はや引き返せぬ理想
-‐‐第三者視点‐‐‐
(ダメダめだめだめダメだめだめだめっっ……!)
(これっっ……だめっ……!)
(さっきからっ…………ずっと絶頂っっ……!)
白髪の男に覆われながら、一人の少女が悶える。
行為に及んでから一時間ほど。
陽はカーテンによって遮られ、夜目が利かなければ見えはしないほどに暗い。
そんな暗闇の中でも、シャルは鮮明すぎるほどにフィルティアの顔を捉えている。
彼女の苦悶の顔が。
堪える顔が。
だが、フィルティアはシャルの顔を捉えられないでいた。
視界に優れた彼女がこうなるのは、本来はあってはならない。
弓兵として己を磨き、もとより視界と聴覚に優れた長耳族として生まれた。
龍王直属の臣下であるプラネルセンを師とし、四年もの間鍛えてきた。
そんな彼女が塞がれている訳でもない視界を奪われている。
なぜこんなことが起きるのか。
無論、シャルだ。
普段は紳士として振る舞う彼だが、実際に行動することはテラムンド。
屑の所業。
テラムンドとして育てられた者の末路だ。
(っっっっ………………げんかいっっ……)
「04%6%8(|+☆23\4☆┈┈┈┈┈┈┈┈!!?」
フィルティアの出した精一杯の声を聞き取れた者は誰一人としていない。
シャルも、自分自身も。
既に感覚は下半身のみに集中し、初めは小さかった腰の痙攣も時間を重ねる毎に大きくなる。
まるで自分の身体がシャルのもののよう。
シャルが動く度に快感が暴れて、もう何が何だか分からなくなってきた。
(これっっ…………オちっ…………!)
視界が狭まっていく。
より暗く、より霞む。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。
┈┈┈┈┈┈。
シャルに沈んでいく。
▲_▲
‐‐‐フィルティア視点‐‐‐
「はぁっ……はァっ、っ……はぁっ…………」
終わった……。
疲れた……。
もうこれ以上はダメ……。
シャルも私も息が絶え絶えだ……。
一緒に裸で、一緒に息を切らして、一緒の密着感を味わってる……。
久しぶりに感じる“シた”って感じのえっち……。
好き……。
満足感と安心感に包まれるこの感じ……。
「っっ…………」
キスする。
耳を塞いでされる。
全身も腟内もぎゅーってされながらする。
「っ…………」
キモチいい……。
スキ……。
「っ……┈┈┈┈」
口を離して息を吸って、またすぐにキスする。
「「┈┈┈┈っん…………んっ……」」
これでもかと舌を動かして、シャルを味わう。
一瞬たりとも離れていたくない……。
ずっとぎゅーしたい……。
ずっとえっちしてたい……。
「「………………」」
しゃる…………。
「「…………」」
ゆっくり唇が離されて、目を合わせる。
「「…………」」
綺麗……。
とてもとても奥深くて、安心する紅い瞳……。
その瞳で見られているだけで抱きしめられてる感覚がして、ずっと見ていてほしくなる……。
もっとほしい……。
もっといっぱい見てほしい……。
唇が近づく……。
「…………?」
けど、ただ私の下唇を唇で挟んだだけ……。
もどかしい……。
「しゃる……っ」
こんなのじゃやだ……。
もっとシャルを感じたいっ……。
「「…………」」
もっかいする。
シャルの首にかけていた手で彼のほっぺを挟む。
ちゃんとキスできるように、しっかりと。
「「…………」」
シャルが私の耳先を揉む。
もう片方の手で肩を撫でる。
愛でるような手つき……。
私を愛してる動き……。
さっきまで私を虐めてたシャルの優しい動き……。
好きな感覚……。
唇が離れた。
「「…………」」
シャルが頬に添えられた私の手に自分の手を重ねる。
「……かわい」
火照った頬でそう微笑んだ。
えっちな顔……。
いつも微笑む時はえっちな感じだけど、今のはもっとえっち……。
「「…………」」
ずっと……。
ずっとこのままがいい……。
まだ終わらないで……。
まだ………………。
まだ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。




