親玉
「『ふむ』」
鎮座して俺たちを待っていた竜はそう呟いた。
目の前の竜は二メートルを超える巨躯で、竜と言うよりは人に近い体をしている。
その全身は薄い虹色を持ち、陽の光がその輝きをより一層強くする。
引き締められた体に、身長を大きく超える大きな翼。
こいつが金竜の親。
俺とマオとの蟠りを作った元凶。
そんな人物がまたもポツリと呟いた。
「『少し多いな』」
「「「 …………… 」」」
金竜が立ち上がった。
ただ立ち上がっただけ。
たったそれだけだが、全員の息を詰めるのには十分な動きだった。
「『行け』」
パアァンッ!
金竜が誰にでもない命令を下した途端、そいつの背後の岩が割れ、数体の見慣れた子供たちが出てくる。
「「 ┈┈┈┈┈┈。」」
すると、瞬時に最前線のウォルテカとサラフェノさんがその子供たちを片づけに向かう。
即座に一匹の子供が真っ二つにされ、もう片方がミンチにされる。
巨大な両手剣とモーニングスターによる結果だ。
だが、それは悪手だったようだ。
「「 ┈┈┈┈┈┈! 」」
一瞬、金竜の体がブレた気がした。
そして、次の瞬間には既にウォルテカとサラフェノさんの横に移動していたのだ。
俺もようやく体が動く。
金竜が大きく腕を下から上に振りかぶる構えを取り、標的を二人にしているのが分かる。
確実に二人を狙っての行動だ。
不味い。
かなり不味い。
早く助け┈┈┈┈┈┈
ブウゥンッッ!!
「┈┈┈┈┈┈!」
瞬間、突風が吹いた。
離れている俺すらも体が浮くほどの風。
先程まで二人が居た場所には大きな削り跡がある。
これは…
「『間引きは済んだな』」
糞…
金竜は俺たちに体を向けた。




