普通だけど、龍王陛下はやっぱり怖い。


私は頭を下げて、謝罪の姿勢をとる。


「申し訳ございません。お兄様、並びにマオセロット・ザニャール様は急用のお仕事が入ってしまったため、朝食にはご出席願えませんでした。誠に申し訳ございません」

「ほう………?」


私を覗き込むように見てくる龍王陛下。

冷や汗が流れて、「横にお兄ちゃんがいてくれたら」と思う。


怖い。

なんでこんな人にエミリーさんとお兄ちゃんは普通に喋れるのだろう。


「よいよい! さて、リオン・テラムンドよ!」


私の名前を呼ばれる。


体がビクッっと跳ねて、身動きがとれなくなる。


「余と食事を共にしようではないか!」

「えっ……私ですか…?」

「その通りだ」


やだ。

怖い。


龍王陛下が悪い人ではないと分かっているけど、世界最強の存在の隣で食事なんてできない。


でも…


「喜んで…」




龍王陛下と話をする。


「それで! お兄様ったら寝てる私に『今日は用事があるからお出かけには行けない』って言うんですよっ! 酷くないですかっ?」

「ガハハ! 彼奴(あやつ)め、中々見どころがあるではないか!」


龍王陛下、いい人だった。


「それにしても、レノアーノの貴族は血分(ちわけ)関係が良好ではないと思っていたが、テラムンドはやはり異色であるな」

「そうなんですか?」

「リオン嬢も、兄と顔を合わせたのは最近であろう?」


確かに、お兄ちゃんと会ったのは最近だ。

それを考えれば、お兄ちゃんと私は仲がいいのだと思う。


お兄ちゃんはなんだか波長が合う感じがする。

それに人懐っこいというか、関わりやすいというか、そんな感じもする。

優しくて、一緒にいて楽しい、かっこいいお兄ちゃんだ。



龍王陛下との朝食が終わった。




ー日にちは戻り フィルティア視点ー


最近、シャルが構ってくれない。


シャルが毎日大変なのは知っている。

テトメロさんと一緒に魔術の訓練をしているし、エミリーの誕生日だって祝ってた。


でも、寂しい。

シャルの声を聞けないのはやっぱりいやだ。


「リオンちゃん、お兄ちゃんって家だとどんな感じなの?」


今は私の部屋でリオンちゃんと話をしている。


この子はシャルと似ているところがあるし、私の知らないシャルを知っていそうな気がしたから。

それに、リオンちゃんと話すのは楽しい。


「んー……普通に遊んだり、買い物に連れてってくれたり、お話してくれたり、そんな感じですね」

「そうなんだ」


私がベッドに座って、その後ろでリオンちゃんが触ってくる。


尖った耳が好きなのも似ている。

耳をいじられるのは少し気持ちいい。


「リオンちゃんって耳すきだよね」

「そうですか?」

「マオの耳も触ってたでしょ?」

「あー、確かにそうですね」


耳を二本の指で挟んでくる。


「フィルティアさんは、お兄ちゃんのどこがすきですかっ?」

「え?」


いきなり恥ずかしいことを聞いてくる。

この子はそういった話がすきなのだと思う。


シャルのすきなところか…


「大人っぽいけどたまに抜けてるところもあって、ずっと優しい言葉をかけてくれるとこ…かな」

「あらっ…いいですね」


耳のつけ根をモミモミしてくれる。


「リオンちゃんはお兄ちゃんのことすき?」

「大好きですよっ」

「「 えへへぇ 」」


楽しいなぁ…



私も妹ほしいなぁ…



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