マオとする ー期待の大きさー
目が覚める。
未だ光が地面を照らしきれていない時間に。
俺はマオの部屋に向かう準備をする。
普段はしない運動をし、その後はエチケットを整える。
ー
一連の流れが終わる頃には、既に外は眩しくなっていた。
今日は目出度い日だ。
俺は父さんと母さんに感謝を捧げ、部屋を出た。
ー
コンコン
ノックをし、返事を聞くと扉を開ける。
マオの部屋は良い天気だというのにカーテンが閉められ、暗かった。
マオもその気になっていることが窺える。
服装は肩の露出したエロいやつだ。
マオが俺のために準備をした。
それだけで俺は大きい興奮を覚える。
「どうも…マオ」
「ああ…」
お互いに短い会話をする。
マオは平然と腕を組んでベッドに座っているが、尻尾がピンと立っている。
流石のマオも緊張している様子だ。
「…………」
やばいな。
何を話していいのか分からない。
世間話でもするべきだろうか。
それとも、いきなり襲うべきだろうか。
「……座れ」
立ち尽くす俺に、マオが自分の隣を促す。
早速みっともないところを見せてしまった。
「はい…」
マオの隣に座る。
「「 ………… 」」
暫時、沈黙が流れる。
入念に準備したというのにこのざまだ。
自分の情けなさを恥じる。
「マオ」
だが、俺は紳士。
ジェントルマンなのだ。
何時までもレディを待たせるもんじゃない。
俺も覚悟を決めよう。
「立ってください」
「…? 分かった」
マオと一緒に向かい合って立つ。
「マオ……耳、塞ぎますよ」
「……うむ」
マオは耳と尻尾に触れられるのはあまり好きじゃない。
耳は触るとピクピク動いてもどかしい様子だし、尻尾は付け根は気持ちいいらしいが、そこから先は触ると怒る。
だから、それらを触る時は許可をもらうようにしている。
頭に手を伸ばす。
マオの耳の裏側に手を回し、完全に塞ぐように倒す。
傍から見れば、頭を抱き込むような格好になる。
マオは何をされているのか分からない様子だ。
だが、これでいい。
「マオ、目閉じてください」
「……ん」
マオの目が閉じられ、唇を差し出してくる。
この顔が愛おしくてたまらない。
俺は唇を重ね合い、そこに舌を入れる。
お互いの舌が絡み合い、淫靡な音が流れる。
「っ……!」
マオが俺の服を掴んだり、引っ張ったりして抵抗する。
だが、その力はあまりにも弱く、俺をくすぐっているようにも、体を揉んでいるようにも思える。
マオらしくないか弱い抵抗に、彼女が感じてくれているのだと確認する。
舌の絡む音を聞かせていると、マオが座り込んでしまった。
あひる座りをして、息を大きく乱す彼女はとても色っぽかった。
俺が手を差し伸べようとするより先に、マオが俺の裾を掴んでくる。
俺を引っ張るようにしているのだろうが、どうにも力が弱い。
「…も……っと」
マオの呂律は回っていなく、聞き取りずらかった。
再度、聞こうとしゃがみ込む。
「っ……!」
すると、マオががっつくように唇を貪ってくる。
食すように唇と舌を動かすマオに、俺は少しも抵抗をしない。
マオの腕が背中に回され、力強く彼女に抱きしめられるのは心地良かった。
だが、俺も負けじとマオにがっつく。
マオの後頭部に手を回し、さらに強く唇を合わせる。
彼女の人より鋭い八重歯が当たる。
だが、その痛痒も気持ちよかった。
しばらくそうして、やがて唇が離される。
潤んだ目が交わり合う。
お互いかなり息が荒くなっている。
「マオっ……立ってください」
ベッドへと誘うが、彼女は差し伸べた手を掴むばかりで、立とうとはしなかった。
「っ…………立てん…」
どうやら、腰が抜けてしまったみたいだ。
俺はその姿に興奮を覚える。
身体能力がずば抜けているマオを、俺がこんなふうにしたのだ。
俺の想像を超える力をもつ人物を、俺が立てなくしたのだ。
言い知れぬ快感が襲う。
「んっ……」
俺は補助魔術を使い、マオを抱き抱える。
お姫様だっこだ。
怖がるように丸まる彼女はとても愛おしく、普段の彼女からは想像できない姿だ。
俺はそっとベッドに寝かせ、マオに向かい合う。
マオの火照った顔は艶めかしく、今すぐ本番を迎えたい気持ちが襲う。
俺はマオの豊満な胸を揉む。
そこにはメスの胸があった。
フィルティアとエミリーでは味わえない弾力と肉があった。
胸を揉んでいると、首に手をかけられた。
マオの顔を見る。
そこには本能を剥き出しにしたメスの顔があった。
目はトロンと垂れ、息は妖艶で、火照った頬は性への渇望を感じさせる。
そんな感じ方をするのは、俺も同じような顔をしているからだろう。
「シャルぅ…」
マオのとは思えない嬌声に、俺は我慢が限界に達そうとしていた。
今すぐにマオの顔を歪めてやりたい。
めちゃくちゃにしてやりたい。
俺の前で喘いで欲しいし、喘がせて欲しい。
俺は欲情を抑えるようにマオにキスをする。
気持ちを落ち着かせるためのソフトなキスだ。
だが、それはすぐに離されてしまった。
マオは俺のシャツのボタンを飛ばしながら剥ぐ。
そして、俺の首を貪った。
舐め回したり、齧ったりして、俺を喰らってくる。
その動きはくすぐったくて、もどかしくて、気持ちよかった。
俺もマオの首を貪る。
柔らかい筋肉はちぎりたくなるほど噛み心地がよかった。
マオは俺の肩口まで味わい尽くし、満足したのか口を離した。
マオと見つめ合い、キスをする。
唇を離し、再度胸を揉む。
すると、俺の手に別の手が重ねられた。
彼女の顔を見ると、何かに耐えているような顔をしていた。
「シャル……もう…」
マオの手が下へと伸びる。
そして、俺の固くなったものをそっと触ると、俺の耳元に口を近づけた。
「お前の子が、産みたい…」
そこから、俺は体に痛みを感じるまでした。
ー
休憩時間。
俺たちは下着だけを着てベッドに座っている。
外はまだ明るいが、そろそろ落ちる頃だ。
部屋もだいぶ暗くなってきた。
朝から今まで、休憩無しでしていたことに俺自身も驚いている。
それほど俺はマオを求め、マオも俺を求めてくれた。
俺の体には、首から肩口を中心として、マオの歯型が刻まれている。
マオに跡を残されるのは嬉しいことだ。
滲んでいる箇所もあるが、マオに付けられたと思うと逆に興奮する。
魔術でコップを作り、そこに水を入れる。
「どうぞ」
「すまんな」
マオにコップを渡し、彼女がそれを仰ぐ。
俺も自分のコップを作る。
と、マオが俺のコップを持っている手を掴んでくる。
これでは飲めない。
「どうしました?」
「……これで飲め」
差し出してきたのは、先程マオが使っていたコップ。
彼女がそう言ってくれるのは嬉しい。
マオがこういう態度を示してくれるのは俺の自信に直結するのだ。
こっちの方が喉が潤いそうだしな。
「ん、どうも」
俺はコップを受け取り、マオの光る目に見られながら水を仰ぐ。
「ふぅ、マオのは美味しいですね」
マオに笑顔を向ける。
『マオが使った』というだけで、俺は全世界を売ってでもそれを手にしようとするだろう。
それほどに価値がある代物だし、それほどに美味だった。
「………私にもくれ」
「ん、はい」
「うむ」
もう一度水を渡し、それを仰ぐ。
そして、マオがこちらに向き直り、緩慢とした動作で俺の方へと近づいてくる。
(なんだ?)
と、キスをされた。
先程マオが口に含んだ水を注がれながら。
一瞬驚いたが、即座にマオの恩賜を受け入れる。
ほとんどは口から零れているが、マオから得られる水は温くなっていて、粘り気のある卑猥な味だった。
唇を離し、顔を見合わせると、すっかりスイッチの入ったマオがいた。
マオをベッドに寝かせ、俺も水を口に含む。
マオの口内に水を流し込む。
マオが脇から背中に腕を回して、唇が押し付けられる。
マオの喉が鳴る音が伝わってくる。
水が無くなり、一旦唇を離す。
が、俺を力強く抱き寄せる。
体力の回復したマオの力を跳ね除ける術は無い。
俺はなされるがまま口を預けていた。
唇が解放される。
流れるように垂涎し、俺はもう一度口の中に水を入れる。
今度は長く流し込めるように頬が膨らむほど入れる。
マオの口に流し込む。
喉が大きく鳴っているのを感じながら、マオに体を擦り付ける。
途中にマオの上の下着を外し、その下のものの感触を楽しむ。
特定の場所を弄ると、マオの抱き寄せてくる力が強くなる。
それが心地よくて執拗に弄る。
その日、俺たちは獣のようにお互いを貪り、夜を超えた。
ーマオセロット視点ー ー教室にてー
シャルと交尾した。
シャルの体、温かくて、おいしくて、すごく興奮した。
「マオ」
名前を呼ばれた。
顔を上げると、私のオスがいた。
「大丈夫ですか?」
平然とそう言われた。
真っ直ぐ見つめられるのが恥ずかしい。
昨日、シャルはあんなに激しかったのに、こんな顔をされてはなんだか悔しくなる。
「うむ…大丈夫だ」
「ならよかった」
そう言って笑う彼はとても魅力的で、今すぐ子作りしたくなる。
交尾してからというもの、シャルの顔を見ると下腹部が疼く。
あの快感とシャルの獣じみた性力を思い出してしまった。
シャルの体はうまい。
噛み心地がなんというか、うまいのだ。
抱きしめてくれる時もよかった。
シャル程のオスに抱かれるのはかなり安心するし、興奮する。
あいつは私の性欲を掻き立てるのが上手い。
そして、今でも思い出されるのがあのキス。
耳を塞がれてされるのはすごかった。
口の中を犯されているのがハッキリと分かった。
あの時、私はシャルに堕とされてしまった。
腰が抜けてみっともない姿を見られても、シャルとキスしたくなった。
キスの事で頭がいっぱいだった。
だめだ…
思い出したらまたしたくなった。
シャルを見ると、あんなに私を求めてくれた光景が思い出される。
私を噛んで、舐めて、揉んで、抱いて、突いてくれた。
だめだ…
今はエミリーとフィルティアも見てる。
この授業が終わるまで…
終わるまで我慢だ。
「シャル…」
声が出てしまった。
「はい、なんですか?」
シャルに聞かれては答えるしかない。
聞かれてはしょうがない…
「その……頼みたいことが…ある」
「お、なんでも言っていいですよ」
シャルのその言葉が私を大胆にさせる。
シャルはいつも私の喜ぶことを言ってくれる。
「キス……して、ほしい」
「……はい?」
シャルは聞き取れなかったみたいだ。
私がこんなに小さい声を出すなんて今まで知らなかった。
だが、隣のエミリーとフィルティアはこちらを向いて目を見開いている。
「キス……して…くれ」
「…………」
シャルには聞こえただろうか…
返事をしてくれないと不安になる。
「……今ですか?」
「今がいい」
今じゃなきゃだめだ。
感情が抑えられない。
「…分かりました」
シャルが私に歩み寄り、机越しにキスをされた。
短いキス。
「……これじゃない」
私がしてほしいのはあのキスだ。
耳を塞いで、口の中をシャルが襲ってくるやつだ。
あれがしたい。
「ですが…」
「したい」
このキスでは余計に気持ちが昂っただけだ。
もっと私を求めてほしい。
私は席を立って、シャルの前に移動した。
こいつの前に立っただけで胸がドキドキする。
昨日、あんなに揉まれた胸が。
またシャルに触ってほしい。
でも、さすがにそこまではだめだ。
我慢できなくなる。
「してくれ…ないのか…?」
悲しくなった。
シャルに求められないのは嫌だ。
どうしても嫌だ。
「……耳、塞ぎますよ」
シャルは優しい。
そして、賢い。
私のしてほしい事などお見通しのようだ。
耳を倒され、音が無くなる。
そして
「ちょっと!」
エミリーのうるさい声が聞こえてきた。
あいつは私の邪魔をするようだ。
「エミリー、今は私の時間だ」
「今は授業の時間よ!」
エミリーと睨み合っていると、シャルがエミリーのところに歩いていく。
そして、エミリーとフィルティアに耳打ちした。
その大きさと距離ではほとんど聞き取れない。
シャルが話終わると、エミリーが顔を赤くしながら椅子に座った。
なんだ?
私には内緒でえっちなことでもするのか?
それなら、私にも後でえっちなことをしてほしい。
エミリーとフィルティアだけはずるい。
シャルに別の部屋へ連れられる。
エミリーがいてはまた邪魔され兼ねないからよかった。
「お待たせしました」
「うむ」
シャルが私の腰に手を置いて力を込める。
そして、シャルの元に寄せつけられる。
シャルが近くなった。
シャルの体が、顔が目の前にある。
こいつに力強く求められると体の力が抜けてしまう。
ああ…
私はこいつのメスなんだ。
シャルにならなんでもされたいし、してあげたい。
どんな扱いをされても快楽になりそうだ。
私は期待をしながら目を閉じる。
シャルが耳を倒す。
そして…
ー
シャルに犯された。
口の中を。
あのまま最後までやろうとしたら、またエミリーに邪魔をされた。
エミリーを見たらシャルも冷静になったみたいで、授業に戻ってしまった。
私が寂しそうにしていると、シャルに『また休日で』と言われた。
休日が来た時を想像したら顔が熱くなる。
だが…
次の休日か…
長い。
待ちきれん。
いつか、シャルの部屋に襲いにいこう。




