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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
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続きのベッド

---二十四時間後---



エミリーとの行為が落ち着き、二人でベッドに座る。

行為中の暑さや湿度は窓から外へと流れ、心地のよい風がカーテンを靡かせている。

お互いにパジャマ姿だ。


「…………ほんとに一日中もできるのね……」


エミリーが恥ずかしそうに少し俯きながらそう呟く。


「できちゃうもんだね」


彼女は行為が終わってから恥ずかしそうだ。

行為中の乱れた自分を思い出しているのだろうか。

あんなにシた後だし、いまさら真顔で話すのは難しいのだろう。


「…………」


それにしても、とてもエッチだった。

またシよ。

へへ。


膣内(なか)がこすれて痛くなると思ってたもの…………」

「ずっとよかった?」

「……ええ」


へへ。

やはり、シたあとの彼女はエロい。

そして可愛い。

最高だ。


「……シャルも……」

「?」

「シャルもよかった……?」


俺を手を弄りながら、そんなことを聞いてくる。


そんな初々しい反応を見せられたら、俺がどれだけ気持ちよかたかを全身で説明してやりたくなる。


「もちろん、めっちゃよかった」

「……ならよかったわ」


安心したように微笑み、少しだけこちらに身を寄せてくる。

俺も彼女の方へ少し体を傾ける。


「エミリー、寂しいのは収まった?」


今まで少し気になっていたものを聞く。


行為前のエミリーはどことなく寂しそうだった。

大体の理由は分かる。


「…………」


それは、俺がすぐに居なくなってしまうからだろう。

もう少しすれば、俺は別の女の元へ行ってしまう。

それを分かった上で行為を気持ちよく迎えられるのかは不安が残っただろう。

今の俺はどうあっても彼女を裏切ってしまう。

だが、エミリーが我儘を言う気配はない。

分かってはいるが、我慢しているのだろう。


四年の間に身についた嫌な癖。

我慢はさせたくない。

言いたいことは素直に言って欲しい。


「まあ……」


テラムンドで良かった。


「全然収まってないわ……」


ん?

全然……?

それはそれで落ち込むんだけど……。


「だからシャル……」


エミリーがキュッと体をほんの少し縮こまらせた。


「今日は…………長めに起きていたいわ……」


あらっ!

なんだ、そういう事か。

つまり俺のことが好きすぎて堪らないということか。

へへ、それならそうと早く言えばいいもののっ。


「うん、今日はたくさん話そう」


ゆっくりと体をエミリーの方に寄せ、左手で彼女の肩を軽く抱き、右手で手を握る。


まだ顔を軽く俯かせるエミリーの顔を見る。

目を合わせることが出来ないため、彼女の耳に焦点を当てる。


「照れてんだっ?」

「……そりゃあ照れるわよ……」


エミリーの肩を撫で、彼女の可愛さを感じる。

頬を彼女の頭に擦り、ふんわりとした心地良さを味わう。


「エミリー、こっち向いて」

「……」


エミリーから軽く離れ、彼女の目を見る。


エミリーはまだ照れているのか、真っ直ぐとは見てはいないが目の端で目を合わせている。


「キスしよ」

「……ええ」


エミリーが体勢を変えて、真っ直ぐと目を合わせる。


「「 ………… 」」


軽くキスをした。


そして、エミリーは直ぐに先程の体勢に戻ってしまった。


また顔が合わせられなくなってしまった……。


「もうしないの?」

「まだ恥ずかしいもの……」


んん……。

本当はもっとしたかったが、それならしょうがない。

恥ずかしさが抜けたあとにやればいいだろう。


今もなおエミリーは俺の手をイジイジしているし、また出来るだろう。


「「 ………… 」」


エミリーに触られるのは心地がいいな。

女の子らしい綺麗な手が指をなぞっている。

愛らしい。


「……なに話しましょう……」

「?」


手の動きを止め、困ったように呟く。


「エミリーの話聞きたいな」


俺がいなかった間の四年、彼女たちは何をしていたのだろう。

毎日俺のことを想って枕を濡らしてくれていたのだろうか。

それとも、魔王城に乗り込むことを画策していたのか。


「……聞いても面白いものじゃないわよ?」

「好きな人と話したいんだよ」

「……ん」


エミリーは座る位置を壁側に寄せ、頭を俺の肩に乗せた。


「エミリーはさ、四年の間なにしてたの?」

「……訓練とお見合いかしら」

「訓練? もしかして、魔王城に行くために?」

「……ええ」


あらっ!

やはり、エミリーも俺と同じことをしてくれていたのか。

正式に魔王城に行くには、年に一度の選定に選ばれる必要がある。

条件は強者であること。


物理的な距離は遠くとも、心の距離は近かったということだ。


「好きだよっ、エミリー」

「ええ……」


うん。

今日もうちの彼女は最高に可愛い。


「よく四年も頑張れたね。普通なら途中で投げ出しそうだけど」

「……私だってシャルを忘れようとした時期もあるわ……」

「うん」

「でも出来なかったのよ……」

「おお、それはどうして?」

「……忘れられるわけないじゃない……」


うひょー!

待ってました!


エミリーを軽く抱き寄せ、手をギュっと握る。

そして、軽くキスをした。


「……シャルはどうなの?」

「ん?」

「私のこと、覚えていてくれた……?」


む?

何を聞くかと思えば、そんなことか。


「もちろん、ずっとエミリーを想ってたよ」


エミリーを手を繋いだまま抱きしめる。

繋いだ二人の手を彼女の胸に添え、心臓の鼓動を感じとる。

それにさらにエミリーの手が重なり、温かさが増した。


「「 ………… 」」


抱擁から離れ、目を合わせる。

そして、キスをした。


「ずっとこうしてたいね」

「…………ええ……そうね」

「……」


……悲しそうな笑顔だ。

そんな顔を見せられては、俺も落ち込んでしまう。

可愛い彼女の悲しい顔は心にくる。


「また抱きしめれてよかった……」

「……?」

「最初に会った時は腕がなかったからね……」


王宮(ここ)に来るまで、俺は右腕を失っていた。


そのことを彼女がどう思うか不安で、ここに来るまで時間がかかってしまった。

結果は嬉しいことになったが、この腕を治したのはルーシャ(あいつ)だ。

まだ安心できるとは言えない。


「……不安だったの?」

「まあね……。嫌われるかも、って思ってた……」

「…………」

「?」


ハグされた。

優しいハグだ。


「嫌いになるわけないじゃない……」

「うん、ごめん……」

「……そんなに辛かったの……?」

「まあ……毎日泣いてたね」

「…………」


強めに抱きしめられる。

それに伴って体が脱力していき、エミリーに体重を寄せる。


「……エミリー、愛してる」

「ええ。私も愛してるわ、シャル」


俺は幸せ者だな。


エミリーをハグから離し、見つめ合う。

そして、キスをした。


「ありがとう」

「いいのよ」


よし。

やはり、彼女は精神安定剤だな。

俺は四年間も彼女無しで頑張っていたのか。

今となってはよく我慢できたと思う。


「お互いに大変だったね」

「そうね」

「またあんな目には会いたくないからさ、ちょっと教えてほしいな」

「? 何を?」

「心の保ち方とか」

「保ち方? そうね……」


エミリーが俺の手をいじりながら軽く考える。


「支えてくれる何かがあったからじゃないかしら」

「支えてくれる何か?」


エミリーは上体を少し反らし、顔をこちらに向ける。

俺もそれに合わせて彼女の方に顔を合わせる。


なんだろうか。

エミリーの場合、最も身近にいたのはフィルだっただろうか。


「……シャルみたいな人よ……」


あ!

また口説きよったでこの子!

んもうっ!

明日もたっぷり愛したるかんなっ!


「嬉しいこと言ってくれる()()、エミリー」

「ふふっ、“べな”って何よ」

「照れ隠し」

「えっ?」


体をピクっと跳ねさせ、驚いた表情をするエミリー。

何か驚くことでもしただろうか。


「…………照れたの?」

「ん? まあ、うん。かなり」

「……シャルも照れるのね……」

「えっ?」


どういうことだろう。

俺は人間じゃないと思われているのだろうか。


エミリーがおもむろに軽く立ち上がり、俺の太ももに座る。

綺麗な顔が近くに寄り、キスしたくなってくる。


「嬉しいだべよ、ってことよ」

「へへっ、なんそれ」

「照れ隠しっ」

「「 へへへ 」」


いいな。

こういう空気も久しぶりだ。

心が通じ合っている感じがして心地いい。

エッチの時もかなり通じ合っていたが、これもまた。


「ねえっ、シャルはどうなの? 魔王城(あっち)も大変だったんでしょう?」

「んー……まあ、そんなにだったかな」

「そう?」


エミリーが首を傾げる。

そんな彼女の首と頬に手を添え、微笑む。


「ずっとエミリーのこと考えてたからね」

「……ちょっと……」


添えられた手と俺の目を交互に見つめるエミリー。


「エミリー」

「……?」


彼女の名前を呼び、目を合わさせる。

今は俺の目を見て欲しい。


「君が心の支えで本当によかった」

「っ…………」


エミリーの口が開く。

だが、そこから言葉は出ない。

少しだけ喘ぎ声に似た息が漏れ出ている音だ。


眉を八の字に寄せ、何かに耐えているように見える。

臀部(でんぶ)に力が入り、俺の腰に甘えるように擦りつけている。


「シャル……」


両の頬に手を添えられ、顔を固定される。

そして、ゆっくりと唇を重ねた。


「「 ……………… 」」


前に前に押し出すような、繰り返し甘噛みしながらのキス。

体を(あじ)わわれてる感覚に身を任せ、彼女の腰に手を回してギュッとする。


「「 ………… 」」


まだ貪られる。

時間が経つ毎に鼻息も荒くなっていく。

俺は腰に添えた手も背中から脇腹へ、脇腹から後ろ首、後頭部へと移す。


「っ………………シャル……」


目を軽く合わせたあと、ギュッと抱きしめられる。


「……あなたに頼られるの、凄い嬉しいわ……」


嬉しいことを言ってくれる。

本来俺は王家に奉仕するために生まれてきたテラムンドだが、これはいいものだ。

恋仲になっていると実感できる。


「俺も、そう言ってくれて嬉しいよ」


優しくエミリーの背中をさする。


「エミリー、もっとギュってして」

「ん…………」


より強く抱きしめられ、エミリーが俺の髪の中で呼吸している。


「愛してるよ、エミリー」

「私も愛してるわ、シャル……」



俺たちはお互いの匂いを感じながら、しばらく抱きしめ合った。



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