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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
131/150


「『間引きは済んだな』」


金竜がこちらに向き直り、そう呟く。


先程の衝撃が残っているのか、奴の大きな翼は未だに(なび)いている。

その全身を覆う虹色の鱗が陽に照らされ、堂々と立つ姿が美しい。


「マオ、気張っていくぞ」

「うむ」


隣に立つマオに変わった表情は見受けられない。


親が死んでいるかもしれないのに、よく平静でいられるものだ。


「お前たちは下がっていろ」


マオが後ろにいる獣族たちに話しかける。


「お前たちは足でまといだ」

「っ…ですが…!」

「獣族の誇りを忘れたか。我らは(しゅ)を強くする為にある、それが無くなれば全ては無駄であろう」

「っ……」


後ろの獣族たちが悔しそうな顔をする。


正直、俺も彼女たちには居なくなってもらいたい。

人が多ければ範囲の広い魔術は使えないし、機敏な動きも出来なくなる。


「分かりました…」

「不服か?」

「……はい」

「それで良い。己の欲を(まっと)うせよ」

「はっ!」


彼女はそう言って、仲間たちに撤退の命を伝えた。


「シャル、直ぐに終わらせるぞ」

「ああ、そのつもりだ」


なんだか、見ない間に格好良くなったな…

最初こそ俺に甘えてきたが、彼女もこの四年で頑張ってきたのだろう。


「『愚かなり、獣の娘よ』」


人払いを済ませたマオに対し、金竜が批判する。


「『先ずはお前から┈┈┈┈┈┈』」



ッボオオォォオオォン!!



「┈┈┈┈┈┈!?」


金竜の言葉を遮り、奴の足元に爆発が生じる。


俺が魔術を行使したのだ。

上級魔術ほどの魔力を込めた為、大抵であれば決着がつく。

だが…


「『ふむ、奇怪なり』」


奴には効かないようだ。


予想通りだが、全くもって無傷なのは(かん)に障るな。


「┈┈┈┈┈┈。」


金竜が体に付いた(すす)を払う間に、マオが奇襲を仕掛ける。



キィィィィイイン!




だが、防がれて甲高い音が響く。


接近戦は俺が蒼級魔術を撃ち込んでからにしたかったが、マオは行動が早いな。

俺も彼女に合わせなければならない。



キィィン!



マオが金竜の腕の一振(ひとふ)りを弾く。



キィイン!



またも弾く。


手に持つハルバードを自らの体のように扱い、金竜にたたらを踏ませる。

金竜の腕が強い力で弾かれたことで胸ががら空きになる。


「落ちろ」


そして、顕になった首にマオの一撃が┈┈┈┈┈┈



キィィン!



「…!」

「『 ………… 』」


嘘だろ…


「っ…!」


不味い。

マオが驚愕で体が固まっている。

それに対し、金竜の鋭く太い爪を持つ手は今まさに振り上げられようとしている。



ゴゴォゴオォォオン!



なんとか間に合った…


マオは体の強ばりが無くなったのか、俺の方まで一飛(ひとと)びで下がる。


「すまん」

「いい。それよりあいつ、かなり硬い」

「うむ」


金竜を睨みつける。


あいつは俺の上級魔術とマオの一撃を真面(まとも)に喰らって尚、無傷で立っている。


金竜は今も無表情で俺たちを余裕を含んだ目で見つめている。

あまり表情らしいものを奴は持っていないが、そんな気がするのだ。


「『万里を歩み、幾程(いくほど)の大地を見てきたか…』」

「「 …? 」」


なんだ?

急にどうした?


「『(われ)はこの大地である』」


こいつは何が言いたいんだ。

時間稼ぎか?

強者の余裕か?

それとも…


「『ここにある全ての鉱石を喰らい、金竜の最高位に立った者なり。全ての色を架けた存在なり。だが┈┈┈┈┈┈』」


そこで、金竜は何故か俺に指をさした。


「『┈┈┈┈┈┈全てを超越した者では無い』」


……?

ますます分からない。


「『白髪(しろかみ)の子よ。吾はお前を喰らい、次なる存在へと至ろう』」

「┈┈┈┈┈┈!」



金竜がこちらに向かい、勢いよく飛びかかってきた。



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