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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
134/150

掴めない手、掴んだ手

すみません。

遅れました。

ーマオ視点ー



「後は私がやろう」

「ああ…任せた」


背中にシャルの声を聞く。


彼の声は疲労している様子だが、いつものように余裕を持っているのも分かる。


だが、シャルがやられるとは思わなかったな。

ここに来る道中、シャルに頼りすぎたようだ。


遠くに倒れている金竜を見る。


「『っ…………』」


今まさに起き上がっている金竜。


シャルが戦っている間に絶好の機会を狙っていたが、中途半端な一撃になってしまった。


だが、十分だ。


「では行ってくる」

「うん、気をつけて」

「うむ」


シャルに返事をし、金竜へと向かう。


地面を(えぐ)る音が直ぐに遠のくのを感じながら、金竜が近づくのを眼でしっかり捉える。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。



「『 ………… 』」


私が金竜の間近に迫って尚、奴は動く気配が無い。


武器(ハルバード)を上段から振り下ろす。



パァァァァァン!



金属が響き、鈍い音がした。


遅れて衝撃による風が金竜を中心にして起こり、私の髪を揺らす。


「┈┈┈┈┈┈。」


金竜に攻撃を止められた。

片手で。


先程あった腕のオーラが無くなっているとはいえ、その力は健在か。


「『っ……』」


だが、完全に止められた訳では無い。

金竜の手からは一筋の血が流れている。


奴の硬かった鱗も脆くなっている。

刃こぼれが心配で斬りつけることを避けていたが、これで遠慮なく料理が出来そうだ。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。



自分の武器を持ったまま、軽く地面を蹴る。



ドガアアアァアン!



そして、思い切り金竜を蹴った。


私の武器を離し、何の抵抗もなく地面スレスレを飛んでいく金竜。


透かさず追撃をかけるため、飛んでいく金竜を追う。


「┈┈┈┈┈┈!」


だが、金竜へと辿り着く前に奴が先に仕掛けた。



ゴボァオオオォオォオ!



金竜の手から放たれた魔術。


金竜の指から大量の氷柱が襲いかかってきた。

その一本一本が太く、それが束になる姿に少しだけ美しいと感じてしまう。



スゥッッッウッゥ!



氷が斬れる音が耳に響く。


見た目の割には簡単に斬れ、威力よりは氷の霜の方が煩わしい。



シャッ┈┈┈┈┈┈┈┈┈!



視界が開けた。

氷の塊から開放され、外気が暖かく感じる。

氷柱の勢いが抜けたことで私の髪の毛を靡かせる。


「『┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈』」


金竜が私に飛びかかり、鋭く太い爪を向けてくる。



キィンッ!



その刃を弾く。


「『┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈』」


刃を弾┈┈┈┈┈┈


「っ…!」


弾かれた。


「っ!」


透かさず、次撃に備えて武器を動かす。


「「『┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈!』」」



連撃。


連撃。


連撃。



お互いの刃がぶつかり合う度に風が巻き起こる。

刃を(ふる)う度に地面が斬れる。

刃同士が衝撃を放つ度に火花が散る。


「『っ………』」


金竜の表情が若干の苦痛を感じているように見える。


やはり、こいつはシャルとの戦闘で弱っている。

刃を交える度に鱗が飛び散り、肉を少しずつ顕にしている。


こいつは長く戦えない。

戦うとすれば、距離を取ろうとするはずだ。



ガキィイン!



刃が弾かれると同時に、私の体が数歩後ろに引く。


透かさず距離を詰める。


「!」


だが、金竜はそれを読んでいたようだ。

太い足が私に向かって伸びてくる。


だが、あまりに遅い。


「『っ……』」


金竜の太腿を掴み、もう片方の足を(すく)い上げる。

体勢を崩した金竜の頭を鷲掴みにする。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈パアアアァアアン!



そして、地面に叩きつけた。


金竜の頭を中心として蜘蛛の巣のように亀裂が地面に入る。

幾らかの土と岩の破片に混ざり、金竜の煌めいた鱗も飛び散っているのが分かる。



パシッ



空中に放り投げていた武器を手に取る。

そして┈┈┈┈┈┈



シュッ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



()った┈┈┈┈┈┈



ボゴオオオオオオオオォオン!



「っ…!」


なんだ?

金竜が白く光ったと思ったら、急に爆発が…


自爆か?

それとも…



ゴボァオオオォオッオッオォォオ!



大量の土煙が上がる大地から大量の岩柱が飛んでくる。


それは先程のよりも巨大なもの。

だが、対処など余裕だ。



ガガッ┈┈┈┈┈┈ギャキッ┈┈┈┈┈┈ボゴオンッ!



迫り来る岩を斬る。


暗い視界の中、作業を続ける。



ボゴァッ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



ふむ。

終わっ┈┈┈┈┈┈


「…………!?」


一瞬、頭の動きが止まった。

私が思っていた光景と今の光景が全く違っていたからだ。


これは…さっきの()()()金竜ではない…


まるで、山┈┈┈┈┈┈


「っ……!」


全身が巨大な何かに掴まれる。


掴まれた瞬間に抜け出せないことを突きつけられ、体が硬直するのを感じる。


圧倒的な力。



ブ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ゥンッッッ!



「!??」


投げられた。


感じるのは大きな浮遊感と巨大な重圧感。

指の一本すら動かすことが出来ず、血が極端に偏っているのが分かる。


早く…体勢を┈┈┈┈┈┈



ドゴアアアァアァアアアン!



糞…

勝てると思ったんだがな…


「『 …………っ 』」


かなりグラつく目で見えたのは元の姿の金竜。

それが片膝をつく姿だった。


「『かはっ………っ』」


かなり疲れた様子で息は荒く、血を吐く音が聞こえる。


「『獣の娘……っ…もう動いてくれるでないぞ……っ』」


そう言って膝に手を置き、立ち上がる金竜。

立ち上がった勢いで転びかけるが、何とか踏みとどまったようだ。


こちらに歩いてくる。


「…………」



ザッ………ザッ………



ふむ…

覚悟は出来ている。

喰われようと、殺されようと構わん。


好きに………


「………?」


なんだ?


「…………」


まだ動く…

見れば、武器も手に持っている…


可笑しい…

地面は爆発でも起きたかのように(えぐ)れているのに…

何故こんなに痛みは無く、体は軽いんだ…


「…………」


まだ戦える…


だが…


「………」


その必要は無いな…


「『!?』」


金竜の姿に影が重なる。


「『貴、さっま┈┈┈┈┈┈』」


シャルが来た。


「┈┈┈┈┈┈じゃあな、虹色野郎」

「『 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 』」



キュイィッ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ボガアアアアアアァァアン!



白い爆発が起きた。


大量の土煙の中を歩くのは一つの影。

それが私の元へと歩いてくる。


そして私の手を優しく取り、いつもの微笑みで言った。



「マオ、よく頑張ったな」



金竜の生態


メスは居らず、オスのみの種族。

鉱山に好んで住み、主食はそこの鉱物。

更に鉱物を卵とし、そこに種を植え付けることが出来る。

鉱物を食べた分だけ強くなれるが、それだけ子供の数が減る。

今回の金竜は大量の鉱物に恵まれたため、大量の子供と強大な力を手に入れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前の話と今の話で同じ場面っぽいのが書かれてて、読んでて楽しい
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