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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
145/150

真っ直ぐの分かれ道



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┈┈┈┈┈┈┈┈



「シャル・テラムンド」

「?」


突然、名前を呼ばれた。

低く、重厚な声。


窓の景色を見ていたのと、絨毯に足音が吸われて気が付かなかった。


太っていると言うよりはガタイが良いという印象を受ける中年。

身につけている服色は地味なものだが、その生地は俺の目から見ても一級品だ。

茶髪の髪にところどころ白髪があるが、年齢を感じさせない気迫をその顔に携えている。


「陛下……」


俺を彼女たちから引き離した張本人。

エミリーの父親、ユラーグ陛下だ。


「…………」


正直、かなり気まずい。

俺を魔王城に送り込んだ人だが、それは仕方のないことだと理解している。

昔はこの人に対して怒りも覚えたが、それは過去のもの。


とにかく、今は何を話すかに苦しんでいる。

何せ、娘さんとシたあとだ。

その父親と話すのは(いささ)か気が引ける。


陛下はエミリーがいる扉を一瞥したあと、俺の方へ目を向けた。


「……エミリーはどうだった?」


気持ちよかったです。


「ええ、相変わらず芯のある強い方でした。陛下と似たものを感じますね」

「ふむ、そうか」


陛下も俺と同じように少し気まずそうだ。

先手を打つなら今だろう。


「陛下、以前は申し訳ありませんでした」


深々と頭を下げ、心から謝罪する。


「……」

「あの時は感情的な物言いになってしまい……大変な無礼を……。どんな処罰も受ける覚悟です」

「……よい」


頭上から重低音の慈悲の声が降りる。


「……よろしいのでしょうか?」


まだ頭は下げたままだ。

明確な許しを聞いていない。


「構わん。むしろあれで良かったのだろう。エミリーに免じてだがな」


『顔を上げよ』の声を聞き、頭をゆっくり上げる。

そして、朗らかに笑った。


「さすがは陛下、懐の広さに感服致します」

「世辞はやめよ。テラムンド(お前たち)に言われるのは慣れん」

「いえいえ。陛下のそういったところを民たちは愛しているのでしょうね。もちろん僕も含めて」

「…………」


“うわ……”という顔をされた。

眉をしかめたり目を細めたりはしないにしろ、そういった感情は伝わってくる。


普通に傷つく。


「……まあいい。それより場を用意しろ。これまでのことを話してもらわねばならん」


ええ……。


フィルティアと会うのが遅れる……。

だが、積もる話があるのも事実。

部屋はすぐに用意できるし、そこまで長くはならないだろう。


「はい、喜んで」



少しだけ確認したいこともあるしな。



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