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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
25/150

龍王国 出発! ー辿り着く先はー

ー1ヶ月後ー


ついに俺たちは龍王国へと向かう。

王宮門前、俺たちは全員で集合していた。


「楽しみねっ!」

「うむ」

「ねっ」

「はい!」


エミリー、マオ、フィルティア、リオンの4人と一緒に遠出だ。

俺も心が踊る。

何せ美少女4人との旅行だからな。

思えば、前世でも他国に行く機会は無かったな。

初めての海外がこのメンバーだ。

神様に感謝だな。


だが、問題なのは謁見だ。

せっかくのデートだと言うのに堅苦しいことをしなくてはいけない。

今から龍王のやつ体調不良で休まないかな…

そうすれば完全ハーレムパーフェクトデートができるのにな。


だが、なんだろう…

少し胸騒ぎがする。


「猫耳っ! 触っていいですかっ?」


と、横ではリオンがキラキラした目でマオを見ている。


「む、これか?」


マオが身を前のめりにして耳を差し出す。


「わあぁ……フサフサしてる」


思いっきり耳を触っているため、マオもピクピクともどかしそうにはしていない。

俺も今度触らせてもらおう。


我が妹が我が彼女に懐く様は安心するな。

見ていて微笑ましい光景だ。


「ありがとうございますっ」

「うむ、また触りたくなったら言え」

「はいっ」


うんうん。

マオも俺以外に触ってくれる人ができて嬉しそうに見える。


俺が頬を緩ませながらそれを見ていると、何となく視線を感じた。

その先を見ると、フィルティアとエミリーがこちらをじっと見つめていた。


「なんでしょう、2人とも?」

「なんだか…シャルに似てるわね」

「うん…」


ほう。

リオンとわいが似てるとな?

それは嬉しいことだが、猫耳を撫でたいのは全人類共通ではなかろうか。


「そうですか?」


リオンの横に立ってみる。

リオンと目を合わせ、お互いに「へへっ」と笑う。


「……似てるわね」

「うん…」


ほう。


「似てるって、お兄ちゃんっ」

「似てるとな、妹よ」

「「 へへへへへ 」」


リオンと仲良く笑い合う。


「ほら、早く馬車に乗るわよ」


と、エミリーに促されてしまった。

彼女がこういう役回りをするのは初めて見る。

普段は俺がそういうことをするのに。

案外エミリーはちゃんとしてる子なのかもしれない。


馬車に乗る。

今回の旅は遠出になるためそこまで馬車数は多くない。

護衛は100程いるが、さほど窮屈さは感じない。


俺の前に彼女たち3人が座り、俺の隣にリオンが座る。


王宮の馬車内は快適だ。

椅子は長時間座っても痛くならないほど柔らかく、中も馬車とは思えないほど広い。


「広いねぇ」

「そうだねぇ」


この場にいるリオンだけが初体験の馬車だ。

いや、王宮の馬車はフィルティアもか。


「ところで、お兄ちゃんって王宮だとどんな感じなんですか?」


馬車が動き始めた時、リオンが質問を投げかける。


俺も気になる質問だ。


「「「 ……? 」」」


3人が目を合わせる。


「普通よ」

「うん」

「ああ」


ええ…

返ってきたのはあんまり嬉しくない答え。

これでも3人に好かれようと口説き文句とか頑張ってるんだけどな…

まあ、お互いに好き同士という確認は取れてるのだからよしとしよう。


「じゃあ、お兄ちゃんのどこが好きなんですか?」


フィルティアとエミリーが体を跳ねさせる。

うん。

それは俺も気になる。

めちゃめちゃ気になる。

リオンも思い切った発言をするな。


「どこが好きなんですか?」


俺も更なる追い討ちをかける。

こればっかりは聴いておきたいからな。


「強いところだ」


昂然(こうぜん)な態度で言ってのけるマオ。

彼女はやはり俺の強さに惚れていたらしい。

あんまり嬉しくないな…

もっと優しいとか、かっこいいとか言って欲しかった…


自然とエミリーとフィルティアに目が向けられる。

だが、2人はモジモジして答えようとしない。


「……恥ずかしいわよ」

「うん…」


なんとも…


「じゃあ、耳塞いどきますね」


両手で俺の耳を塞ぐ。

だが、聞きにくくなっただけで、この距離では普通に聞こえるだろう。

あくまで形だけだ。


『……引っ張ってくれるとこ.…かしら』

『あらぁ……!』


薄らとエミリーの答えが聞こえる。


ほうほう。

エミリーは俺のそういうところが好きなんだな。

今度からは意識して引っ張っていこう。


『フィルティア様は?』

『えっと………困ってたら声をかけてくれて……シャルと話してると笑顔になる……から…』

『まあぁ…』


フィルティアがだんだんと俯きながらも答えてくれる。


うんうん。

フィルティアも相変わらず可愛い。


リオンを見ると、両手で顔を多いながら、隙間から目を輝かせている。

恋バナを聞く乙女の反応だ。


「お兄ちゃんってかっこいいんだね」

「まあな、お姉ちゃんたちもすごく可愛いんだぞ?」

「はあぁぁ……!」


リオンまでもが顔を赤くする。

この子はそういった話が大好きなのかもしれない。

今度は熱い夜の話でもしてやろうか。


「次はシャルの番だぞ」


む?

マオの声に一瞬ハテナが浮かぶ。


俺に彼女たちの好きなところを述べよと申すか。

一体どれだけの時間が費やされるのか知れないぞ?


「では、マオの好きなところを」


マオに体を向けて、真っ直ぐ目を見る。

凛とした顔に健康的な肌。

穢れのない猫耳に、埋もれたくなるような毛量の髪。

改めて見ると、やはり最高だ。


俺はひとつコホンと咳払いする。

そして…


「いつもは動じないのに照れた時はきちんと女の子で、して欲しいことをきちんと言えて、感情がそのまま出ると尻尾とか耳が可愛らしく動いて、見ていて愛おしいです。それで┈┈┈┈」

「シャル」


と、未だ続く俺の愛を止める者がいた。


マオ本人だった。

彼女は一見平然そうな顔をしているが、その頬は若干赤くなり、耳はピンと立っている。


「どうしました?」

「……好きだ」

「はい、僕も好きですよ」

「ひゃあーっ!」


きゃーっ!

マオに『好き』って言われちった!

言われちった!


マオに言われるのは非常に良い。

何が良いってめちゃくちゃ良いのだ。

リオンだって自分に言われた訳では無いのに声を上げているからな。

そのくらいマオの『好き』はくるのだ。


「ではフィルティア」

「う…うん」


彼女に体を向けると、緊張した面持ちになる。

男の子のように短い髪だが、そこにはきちんとした女心が感じられる。

髪から飛び出ている尖った耳は見ていると変な欲求に駆られる。

既に照れた顔つきは彼女の性格を表し、俺の加虐心を煽ってくる。

改めて見ると、やはり最高だ。


「フィルティアは恥ずかしがり屋なところが可愛いと思います。そして、意地悪したくなるような幼気(いたいけ)さがあります。だけど本人は頑張り屋で、その努力が自然と伝わってきますし、素敵です。そういったところが好きでたまらないです」

「……………」


それを聞いたフィルティアは両手で顔を覆って俯き、更には耳まで赤くしてしまっている。

こういうところも彼女の魅力の1つだ。


「フィルティア、大丈夫ですか?」


頬を緩ませながら声をかける。

俺がこんな美少女を羞恥心に染めている。

前世では女性に声すらかけさせて貰えなかった俺が。


これ以上の幸福があるだろうか?

いいや無い。


「ぅ……うん……ありがと…」

「どういたしまして」


爽やかな笑顔を向ける。

見えてはいないだろうが、向ける。

この笑顔は癖になっているのだ。

ありがたいことに。


「では、エミリー」


エミリーの番だ。


「シャル…」


と思ったのだが止められた。


「私は……王国に着いたらで…いいわよ」


ほう。

ならば2人きりで話せる状況を作っておく必要があるな。

エミリーだって恥ずかしがり屋の一面を持っているのだ。

人前でこういったのは遠慮してしまうのだろう。


「分かりました。では、また改めて伝えますね」

「……ええ」


着いた時のことを想像してか、エミリーが頬を赤くする。

2人きりの空間。

お互いの好意を確認した男女は暗がりへと向かう。

そして…


王国に着いた時が楽しみだぜ。

ぐへへ


「お兄ちゃん」


と、妄想に耽っていたらリオンに声をかけられた。


「なんだい」

「私の好きなとこは?」


おっと、そうきたか。

全く、モテる男は辛いぜ。


「話してて楽しいとこ」

「へへぇ、私もぉ」

「「 うぇーい 」」


リオンと一緒に含羞み合う。


この馬車はなんだろう…

『神道への導き車』ではなかろうか。

きっとそうだな。

俺は今から龍王国ではなく天国に行くんだな。

まあ、ここより良い場所なんてあるわけ無いか。



俺は幸せを噛み締めながらその日を過ごした。



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