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奉仕転生〜死んでも奉仕する〜  作者: 白アンド
123/150

抜け道

励みになります


「マオ、帰るわよ」

「やだ」


俺に抱きつき、立ちながら四人で話す。


「というかそろそろ離れなさい」

「そうだよマオ……シャルが困ってるよ…」

「………」


フィルはそう言うが、俺は全く困っていない。

動きづらかったり、腰と背中が悲鳴を上げている以外は問題は無い。

マオに抱きつかれるということは、完璧な癒しを受けるということなのだ。


「シャルとは仲直りできたんだし、なんでまた意固地になってるのよ」

「…………」


ん?

エミリーはマオが金竜のことで色々あったのは知らないのだろうか。

ならば、俺から教えてやろう。


「エミリー、実は┈┈┈┈┈┈」

「┈┈┈┈┈┈シャル…やめろ…」


ん?

エミリーには言っちゃいけなかったか?


「どうしたんだマオ? ただ金竜が住み着いただけだろ?」


普通の声で話す。

だから、普通にエミリーにも聞こえる。


「おいシャル…!」

「( ゜д゜)ハッ!」


てへ。


「ちょっとマオ! 金竜ってどういうこと!?」


珍しく大きな声を出すエミリー。


金竜がどのくらいの脅威なのかは知らないが、エミリーの反応からして相当なやつなのだろう。

なら、尚更それを隠す理由が分からない。


「強敵は自ら倒さねば意味が無いからだ、お嬢様」


どこからかそれに答えてくれる声がした。


そちらの方を見ると、マオのお母さんが立っていた。


「……そう、支援を断っていたのはそれが理由?」

「そうだ」


エミリー(お姫様)にも遠慮ない口調で話すサラさん。


だが、支援とはなんだろう。


「支援ってなに?」


フィルが俺と同じ疑問を問いかける。


「サラたちが鉱石を回さなくなって、それで金銭と人材を送ろうとしたのよ。でもいつも断られるのよ」

「事情は伝えてなかったか?」

「あんたねぇ…」


いまいち分からんな。

金竜がいるのに支援を受け取らない?

いや、金竜がいるからこそ支援を断っていたのか?


「つまりはそういうことだ。我々(われわれ)獣族は、他種族の力は借りん」


なるほど。

これがマオの言っていた『誇り』というやつか。


サラさんたちは自分たちの力だけで金竜を倒すつもりらしい。

だが、四年も打倒できていないのだから、戦力差は歴然としているのだろう。


「マオも同じ気持ち?」


俺に抱きつく彼女に問いかける。

するとマオは上目遣いになり、急にキスしたくなる。


「まぁ……そうだな…」

「ん、分かった」


素直に了承する。


マオが今から王宮に帰ろうが、金竜を倒すつもりだろうが関係ない。

俺がやることは変わらないのだから。


「じゃあ、俺も手伝うよ」

「「 …? 」」


マオとサラさんが首を傾げる。


それもそのはず。

獣族のみで倒すと言っている金竜を、ただの人間の俺も加わると言っているのだから。


だが、どこにも問題は無い。


「だってそうだろ?┈┈┈┈┈┈」


マオを抱きしめる力を強くする。


「┈┈┈┈┈┈俺たち、結婚してるんだから」

「「「 …!? 」」」


そう。

俺たちは結婚する。


四年前にはマオに求婚されたし、俺はそれを了承した。

あの時の気持ちは今も変わらない。

ならば、俺たちは結婚していると言っても過言ではないだろう。


また俺から求婚するつもりではあるが。


「シャル……でも…」


マオが恥ずかしそうに顔を埋め、俺を強く抱きしめる。


彼女は反論の言葉を述べようとしているが、その胸中は全て分かっている。


「嫌か?」


分かってはいるが、意地悪はする。


「っ………する…」

「ん、これからもよろしくな」

「うんっ……よろしく…」


へへ。

これが幸せってやつか。


エミリーとフィルの視線が痛いが、今はマオが優先だ。


「サラさん、これで僕も獣族と認めてもらえましたか?」

「……ふむ」


俺の完璧な論に考え込むサラさん。


「よかろう、お前も今から獣族だ」

「ありがとうございます」


よし。

これで準備は整った。



あとは、あの忌々しい金竜とやらをぶっ倒すだけだな。



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