表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第8章 SSSSSSSS〜どうして弱い僕を人狼と吸血鬼の極悪ツートップが狙ってくるのかわからないけどとにかくこの章もシリアスでいくね〜
97/283

第97話 悪の弟子

〈ナン〉の国のムン平原の西部にある、ニタイの森。


 この森の奥に、ひっそりと地下墓地カタコンベがある。


 もはや数百年も前から、訪れる者はない。


 吸血鬼が〈ナン〉に来たのは今回が初めてだったが、さっそくここをねぐらにした。


 乾いたしゃれこうべの収まった棺桶の寝心地は、実に爽快だ。


 と、そのお方ーー吸血鬼様は、俺に語った。


「女をやり損なったのは惜しかったな」


 優しい吸血鬼様は、俺を慰めてくれた。


「またチャンスを下さい。必ずあの女をものにします」


「まあゆっくりと作戦を練ろう。それより」


 棺桶の中で半身を起こした格好で、吸血鬼様は言う。


「俺がお前を手下にした理由がわかるか?」


「いいえ。見当もつきません」


「人狼よ」


「人狼?」


「そうだ。昔からあいつが邪魔でな。お互いに滅びてほしいと願っているが、なかなか手を出せない。力が拮抗しているのだ」


「あなた様と、あの狼野郎がですか?」


「やつは強い。そして近ごろ、この辺鄙な田舎に来て、おかしな動きをしている」


「おかしなとは?」


「モンスターを邪悪化させているのだ。お前も見たろう?」


「そうでしたね。ウルフェン改とポイズンテール改とクレイジーホース改ですか。全部倒してやりましたが」


「おそらくあれは、俺を倒すためだ」


「そうでしょうか? ですが、あなた様の敵ではないですよ」


「まだ実験段階だろう。最凶のモンスターを完成させたら、俺を攻撃してくるはずだ。やつがそこまでして命を狙うのは、俺しかいないからな」


「どうしてあなた様の命を?」


「宿命だな。2つの巨星は、同時に輝けないものよ」


 吸血鬼様はあくびをした。


「お前を呼ぶために、変な時間まで起きてしまった。俺は寝る。お前は隣の棺桶で寝ろ」


 俺はしゃれこうべを抱いて、夜までぐっすり眠った。


「夜だぞ、起きろ」


 吸血鬼様が優しく起こしてくれた。


「話の続きだ。お前はどうやって、人狼を深淵に追いやった?」


 俺は記憶を呼び覚まして言った。


「鬼のオーガが、闇属性の技である【ダークグレイブ】をかけたんです。そうすると、深淵が出現します」


「やつはそれを覗いたんだな?」


「ええ。深淵は永遠の墓場と繋がっていますから、1度覗くと生者の世界には戻ってこれないはずなんです。しかし人狼は、穴をよじ登ってきました」


「敵ながらさすがだ」


「そして、上半身が穴から出てきたとき、ルイベが光属性の技である【シャイニング】をかけたんです。すると闇に属する深淵が光を浴びて消え去り、それと同時に人狼の下半身も消えました」


「それでもやつは生きてたんだな?」


「ええ。上半身だけになった人狼は、下半身を取り返すために、地下に潜っていきました。深淵から戻ったら、俺たちを皆殺しにすると言っていました」


「お前は俺といろ。そうすれば、やつもお前には手を出せん」


「ありがとうございます」


「なるほど。人狼は上半身だけでも生きられるのか。逆に下半身だけならどうだろう? 脚だけになっても、上半身を取り返しに行くかな?」


「さあ。脚には脳も心臓もありませんからねえ」


「とにかく、やつをそこまで追い詰めたのはお前らが初めてだ。その作戦を考えたのはお前なんだな?」


「はい」


「やつを倒すのに協力してくれ」


「もちろんです」


「ところで、お前の固有スキル【眼福】だが」


「ご存じでしたか? お恥ずかしい」


「それで俺を視たら、どうだった?」


「はい。これまで視た中で最悪に邪悪でした」


「だろう、だろう」


 吸血鬼様は、至極ご満悦だった。


「人狼は視たか?」


「視ました」


「あいつより、俺のほうが邪悪だったんだな?」


「それはもう」


「よし、自信がついた。悪の差で俺が勝つ!」


 吸血鬼様は、機嫌良く口笛を吹いた。


「おっと、夜に口笛を吹くと蛇が出てしまう。このあいだも、それでメドゥーサが来ちまったっけ」


 冗談めかして言う様子は、よほど嬉しいように見えた。そこで、


「人狼のやつは、大して邪悪じゃなかったですよ。なんなら、善も混じっていたくらいで」


 と教えてあげた。


 すると口笛がピタッと止まった。


「何? 人狼が善? どういう意味だ?」


「まあ、見間違いかもしれませんが、そう視えたんです」


「そりゃ見間違いだろう。やつが善な訳がない」


 とブツブツ言った。さっきの上機嫌は、どこかに消えてしまった。


「ところでお前、眼福マスターになりたいか?」


 この質問には、首を捻った。


「さあ、どうでしょう。眼福マスターになると、世界が【幸福】になるそうですが」


「俺もそう聞いている」


「だったら嫌ですね。【幸福】なんざ、ヘドが出ます」


 俺がキッパリと言うと、


「よしよし、偉いぞ」


 と、吸血鬼様は、氷のような冷たい手で俺の頭を撫でてくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=35567082&size=88
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ