パパぁ
ーウォルテカ視点ー
最近、マオの様子がおかしい。
「マオ」
「……なんだ…?」
うむ。
発情の匂いが凄い。
こんな強烈なもの、今まで嗅いだことがない。
だが、性欲が高いのはいいことだ。
これだけあれば、子供を二人は産めそうだな。
俺たちは一人しか産めなかったが、だからこそマオという強い子が生まれてくれた。
「大丈夫か?」
「何がだ…」
「性欲だよ」
「平気だ…」
平気なわけがあるか。
ジェフの息子が来てからというもの、ずっと辛そうではないか。
こんなの、いつ爆発してもおかしくない。
サラならとっくにしてる。
「シャルとはしていないのか?」
「…………あんなオス知るか…」
む?
おかしいな。
この間まではそのシャルの上着の匂いを嗅いで、一人で処理していたではないか。
今もその上着を羽織っているし、それを脱いでるところなんてほとんど見ないぞ。
…………ああ、そういう事か。
「マオ」
「なんだ…」
「後悔しない選択ってのは、案外簡単なものだぞ」
「………なんのことだ?」
「自分で考えろ」
相変わらず、回りくどい言い方になってしまったな。
サラには何度それで叱られたか。
「ウォル」
と、我が愛しの妻、サラが来た。
「どうした?」
「仕事終わった」
「ん、お疲れ」
「撫でろ」
「ん」
相変わらずの毛量の頭を撫でる。
マオもサラに似てフサフサだが、今では撫でさせてももらえない。
昔は撫でさせてもらったんだけどな…
いや、そうでもないか。
撫でる度に叩かれてたしな。
「ん? サラ、今日は汗かいたか?」
「金竜のとこに行ったからな」
金竜か…
今はこちらから何もしなければ大人しいが、いつ活発になるか分からない。
獣族の総力をもっても勝てる相手でもない。
かと言って、異族の力を借りるのは民たちが許さないだろう。
「ありがとな、サラ」
「構わん」
本来なら俺がやる仕事だが、今はマオの修行に専念してるからな。
サラにもしもの事があったら、この世で最強の軍を寄越してやる。
というか、サラの汗の匂いが堪らないな。
好きなメスの匂いというのは、どうしてこんなにエロいんだ。
「サラ、もっと汗かきに行くか」
「……ん」
マオが少し怒った匂いを発するが、気にしない。
自分の気持ちに素直になれないのが悪い。
今日も沢山やろうと思う。




