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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
19/150

話 ー温もりー

エミリーと到せなかった翌日。

俺は4人と物言いたげな雰囲気で会合していた。


いつもの備え付けの部屋に俺、フィルティア、マオ、メイアさんがいる。

現在、エミリーには自室で大人しくしてもらっている。


扉を開けられた時、エミリーがブチ切れたのだ。

馬尾雑言を吐いた訳ではないが、魔術を全力でぶっぱなしたのだ。

魔力が枯渇するまで。


さすがに焦った。

あの時のエミリーの目にははっきりとアレが含まれていた。

俺の性欲なんて一瞬で引いていくほどに。


固定魔術でエミリーと被害者たちを隔てて尚、魔術を撃ち続けているエミリーは狂気だった。

ああ言ったことは二度と経験したくないな。


「それで、なんでああなっちゃったんですか?」

「申し訳ございません」


メイアさんが謝るが、フィルティアはむくれていて、マオは頭に疑問符を浮かべている。


「シャル様、今回は全て私の責任でございます」


メイアさんが額に汗を滲ませながら言ってくる。

この人に非があるようには思えないのだが。


「どういうことですか?」

「はい…シャル様のお作りになられた料理に媚薬を……入れました」

「ほう」


「なぜ?」とは聞かない。

メイアさんだって悪気があってやったわけじゃないし、こんな事になるなんて誰も予想つかない。

俺だってあの時のエミリーはすごくえっちでよかった。

息子もバッキバキになって俺に「はやくぅ」と言ってくるほどに。


今、思い出しただけでも…

おっと、いかんいかん。


「それに関してはメイアさんを責めるつもりはありません。むしろ感謝しかないです………それより」


俺はフィルティアとマオに目を向ける。


「フィルティアとマオはなんであんな事したんですか?」


フィルティアがしゅんとし、マオが顎に手をあてる。


「私たちだって、エミリーが心配だったんだよ」


ほう。

これには幾つか疑問が浮かぶ。

俺は朝、メイアさんにエミリーの体調不良を伝えられている。

そして、フィルティアとマオは昼過ぎに来た。


つまり、フィルティアの発言には嘘の可能性がある。

だが、愛しの彼女を問い詰めるようなことはしたくない。

たとえ彼女が悪くても俺だけは味方でいたいからな。


そしてもう1つ。

あの場にメイアさんも居たことだ。

見舞いに来るのなら1人だけ、またはフィルティアとマオの2人だけで来るはずだ。


なぜメイアさんも居たのか。

そして、扉にいたメイアさんの表情。

あれは営みの最中に出くわしてしまった顔じゃなかった。

あれは、「しまった」という顔だった。

つまり


「メイアさんは朝、僕にだけエミリーの体調不良を伝えたんですね?」

「………はい」


まあ、メイアさんの気持ちは分かる。

自分の主人にはいい思いをしてもらいたいというのはごく当たり前のことだろう。


「今回は誰にも非はありません。むしろ、欲情を抑えられなかった僕が悪いでしょう」


とは言うが、エミリーのあんなところを見て、欲望を抑えられる男がいるのなら見てみたい。

本当にそんな奴がいるのだとしたらぶん殴るが。


「では、今日のところは┈┈┈┈」

「待て」


マオが遮ってくる。

マオはこういう時にはろくなことを言わない。


「マオ」

「なんだ?」

「後で話しましょう」

「うむ。分かった」


後でいいんかい!

なら最初からそうして欲しいが、マオのそう言ったところも愛おしい。


とりあえず、今日は授業を始めよう。




授業終わり、マオと話をする。


「シャル」

「はい」


これは絶対に答えずらい質問だろう。

そんな予感がするし、マオが談合の時に質問をするのは大抵嫌な事だ。


「その……エミリーと……キス…したのか?」


危なかった。

談合の時に言われていたら少しだけ面倒くさかっただろう。


「はい……しました」

「フィルティアともしたのだろう?」

「……はい」


マオの言いたいことが分かった。

だが、少し気が引ける。


「その……私にはしないのか?」


やはりだ。


「……休日にでは…駄目ですか…?」


断りの意を見せる。


本当は今すぐしたい。

超したい。

だが、エミリーとの経験から考えるに、俺は欲望に弱い。

マオともキスしてしまったら、きっと最後までするだろう。

エミリーが気落ちしている時にそういうのは控えたい。


「……今したい」

「マオ」


なんとか言いくるめなければ。

大丈夫だ。

俺ならできる。


「キスの経験は?」

「…ない」


ふぅ。

よかった。


「交尾は?」

「…………ない。全部お前にやる」


え!

マオにそういうことを言われるとかなり嬉しい。

今すぐに抱きしめたくなる。


ん?

そういえば、俺は3人の女の子に好かれているわけで…

3人ともえっちができる関係なわけで…

3人とも穢れのない聖処女なわけで…

俺は3人の純潔を貰い受ける立場にある……だと?


俺はこの世で最高に運のいい男なのかもしれない。

いや、そうなのだ。

ザ・ラッキエストマンなのだ。


いや待て。

今はマオの説得が先だ。


「マオの体は丁重に扱いたいと思っています」

「…………」

「そんなマオの初めては大切に、次の休日まで取って置きたいんです」

「…………」


マオの返事がない。

初めては大切にしたい。

これは俺の本音だ。

俺は何もあげられないが、マオの純潔を貰い受ける身として、相応の覚悟が必要に┈┈┈┈


「また私は後回しか?」


マオからポツリと出た言葉。

その言葉が心に冷たく刺さる。


俺は今まで、マオにそんな思いをさせていたことを後悔する。

また我慢をさせてしまった。

感情を表に出さないマオを都合がいいと思っていたのかもしれない。

彼女の気持ちを考えずに行動していたのだ。

…………俺は


マオに歩み寄る。

俺の面目のために彼女が悲しむなんてあってはいけない。

彼女の笑顔は最高なんだ。

世界の何よりも。


「マオ……目を閉じてください」

「………ん」


マオの目が閉じられ、唇が差し出される。

マオの無防備な姿。

早くも息子が反応してしまう。


首の付け根を左手で、腰に右手を添える。


「んっ」


唇が重なり合う。


健康的な肌が目を開けるとある。

マオが薄らとひらかれた瞼から俺を覗いている。

不思議とその目に釘付けになる。


唇を離す。


お互いに整った呼吸で見つめ合う。

マオの頬は紅潮し、潤んだ目が俺を捉えている。


再度、唇を触れさせる。


マオも俺の腰に手を回してきてくれている。



何回かそれを続け、舌を入れようとする。

が、寸前で離される。


マオと見つめ合う。

俺と同じく大きく呼吸する彼女は蠱惑的だった。


「もう…………大丈夫だ」


正直、その言葉が残念だった。

もっとマオを味わいたかった。

マオの反応も近くで見たかったし、本番だってしたかった。


「……分かりました」

「うむ…」


いつもの返事をすると、マオは足早に自室に戻って行った。


本番はせずに済んだが、何故だか虚脱感が残る。


エミリーの様子でも見に行こう。



「エミリー、いますかー」


ノックをして、返事がないのを確かめると中に入る。

そこにはむくれた顔をしたエミリーがいた。

その顔は赤面していて、少しだけ目が潤んでいる。


「エミリー、体調は大丈夫ですか?」

「………ええ」


正直、エミリーがこれまで大人しくできているとは驚きだった。

魔力が回復したらすぐにでも殴り込みに来ると思っていたが、エミリーも大人になった証なのかもしれない。

俺はベッドの脇の椅子に腰掛ける。


「昨日のことは覚えていますか?」


俺がそう聞くと、耳まで赤く染め上げ、俯いてしまった。

…そっちの意味で聞いたわけじゃないんだが。


「フィルティアとマオも、エミリーが心配で来たみたいです」

「……そう」


その素っ気ない返事に希望が薄れる。


「……エミリー、魔術が上達していましたね」


エミリーもフィルティアやマオと仲直りをしたいはずだ。

じゃなきゃ、こんな顔はしないだろう。

今は仲直りの気分じゃないってだけだ。

うん。

多分そうだ。


「なんの話よ」


…え?


「フィルティアとマオが来た時ですよ」

「……覚えてないわ」


あちゃー

エミリーがどれだけ怒っていたのかが分かる。

だが、これは好機かもしれない。

覚えていないのなら彼女たちも普通に話せるのではないだろうか。


「でも、なんだかすごく怒れてくるわ」


あちゃー

ならどうやって仲直りさせようか。

あの時の状況を説明したら、エミリーはもっと怒るだろうか。


「2人のことを許してもらえませんか?」


俺が言うのも筋違いかもしれない。

だが、彼女たちの関係を取り持つのも俺の役目な気がする。


「……よく分からないわ」

「…?」

「記憶が曖昧なのよ。フィルティアとマオがいつからいたのか分かんないし、私たちがその……どこまでしたのかも分かんないわ」


ほほう。

今すぐエミリーにどこまでしたか思い出させたい気分だが、今はそういうのじゃない。

仕方ない。


「僕たちが本番をする前に2人が来たんです。そこからエミリーは気を失いました」


エミリーが暴れたことは伏せる。

覚えてないことを詰められてもよく分からないだろう。


「そう………約束は守れたのね」


約束…

『誕生日の日に』ってやつか。

俺としては勿体ないことをしたとも思っているが、エミリーはそうじゃないのかもしれない。

あの時のエミリーは最高だった。

媚薬であそこまでなるとは…

今度使ってみるのもいいな。


「そうですね…」


2人で見つめ合う。

火照った顔で見つめられ、あの時の光景が思い出される。

エミリーの喉がゴクリと動くのを見る。


キスだけなら…

俺はそう思い、身を乗り出そうとする。


コンコン


ぐはぁっ!

扉の叩かれる音。

今度は俺が魔術を全力でぶっぱなしたくなる。

だが、そんなことをしたら大惨事だ。


扉が小さく開かれ、そこからひょこっと顔を出したのは綺麗な

黒紫色の短い髪を持つ、俺の愛しの彼女だった。


「エミリー………その、あっ」


と、扉が大きく開かれ、フィルティアが転がりそうになる。

そこから現れたのは猫耳と多量の銀色の髪を持つ、俺の愛しの彼女だった。

マオとは先程キスをしたばかりだから、少し意識してしまう。


2人が歩み寄ってくる。


「「 エミリー 」」

「邪魔しちゃって、すみません…」

「うむ。すまなかった」


フィルティアが頭を下げ、マオが腕を組みながら謝る。

俺は2人に敬意を抱く。


彼女たちの普段の行動を見る限り、それぞれを競争相手と思っているはずだ。

3人の彼女の内の1人なんて、本当は嫌だろう。

それなのに、エミリーに面と向かって謝れるのは素直に尊敬できる。

俺が逆の立場だったらできないことだ。


「別に……いいわよ」


エミリーもムスッとしながらだが、2人のことを許している。

なんだか、この3人のやり取りに涙が出そうだ。


「ちょ、ちょっと! シャル?」


3人の顔がぼやけて見える。

どうやら、泣いてしまってたみたいだ。


「どうしたのよ?」

「いや………3人が……好きだなぁって思えて……すみません」


涙が流れてくる。

体も若返って精神年齢も若くなったかと思っていたが、どうやら未だ俺はおっさんだったらしい。


「ちょっと……もう…」


エミリーが手を握ってくれる。


そして、目を抑えていた右手をフィルティアに握られる。

涙で濡れた顔を隠せなくなった。


今度はマオが俺の背中に抱きついてきた。

大きな胸が押し付けられて非常に…


「……マオだけずるくないかしら…」

「うるさい」

「っ!」


マオとエミリーのいつものじゃれ合いだ。

そんないつものやり取りにすら泣けてくる。


駄目だ…

今日の俺はおじさんだ。

涙が止まらん。




泣き止んだ。

3人の温かみが心地よくなった。

ずっとこうして欲しい。


「3人とも、ありがとうございます」

「うむ」

「いいのよ」

「うん」


涙を流して頭がすっきりした。



明日はエミリーと迷宮だ。



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